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森と林業と動物の本

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2017年8月

2017/08/31

虫ロード

ふと思いついて訪れた矢田丘陵の山道。どうやら生駒側から大和郡山へと横断するルートらしい。

 
以前、散歩中に見つけた道なのだけど、その時は時間がなくて十分に進めなかった。
今回、ふと思いついて進んでみようと思った。サンダル履きだけど、記憶ではわりとしっかりした道だったし……。
今回も時間的にはそんなに余裕はないのだが、少なくても峠までは行ってやろう、と思い、幹線道路から山道に分け入る。
 
まず迎えてくれたのが、このショウリョウバッタ。
 
3
 
アップで見ると、わりと可愛い顔をしている(^o^)。
 
 
さて、道の奥へと進む。木が繁って日陰になるのはよいけれど、すぐ道は草に覆われ傾斜が厳しくなる上、イノシシが掘り返したらしく地面がグチャグチャだ。歩きづらいことおびただしい。ちょっと後悔。
 
しかし道の状態以上に伏兵が現れた。虫だ。私の回りにコバエ?が飛びまわり始めたのだ。こっちはショウジョウバエ? とにかく耳元で嫌な羽音が響く。
手を振って追い払うが、きりがない。棒を持って振り回した。これはクモの巣を払う意味もあるのだが、とにかくウルサイ。いや、身体にもまとわりつく。
 
こうなると休めない。走るように進む。はまると虫が寄ってくるからだ。走る走る。虫を追い払うために走る。グチャグチャに掘り返された道をサンダルで駆け上る。
 
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おっ、ついに峠だ……。虫に追われて峠までノンストップになってしまった。。。
 
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峠を出ると、小さな谷に棚田が広がっていた。開けていると風もあり、虫が寄ってこない。
ホッとする。。。。
 
が、これから来た道をもどるとすると、また虫ロードを突破するのか?
 
躊躇した。棚田があるということは、近くに広い農道があり、集落もあるはず。ならば、虫に襲われないように、そちらのルートを取ろう。
 
というわけで、棚田の中を走る。
 
たしかに集落に出た。が、そのまま進むと大和郡山に出てしまう。生駒谷の方面に進もうとすると、ちょうど出発点方面への矢印のある山道を発見。
その道に分け入るが……またもや草ぼうぼう、イノシシでグチャグチャの道なのだった。これは廃道だったか。
しかも、虫の数は増えたんじゃないか(泣)。。
 
手を振ると、その手に数匹はぶつかり指の間に挟まる。虫でできた雲の中に入ったみたいじゃ。気が狂いそう。 
行く手には、暗いトンネルまで現れた。
 
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虫に追われて飛び込む。走り抜ける。
 
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すぐにまた真っ暗のトンネル道。虫に追われて飛び込む。不思議と暗がりでは虫が出ない。トンネルを出るとまた虫に囲まれる。
 
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倒木に前をふさがれる。虫に追われて倒木をくぐる。
 
……そんなわけで、ノンストップで帰り着いたのだった。。。時間も問題なかった。虫のおかげだろうか?

2017/08/30

WEBRONZA「水害と林業……」を執筆した理由

WEBRONZAに「九州北部大水害と林業の関係を考える 」を執筆しました。

 
このサイトは有料ページなので、契約していない人は冒頭しか読めない。
 
もっとも内容は、7月の水害発生時にブログやYahoo!ニュースに記した路線である。
ただ今回は、ちゃんと水文学の専門家に取材して、原稿チェックも念入りにしてもらったから自信を持って世に問える。(え、ブログ記事は自信がないのかって?)
 
