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森と林業の本

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2017/06/06

川は生きている……

先日、ブックオフで手に入れた本が2冊。

 
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川は生きている』と『道は生きている』だ。どちらも富山和子さんの著作。ちなみに『森は生きている』もあったが、こちらはパス(笑)。
 
初版はいずれも1984年。30年以上前の本である。しかも子供向きの大きな活字と全漢字にルビ付き。いかにも読みやすい(~_~;)。
 
富山和子さんの著作であり、名著とされているが、実はこれまで読んだことがなかったので、せっかく目についたのだからと購入したのだ。1冊108円だったし(笑)。
 
 
まずは『川は生きている』。
まだ冒頭しか読んでいないが、なるほど名著の名に値する。デレーケの言葉や信玄堤の話から暴れ川を説明し、日本人がいかに治水と向き合ってきたかが語られる。
 
ここから当然、森の話、林業の話へとつながるのである。
 
 
実は、ちょっと森と水の関係を歴史を通して調べている。
 
昨年は河川法が誕生して120年だった。この河川法は森林法、砂防法と合わせて治水三法と呼ばれ、欧米を含めて世界的にも早いものとして評価されている。
 
それが1947年に改正されて新河川法となった。今年はそれから70年である。さらに1997年に改正されて現在の改正河川法になり20年である。
なかなか節目の年ではないか。
 
現在の改正河川法の特徴は、「多自然型川づくり」を謳っているところ。
国土交通省がその評価を「多自然型かわづくり推進委員会」を開いて今頃やっている。
委員の発言によると、なんだか世間に多自然型川づくりがあまり知られていないことが不満みたい(~_~;)。だから、ここで紹介して上げよう。
 
でも、学者ばかりの委員では厳しいね。私のような立場の人を混ぜなさい(⌒ー⌒)。
 
 
実は、森と水の関わりの研究は随分進んで、新たな知見が次々と生れている。
 
たとえば森に降った雨のうち、1~3割は地面に到着していないことがわかってきた。樹木には降水遮断作用があるのだ。
それは降った雨粒が枝葉や幹に付着することだが、それが地面に落ちる前に蒸発してしまうのである。前から言われていたことだが、森林総研でその原因の研究もされている。
 
この作用を突き詰めれば、森があることで地表に達する水量が減るわけで、森林が水を溜めるという世間の常識をゆさぶることになる。
 
だからと言って、『川は生きている』の価値は下がらないだろうが、それでも、森があることで川は水で潤わされ、治水にも利水にも役立っているという新たな理論武装をしなくてはなるまいな。
 
 
 

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