無料ブログはココログ

森と林業の本

« 鏡の中の青空 | トップページ | 謎の虫食い? »

2017/05/11

国の森林環境税で思い出す森林交付税構想

森林環境税構想、国は本気らしい。すでに総務省で検討会が開かれている。

 
これ、少々勘違いされがちだが、すでに森林環境税に類する独自課税をしている県は、たしか34ぐらいある。これは県税に上乗せ方式だ。
それに対して国は住民税に上乗せして全国民から徴税しようという魂胆。そして市町村に配分するという。
 
言い換えると、多数の県では森林整備目的で県税と住民税の二重に課税されるわけだ。 ようするに増税。すでに森林環境税を取られている私からすれば、ええ加減にせえ、と思う。
 
全国町村会は賛成。全国知事会や全国市長会は慎重……というところか。
 
 
ツッコミドコロは満載なんだが、もともと森林環境税のある県は森林面積が広いわりに人口が少なかったのだから、東京など大都市圏から徴税すれば総額として増えるのは間違いない。
 
 
どうせなら県の森林環境税を撤廃して国税に一本化したらどうか。そして森林面積割にして配分する。それが都道府県単位か、市町村単位かは悩ましいが。。。東京都23区とか大阪市なんか、取られるだけでほとんど受け取れないんじゃないか(笑)。
 
 
ここで思い出すのが「森林交付税構想」だ。覚えているだろうか?
 
これは和歌山県本宮町の当時の中山町長が提案して、それに呼応するように全国で賛成の声が上がり、森林交付税創設促進連盟みたいなのができたはず。
 
これは、新税を徴収しようというものではなく、正確には森林交付税交付金構想である。
通常ある地方交付税交付金は、国税を各自治体に配分するものだが、これは基本的に人口配分である。すると人口が少ない自治体に不利なのだ。そこで森林面積割にしてくれ(人口が少なく森林面積の広い自治体に多く配分してくれ、という提言である。
 
森林整備関連の配分は補助金などの形であるが、これらは厳しく使い道を国に規定されて使いにくい。というか、無駄な使い方をしたり、余計な事務手続きばかりがかさんで、小さな自治体にとっては負担ばかりがあった。だから自由に使える交付金がほしいというわけだ。
つまり地方交付税交付金の配分規定に森林面積を加味することを陳情した。
 
私は、発案当初から取材していた。参加自治体は1000近くまで膨れ上がり、通信も発行され……と盛り上がったのだが、結果的に国は動かなかった。  
そんなときに高知県で森林環境税がつくられたこともあって、連盟も解散してしまった。
 
 
さて、今頃になって国が森林環境税を導入しようというのなら、もう一度、森林交付税の発想を取り出してもよいかと思う。当時の検討内容を引っ張りだせば、配分方法や、使い勝手の参考になるかもしれない。
 
ただ、都道府県でも市町村でも、「自由に使える金」というのは、目先のバラマキになるのが目に見えている。森林に使われないかもしれない。森林関連というのがどれほどの縛りになるか。かといって、使い道を国が規定したら補助金と変わらない。
思いっきり使い道をオープンに住民に示して、批判に耐えるのがイチバンだと思うが。。。
 

« 鏡の中の青空 | トップページ | 謎の虫食い? »

政策・行政関係」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 国の森林環境税で思い出す森林交付税構想:

« 鏡の中の青空 | トップページ | 謎の虫食い? »

January 2025
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

森と筆者の関連リンク先