それに本当に書きたかったこと、執筆した理由は、冒頭部分に示してあり読める。
 
>水害と森林の関わりについては、長年の研究で積み重ねた科学的な知見がある。
 
この部分である。
 
水害に限らない。どんな事象でも、それなりに科学的なテーマはコツコツ研究されており、多くの知見の上に現在がある。それに対して敬意を持たねばならない。
 
ところが、ときに過去の積み重ねを否定する声が出てくる。むしろ過去の研究成果をひっくり返すことが正しい、かっこいいと主張する輩が増えている。
人が森に手を加えたから水害が起きるのだ」と唱えると、納得した気持ちになって心地よいのだろう。 
とくにSNSでは、他人の発言にツッコミを入れるのを楽しんでいるようなところがあり、「こいつの知らないことを俺は知っている」と言いたがりが集まっている。
 
 
しかし長い年月をかけて見つけてきた科学的知見を軽視するなかれ。もしひっくり返したければ、積み上げてきた論文と同量の新事実を見つけるべきだろう。
修正することはあっても、それも積み重ねの上だ。アインシュタインの相対性理論が登場したからと言ってニュートン力学が否定されたわけでもなlい。 
 
拙著には、かつて「森は酸素を出さない」とか「木を伐って森を守る」なんて一般人の常識とは逆の言葉が並んだから、奇をてらう意見を集めているかのように誤解する人もいた。
逆だ。私は可能な限り定説となった知見を選んで扱っている。 むしろ間違った常識が広がっていることに警笛を鳴らしているつもりだ。
 
おりしもフェイクニュース、オルタナティブ・ファクトなんて言葉が流行り出したが、踊らされてはいけない。

2017/08/29

教えないよ

某大学のゼミ生から、林業をテーマに取り上げるので教えてください、という依頼がきた。

その後、多少のドタバタはあったのだが、昨日5人のゼミ生と面会。
 
彼らは、経済学部の環境関係のゼミの中で林業をテーマにしたのだという。最初は、日本林業を救うかもしれないCLTについて……という依頼だった。
私は学生に対しては優しい。中学生から大学生、院生まで請われればお会いすることを厭わない。ただ、対応も手加減をしません。
 
 
今回の私の対応といえば……。
 
なぜ林業を選んだの?
なぜ林業を振興しなくちゃいけないの?
なぜ林業を振興したら生物多様性が保たれるの?
なぜ木材が売れたら林業振興になるの?
なぜ木材を使わなくてはならないの?
なぜ、なぜ、なぜ……なのであった(笑)。
 
ようするに、私が質問をしたのであって、何も教えない、何も答えない(笑)。
 
もちろん「なぜ」だけではない。
 
「「何が問題?」「木材の何がいい?」「こうしたら……どうなる?」「どうしたらいい?」「どちらがいい?」「結局、どんな状態にしたいの?」なんてのもあった\(^o^)/。
 
学生がどの程度勉強してきたのかの確認の意味もあるが、「考えなさい」ということだ。
私が何らかの意見を言って、それをそのまま写して「わかりました」「レポートできました!」となっては困る。自分で考えて自分なりの意見を持たねば意味がない。
ゼミナールって、答探しではなく、答の探し方の勉強みたいなものだ。
 
それなりに事例や事実関係はお伝えしますよ。こんなこともあった。こんな考え方もある。それを実行した人はこうなった。こんな方法を取っている林業家もいる。。。。あくまで事例。全体に通じる方策ではない。
 
 
実は質問の根幹はシンプルで、求めている理想の状態は何か。現在はどんな状態と感じているか。現在を理想に近づけるには何が必要か。今から何をすべきか。という枠組で尋ねているだけである。
 
加えるとしたら、その舞台(シチュエーション)は林業だけなのか、ほかの産業も含めた経済なのか、地域経済なのか、日本経済なのか。いやいや経済だけでなく社会全体なのか。あるいは森林環境だけなのか、地域環境なのか、日本全体、もっと地球環境まで考えるのか……という広がりかな。
 
とりあえず考えて考えて考え抜いてもらおう(⌒ー⌒)。
 
教えないよ。
 
なぜって、私も正解を知らないから(^^ゞ。
教えられることなんぞないのだ。
 
 
それが回答かもしれない。ゼミ生だけでなく、林業界に対しても。画一的な行政の指導に唯々諾々と従うのか、補助金に合わせて仕事を選んでいいの?
 
