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森と林業の本

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2017/07/31

ナラ枯れの後に

暑い盛りだが,無理して森の中を歩いた。たまには自然の中で汗を流そう。

 
そして、案の定ナラ枯れを見る。主にコナラやアベマキ、クヌギの大木が枯れているのだ。まだ生駒山系では終息していないようだ。あちらこちらと葉が赤く染まった立ち木が目に入る。カシノナガキクイムシが穿入して増殖すると、幹の導管が詰まって水が上部に上がらなくなる。そのため萎凋するのだ。まるで夏の紅葉のよう。
 
おそらく夏が終わるころには枯れるのだろう。全部ではなく、一部は生き残り来春再び新芽が出ることもあるから焦らないで見守りたいが、すでにここ数年のうちに随分枯れた。
 
その跡地が目に入る。
 
008
 
なんだか森が明るくなったみたい。もっとも葉を多くつける夏は、落葉樹林であってもわりと暗い森になるのだが、すっきり日射が林内に射し込んでいる。ナラ枯れで葉が落ちたからだろう。加えて枝も朽ちて随分落ちている。
 
009
 
こちらは、ナラ枯れ木を伐採した現場。大木が除かれたわけなので、当然ギャップができて明るくなっている。
 
こんな風景を目にすると、ナラ枯れも自然の節理だな、と感じる。森を暗くしていた大木が枯れて倒れて、次の遷移に繋がっているのだから。
もっとも、遷移の方向がどちらかが問題で、明るくなった林床から次の落葉樹の稚樹が伸びているのなら「森の若返り」と言えるのだが……。
 
どうやら観察したかぎりでは、新たに伸びているのはほとんどが照葉樹のよう。もともとコナラの下に育っていた稚樹はカシやソヨゴなどが多かったからだろう。落葉性のアカメガシワなどもあるが、こちらは高木にはなるまい。これらが育てば照葉樹林になってしまうし、高木になるかどうかもわからない。
枯れたナラからは萌芽も実生も育っていない。ドングリは毎年大量に落ちるのだが、多分、イノシシやノウサギ、それに虫などに食べられてしまうようだ。(シカはいない。)
 
そんなわけで、ナラ枯れ後は落葉樹林を保つ効果は少なそうだが、それも時間の尺度による。栄枯盛衰があって、100年くらい経ったらまた照葉樹から落葉樹へもどる遷移も起きるのではないか、と想像している。
照葉樹の一強時代がずっと続くとは思えないのだよ。
 
その原因が何かはわからないが……山火事かもしれないし、斜面崩壊かもしれない。カシナガに負けない照葉樹特有の病害虫が広がることだってあるかも。
 

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