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2017/07/19

『明治乙女物語』と土倉翁

今日は土倉庄三郎の没後100年を記念して、翁が設立に深く関わった同志社を探訪するツアー(川上村主催)に参加した。主に見学したのは、同志社大学、同志社女子大学である。

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私が土倉庄三郎を追いかけた際、多くの事績の中でも興味を引いたのは、女子教育に力を入れた点だった。自らの娘以外にも多くの女子に教育を就けさせるための援助しているし、女子校に多額の寄付も行った。女子が学ぶことを大切とする発言も数々示している。
 
当時の時代背景や山里の古い名家の出身であること……などを考えると、なぜ庄三郎がこれほど女子教育に理解があったのか不思議なのだ。
同時に、幼少時にいきなりキリスト教(西洋)式の学校に親元を離れて預けられる子供たちに思いを馳せた。世間の眼も学ぶ女子に決して温かいとは言えなかっただろうに。。。
 
 
さて、今日は翁の命日だからこそ、小さなわだかりを爽やかな風でぬぐってくれるような小説を紹介したい。
 
Photo明治乙女物語』 滝沢志郎
 
時は明治21年、いわゆる鹿鳴館時代の高等師範学校女子部。今のお茶の水女子大である。
 
ここで学ぶ女子学生の青春の群像劇を、当時の文明開化の風俗とともに、軽いミステリー仕立てで描く。帯文にあるとおり、今年度の松本清張賞の受賞作で選考委員の絶賛を浴びた作品だ。
 
緻密に描かれた明治ならではの社会背景を舞台に、今と変わらぬ感性を持った女子学生が精一杯生きる。虚実取り混ぜたストーリーなのだが、それは世相と戦う「戦う乙女」であり、新しい世を切り開く女子の姿を感じる。
※ストーリーは、Amazonのリンクにでも飛んで読んでほしい。
 
 
彼女らを前にして行われる森有礼文部大臣の演説には、ついジーンと来てしまった。それは結びにかけて限界を見せるのだが、それもまた時代に翻弄される象徴のようでもあり……。
本書は、明治の女性を通して現代社会の内面を照射しているかのように感じたのだ。
 
 
私は、土倉翁を追う過程で、自由民権運動の中の女性たち(影山英子ら)や、新島襄と八重、また広岡浅子を知った。同志社女学校の生徒たち、中でもアメリカに留学後、陰の外交で活躍した土倉政子らの姿を知った。それが登場人物と重なってしまう。
 
とりわけ今日のツアーでは、新島八重の存在を改めて感じた。会津戦争では男の藩士に混じって戦ったジャンヌ・ダルクであり、後半生では戦場で傷ついた兵士を治療するナイチンゲール(看護師)となり、晩年は男のものだった茶道を女性に開放した。時代と戦う乙女そのものだ。
 
八重の背後に小説のような乙女が続いたかと想像するのも一興である。

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コメント

ご紹介いただき、ありがとうございます!
目下修羅場中の今の仕事が終わったら御著書も拝読します(^^)

ご著者が“降臨”しましたv(^0^)。
 
受賞後は、さぞかし依頼が殺到していることでしょう。頑張って乗り越えてください。私も(夏の暑さを)乗り越えます。。。

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