自分を取り巻く条件をよく見極めて、どうしたいのか心の声をよく聞いて、よくよく考えてもっとも適切な方法を選ぶ。それしかないじゃないか。
 
 

2017/08/28

木製エクステリアはやっぱり?

近隣の森の遊歩道を散歩した。

 
すると杭がバタバタと倒れている現場に遭遇。
 
1
 
誰か引き抜いたアホがいるのだろうか。。。
 
たしかに力を加えた痕跡もあるのだが、倒れた杭の根元を見ると。
 
2
 
やっぱり腐っている。どうやら防腐剤を注入した木杭ではなく、塗料だけだったのだろう。
いたずらでなくても遠からず倒れていたかもしれん。
 
そして遊歩道の一角の木製歩道橋は。。。
 
3
 
とうせんぼしていた。
 
見たところ、さほと傷んでいない。歩いても(入ったのかよ!)問題ない。床板には薬剤を注入した跡があったから、そう簡単に腐りはしないはずだが。。
もしかしたらつなぎ目が金具だったので、そこが腐植しているのかもしれない。
 
ただ,こんな状態だと、市の担当者でなくても、「やっぱり木製は長持ちしないな」と思うだろう。改築費用を考えたら樹脂製の杭とか、鉄骨歩道橋にしようと思うかもしれない。またメンテナンスを考えてもその方が楽だろう。
 
実際は木製でも使い方次第だろうとか思うのだが、それには知識も必要となり、一般人に求めるのは無理がある。
こんなところで木製品はイメージ悪くなるんだなあ、と妙な感傷に耽ったのだった。。。

2017/08/27

ツキ板ノート

ふらりと寄ったリサイクル店、というよりバッタもん店。食料品から生活雑貨、家電に洋服に家具に……とありとあらゆるものが積んである。

 
それらを見て回るのは、ヒマツブシには面白い。たまに掘り出し物を見つけるのだが……。
 
今回目に止まったのは、これだ。(これは中古ではなく、もちろん新品。)
 
1
 
ツキ板が表紙のノートである。表紙はスギ、クロス(背表紙部分)はウォールナットだ。これが入れ代わった表紙がウォールナットのものもあったが、木目がわかりやすいのはスギだろう。
そして中紙は、竹。わざわざ国内産竹100%(ホワイト)と書かれているが、ならば中越パルプ工業の竹紙しかないね。
こんな凝ったノートがよりによってリサイクル店に山積みなのだ。価格は385円だったかな。安くはないが、多分元値はもっと高いのだろう。
……ということは、売れ残りを放出した? まさにバッタもん。
 
製造元は、カミオジャパンとある。文房具やファンシー商品をつくっている会社だが、こんなノートもつくっていたんだね。ただ、ホームページを見たところ、ラインアップにこのノートはない。もう製造を中止したのだろうか。 
 
こうしたこだわりの品は、案の定というか、売れないのね(~_~;)。
 
ちなみに、私はもう一つのツキ板ノートを持っている。
 
2
 
こちらの方が木目がよく出て節もデザインになっているが、逆に節が抜け落ちている。またリング式は使い勝手はよくない。
 
どちらも表紙が硬質なのでノートを手に持ったままメモが取れるという点では取材ノート向きだ。現在はモンスキンのノートを使っているが、次はこれを取材ノートにするかな。

2017/08/26

多肉植物の生命力

昔から多肉植物(カクタス)が好きだ。

 
なぜって、強くてなかなか枯れないから(笑)。実は世話を忘れがちなので、普通の鉢植え植物だと枯らしてしまいがちなのだ。その点、多肉植物は、少々放置してもたくましい。ま、たまにサボテンでも枯らしてしまうが……。オイ
 
現在、ベランダにゲッカビジンと、フチベンケイ(カゲツ)、そしてセイロンベンケイソウ(ハカラメ)がある。
 
どんどん生長するので、たまには剪定?する。伸びすぎた部分を切り取るのだ。
でも、切り取った部分を捨てるのは忍びがたくて、プランターにそのまま置いておく。すると、それが根付いたりする。
 
Photo セイロンベンケイソウ。
 
ハカラメ(葉から芽)というだけあって、ちぎった葉っぱを置いておけば、そこからまた芽が出て伸びだした。
 
Photo_2
 
こちらもベンケイソウの仲間であるフチベンケイ。カゲツ、カネノナルキという和名?別名?愛称?もある。これも、切り取った葉っぱを土の上にいておくと根付いて新たな葉が広がりだした。
 
Photo_3 ゲッカビジン。
 
これはクジャクサボテンの仲間。月下美人の名のとおり、夜に花を咲かせる。
むしった葉を置いておくと、根付いてしまった。そして、なんとつぼみを付けているではないか。小さいが、花開くだろうか。
気になるのか、ウサギとクマが見守っているが……。
 
 
なぜ多肉植物は、強いのだろう。単に葉が分厚いので水分を溜められる……だけでは説明がつかないと思うのだが。葉や茎の細胞が活性化しやすく、すぐに分裂して根をつくれるのだろうか。根ができたら水分・養分を吸い上げて発芽もできるだろう。
生長も比較的早い。一体、その力はどこから湧いてくるのか。
 
 
そういや、樹木も萌芽の出せる種と出せない種がある。種別ではないのかもしれない。スギの中でもウラスギと呼ぶ品種は、切株から萌芽を出せる。オモテスギにはその能力はない。同種なのに、この差はどこでつくのだろう。どんな植物でも、人為的に萌芽を出せる能力を発現させることもできたら面白いのたが。
 
(多分、研究されているのだろうけど、調べる元気が湧かない(~_~;)。)
 
 
弱点と言えば、寒さに弱いこどぐらいだろうが、種類によっては野外で冬を越せるようなものもある。我が家にあるものはそうでないが。
でも、すべての多肉植物を冬になったら室内に入れるのは無理なのだよ。。。。
 

2017/08/25

有機肥料を森林資源に

アメリカの市場調査会社が、オーガニック(有機)肥料の市場が、2017年から25年までに毎年7,6%ずつ成長するという見通しを発表している。25年には64億ドルの市場になるというのだ。現在からすると、1,9倍である。

 
これは世界的に有機農法が広がるという見立てである。今でもヨーロッパで拡大中だが、今後はアジア太平洋地域の伸びが大きいという。
また内容は、大半が家畜の排泄物を利用したものとなるというが……。
 
 
残念ながら日本の有機農産物の伸びは大きくない。微増というか誤差範囲というか。全農家数の0,5%、農地面積の0,2%にすぎない。消費者も、欲しいと言いつつ価格が少し上がると手を出さない。よくアンケートでは1割程度高いのなら……と出るのだが、実際に1割上がると買わない(笑)。
 
ただ、「日本はガラパゴスだから」と開き直れない事情が生れている。オリンピックだ。ここでは選手向きに有機農産物やアニマルウェルフェア(家畜の適正環境による飼育)が要求されているからだ。
どうするんだろうか。輸入する。。。? オリンピックは和食や国産材を売り込むチャンスとか言っているが、情けないことになるかもしれない。
 
とはいえ、世界的に有機農法が広がるのなら、遅れて日本市場でも増えるだろう。その時も輸入有機農産物で対応するのは、情けないを通り越して恥ずかしい。
実は、日本国内の有機農家の使う有機肥料は、素材が輸入品だったりする。魚粉や鶏糞、腐葉土や土砂まで輸入が多いのだ。つまり国産有機農作物と言っても、実は海外産に支えられていることになる。 
 
 
それで思った。有機肥料の生産がビジネスにならないだろうか。そして、ここに林家が参入する余地はないだろうか。
 
手間をかけずに山中に埋めるだけ。最初に落ち葉や家畜排泄物、食品廃棄物などを運びこめば、その後何もしない。数年かけて自然に堆肥になるのを待つ。堆肥の材料の質(有害物を排除し、には気を配る必要はあるが、それ以外は時間に任せる。
 
日本で有機肥料をつくるというと、なんだか大げさなプラント設備を建設することが多いのだが、それは促成醗酵させようとするから。時間をかければ何も手をいれなくてもできる。山奥なら臭い対策も必要なかろう。
何十年とかかる木を育てるより数年でできる完熟堆肥の方が儲かるような気がする。
 
完全に分解されてできた堆肥は、森林資源ではないだろうか。

2017/08/24

Yahoo!ニュース「名古屋城天守閣のために…」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「名古屋城天守閣のため鎮守の森が伐られている 」を執筆しました。

 
この情報がもたらされた直後、愛知県新城市の取材が決定した。なんという偶然。私にこの記事を書きなさい、という天の御告げなのだろう(笑)。
 
さらに、その直後に某雑誌から「何か記事を書きませんか」という申し入れがあった。ならば、こんなネタどう? と本件を紹介する。なんというグッドタイミングか……。
 
 
ただ、その雑誌、執筆者の名前は載せないのだという。そして、私のこの情報をどこからもたらされたのか、と聞いてくるのである。
 
情報源の秘匿はジャーナリストの必須条件である。なぜ、そんなことを聞くのか、と問い返すと、「市民活動家の方が訴えている、ということであれば……」。
 
これって、情報源が市民活動家の場合は色眼鏡で見るということ? 
今回はまったく違うのだが、記事の事実関係が重要なのであって、誰が情報源であっても関係ないだろう。そして私は現地取材をしており、情報源からの一方的な情報だけに頼って垂れ流そうとしているわけではない。
こうしたスタンスの編集部とは信頼関係が築けそうにない。
 
というわけで、Yahoo!ニュースに記したのである(^o^)。
 
 
ちなみに名古屋城天守閣の木材の調達先に関しては、私には腹案がある。
 
まずは集成材を使うこと。これならいくらでも手に入る。
 
もう一つ、自前の、つまり名古屋市の大木があることに気づいたのだ。
 
それは名古屋城に向かって歩いているとき。大通りの両側には街路樹が並んでいる。多くがケヤキと見えた。そして、それは直径50センチ以上もある大物ぞろい。これを使えばいいではないか。枝分かれが多いので直材は2メートルくらいしか採れないだろうが、それは組み手でつなげばよい。
地元の木で天守閣を建てたら、愛着も一塩だ。
 
どうだろ?
 
3

2017/08/23

大和森林物語5は、『林政意見』!

毎日新聞奈良県版に連載している「大和森林物語」の5回目は、土倉庄三郎の5回目でもあり、『林政意見』を取り上げた。

 
 
実は、この連載の土倉庄三郎の項目は、5回で終わらせる予定だった。つまり今回が最終回だから、やはり庄三郎が亡くなる話にする……はずだった。
 
だが、直前で心変わり。いや、正確に言えば「庄三郎死す!」の原稿も書いていた。しかし、どうも引っかかる。
ちょうど九州北部大水害が起きて、水害と森林に関することが話題に上っている。この点について庄三郎の意見もあるのだ。それに触れたい。
 
というわけで、急遽変更。上記の『林政意見』の出版話に切り換えることにした。
 
ちなみに紙面には載らなかった『林政意見』とはこんな感じ。
 
Photo
 
そっけない(笑)。
 
だから中身をちょい見。
 
2
 
こっちも文字ばかりでそっけない(~_~;)。
 
少し、新聞記事の後半を引用しよう。
 

 庄三郎らが対策として挙げたのは、国有林を分割して、国に残す一部以外は府県郡村に移管することだ。自治体が森林を基本財産とすることで林業振興と貧民の救済につなげることを訴えた。

 林業は山に近いところで経営すべきで、遠くの中央政府が机上で行うものでない、という信念があったのだろう。

 また山川省を設けて、全国の山林河川の業務を統一するよう提案した。治山・治水は両輪なのである。省庁の縦割りが災害対策の進まぬ理由と見抜いていた。これも現代に通じる問題点と言えるかもしれない。

 そして林学の専門教育を受けた官吏の養成も主張した。3年後、続編に当たる「再ビ林政ノ刷新ヲ論ズ」を発表しているが、この点に関して各府県に森林行政機関を設けて、専門の官吏を養成すべしとした。地方の人材を侮るな、ともある。

これは二人の合作で、しかも口述筆記だから、どこが確実に土倉庄三郎の意見なのか特定することは難しい。ただ語調からすると、全体がかなり檄文的で、仲邨博士よりは庄三郎の部分が強いように思う。
 
 
次回こそ、庄三郎に死んでもらう(~_~;)。

2017/08/22

虫の声から見た森林環境論

暑さがぶり返してきたが、ツクツクボウシの鳴き声を聞いた。季節はやはり進んでいたか。

 
そこで森の中を久しぶりに歩いてみた。当然、暑いし、緑がギシギシと取り囲むように伸びてきているように感じて、少々恐れを感じる。
  
そんな中で虫の声のシャワーを浴びた。
 
夏の終わりはとくに虫の声が激しい気がする。セミを始めとして、バッタも見かける。秋の虫も増えてきたのだろうか。
 
Photo_2  Photo
 
この虫の声、デシベル単位で表示したら、どれほどの音量だろう。結構な騒音レベルではないか。そもそも人が聞き取れるのは20~30キロヘルツ間だというが、そこから外れた低周波・高周波の鳴き声もあるだろう。
 
森の環境とは、こうした音も入っている。緑の色や草の匂い、など視覚、嗅覚はよく指摘されるが、聴覚も忘れてはならない。音には風の音、動物の鳴き声などもあるだろうが、虫の声はバカにならないはずだ。
 
そんな音響、虫の声から森を見たらどうなるか。
 
低周波の森、高周波の森、なんてのもあるかもしれない。季節によっても変わるし、気象や生息する虫の酒類でも変わるのではないか。熱帯雨林と日本の森の違いとか、針葉樹林と広葉樹林ではどう違うか、アマゾンとアフリカの森の違いは何かとか。
 
 
こんな点を誰か研究していないのだろうか。
 
熱帯雨林では、100キロヘルツ以上の高周波音がかなり強いという観測結果が出ているそうだ。間の耳には聞こえないが、熱帯雨林の中、もしくは周辺で暮らせば、常に浴びていることになる。
音源ははっきりしないが、虫の声ではないか、と推測されている。高周波を浴びることが「森の心地よさ」に結びつく可能性だってあるかもしれん。
 
 
が、虫の声を聞いても、あんまり嫌な気持ちにならない。むしろ時折車やバイクの排気音が聞こえると気持ちをかき乱される。また電車の音も聞こえるが、自動車ほどではないにしろ、何か違和感がある。
 
よく「虫の声を心地よく感じるのは日本人だけ」という俗説?があるが、怪しい。今どきの「日本スゴイ」の走りだろう。虫の声を好む外国人だっているはずだ。
 
森林環境の研究はいろいろな角度から行われているが、音響から、とくに虫の声から研究したら生命の世界がまた違って見えるかもしれない。

2017/08/21

宮域林、空白の700年

先日もお知らせしたが、今度伊勢神宮で講演を行う。そこで、式年遷宮の木材や宮域林について、にわか勉強している。
現在の遷宮に使われる木材はほとんど木曽から得ているが、前回ようやく宮域林からも使うようになったことはご存じだろう。これが700年ぶりと言われる。
 
古代は、神宮周辺の宮域林(神路山)や志摩の伊雑神戸(いざわかんべ)から用材を得ていたのだが、資源が尽きたため各地に移した。戦乱など治安の悪化で搬出できなくなったこともあるようだ。
 
では約700年間、宮域林はどうなっていたのか。その点がちょっと気になっていた。
 
まず驚くのが、鎌倉時代初期の東大寺の大仏殿の再建に使いたい、と重源上人に霊告があったという記録だ。仏教寺院の造営に神宮の木を使っている可能性があったこと。神仏混交が驚くほど進んでいたのである。
実際に伐りだしたという記録はないが、重源や東大寺の僧60人が伊勢参拝した記録はある。お礼参りだろうか。 
 
一方で平安時代から伊勢や志摩では塩の生産が盛んだったらしい。かなりの規模の製塩業が営まれていたのだが、その燃料に近隣の山の木を使っていた。宮域林も含まれる可能性は高いのではないか。
 ゛
また江戸時代には宮域林から村落の建築資材や薪炭を得ていたという。何度も禁令が出ているのは、幾度も破って採取されていたのだろう。
とくにお伊勢参りが流行ると、全国から押し寄せる参拝客の接待に莫大な燃料が必要となる。それらは全部薪炭だ。山が荒れるはずである……。
 
大正時代に、洪水対策も兼ねて、森林経営計画が作られた。これによって、ようやく遷宮用材の生産を再びできるようにしようという気運が高まったようだ。
 
3
 
面白い。最初は豊富な木材資源があった山も、ついに伐り尽くして薪炭利用に切り替わり、近代に入って復活が図られるというのは、日本全体の森林史に通じるものを感じる。
 
そんな話も織りまぜようかなあ。
9月2日(土)13時~14時30分
伊勢神宮せんぐう館催事室(外宮)
演題  森林は街がつくった
講師  田中淳夫氏(森林ジャーナリスト)
内容  テーマ「森林を求め、林業を生み出したのは街の人である」
 
※ウェブサイトか電話・FAXでお申し込みください。 当日受付も可能
※聴講無料(別途入館料が必要・大人300円)
 
☎ 0596-22-6263
  

2017/08/20

由義宮の運河発掘

このところ、私的に興味深いニュースが続く。対馬にカワウソ発見とか……が、おそらくローカルニュース扱いされているこちらはいかが。

 
 
奈良時代、女帝・称徳天皇の寵愛を受けて出世したとされる道鏡ゆかりの離宮「由義宮」は、幻の離宮だった。続日本紀に記載があるのに、どこにあるのかはっきりしていなかったから。
どうやら、それらしき場所(東弓削遺跡)が発掘されたのだ。
 
道鏡と言えば、帝位を狙った極悪人扱いされたり、天皇との悲恋として扱われたりと毀誉褒貶が激しいが、ここで歴史物語を語るつもりはない。
 
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この遺跡からは約20メートル四方の基壇を持つ建物跡が見つかっている。そこには高さ60メートル級の七重の塔があったのではないかと思われるのだ。となると、大量の木材が必要だったろう。
さらに、幅16メートル、深さ1メートルくらいの大溝も発見された。おそらく人工河川があったと見られるのだ。当時近くにあった川(玉串川)に繋がっていると考えれば、総延長600~700メートルの運河ということになる。
 
それは造営資材の運搬のため……主に木材を運ぶためと想像できる。
 
Dsc_0585
 
巨大建築物を建てるための大量の木材をどこから運ぶのか。奈良からならば大和川経由か。もしかして近江の国か丹波の国から淀川を下り、支流を遡った可能性もあるが……。
 
改めて、重量物、とりわけ木材の運搬は水運が頼りだったと思い知る。巨大な丸太を陸路運ぶよりは、運河を長くても掘る方が楽だったのだろう。
 

2017/08/19

森林本位制と木本位制

日経新聞に「ビットコインと森林本位制 」という記事が掲載されていた。

 
触りを紹介すると
 
「人類が直面する長期的難題すなわち地球温暖化問題を、新しい貨幣制度で解決できるのではないか、という可能性である。」
「ある「モノ」が貨幣としての価値を持てば、人々はそのモノを採掘または生産しようとする。その対象を、二酸化炭素を吸収する森林にする、というのが森林本位制のアイデアである。金本位制と同じように、森林を正貨として中央銀行が管理し、森林持ち分証券を貨幣として流通させる。」
「そのような世界では、人々は競って植林を行い、森林を増やそうとする。貨幣を得ようとする人々の利己的な利潤最大化行動が、地球環境を改善させる。こうした筋道は、経済学的にはほぼ自明と思われる。コロンブスの卵のようなものだ。人類を救う新しい貨幣システムを構想できないものだろうか。」
 
これを新たに登場したビットコインと照らし合わせることでCO2吸収源としての森林を通貨とする可能性を論じている。森林通貨を増やすことによってCO2削減に繋げる発想だ。
 
なんだ、私が10年も前に考えたことと同じではないか、と思った(笑)。
 
どこに書いたかな、と思って探すと、こちらにあった。古いブログである。2006年だ。
 
 
ここでは木材を通貨にしようというアイデアを披露している。ただ日経よりも地に足がついている(笑)のは、仮想通貨を中央銀行が管理する正貨にするのではなく、まずは地域通貨はして流通させるのだ。
しかも「生木券」と「材木券」の2種類に分ける。生木券は、木が太れば利子が生れるが、枯れたり災害で消えるリスクもある。材木券は加工によって価値が変わる変動相場(笑)。
 
コメント欄の応酬も面白いので読んでほしいが、最後に「森林本位制」にも言及している。
そこでは通貨というよりは「証券化」に触れている。 物理的な貨幣ではなく数値だけで動かすことも可能だから、ビットコインのようだ。当時はビットコインのよう仮想通貨は存在しなかったのだが。
 
ここまで行けば、森林証券の先物市場もほしい。相場師の介入で、森林の価値が乱高下するかもしれないが。ディリバティブのような複合商品をつくってリスクヘッジを図るのはどうだろう。しかしデイトレードは拒否したい。樹木は1日にして成らず、だから。
 
 
ちょっと真面目に考え直すと、重要なのは「森林-材木」に価値を置くことで、土地ではない点だ。つまり土地は所有しなくてもよいし、するにしても金額をずっと落とす。現在の10分の1くらいが妥当ではないかと思う。土地ではなく、上に生えている樹木プラス草本・野生鳥獣などが存在する森林という空間に価値を認める。
 
そうすると、森林土地を持っているだけでは価値がほとんどない。運用して価値をつくらねばならない。土地の価格が安ければ流動性が高まるから、やる気のある人が参入でき、資金も流れ込んでくるだろう。
志ある人は、荒れた森もしくは裸地を安く購入(借用でもよい)し、そこに豊かな森を作ることで価値を膨らませる。いわばベンチャー企業が、創業者等にストック・オプションで株を安く与え、業績を上げることで利益が膨らむというインセンティブを持つように。森林の蓄積価値で儲けるのである。創業者利益ならぬ造林者利益を確保する。
 
う~ん、ちょっと夢見るな。。。。

2017/08/18

Yahoo!ニュース「「林業は成長産業」って本当?」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに『「林業は成長産業」って本当? 』を執筆しました。

 
直前に、「日本の林業は「成長産業」 若者比率など驚くべき状況……」と言った記事がネットで流れたので、それに対する当てつけだろう、と思っている人が多いと思う。実は……その通りだ(笑)。
 
いや、インスピレーションをいただいたのは事実なんだが、ずっと前から考えていたのだよ。記事にも触れた通り、そうした取材で私のところに連絡が幾度も入っているから。その度に説明するのだが、納得しないというか、そんなことを言われたら困るという反応になる。番組や記事にならなくなると思ったのだろう。
 
 
もう一つ。「成長産業」という言葉に思い出がある。
 
私が勤めたばかりの新人の頃、リクルート社の「成長企業の研究」という冊子づくりを命じられたことがある。ようするに企業案内というか就職活動の冊子なんだが、その広告ページとは別に、冒頭に就職運動に関するノウハウや企業情報を調べるハウツウを書かされたのだ。
 
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問題は、タイトルにある「成長産業」の定義だ。
 
担当者ははっきり言った。「中小企業のこと」。
 
大企業の就活案内冊子は別にある(いわゆるリクルートブック)。それに対する中小企業の案内なのだが、中小企業と書いたら人気が出なくなる。だから「成長企業」と名付けて、将来性のある会社と思わせるのだと。
 
実際、紹介するのは小さな会社ばかり。本当に成長しているのかどうかも怪しいのだが、業績が伸びている、社員数が増えている、特別な技術を持っている、世界で(日本で)ここだけの商品を持っている……と特徴を探して取り上げる。
 
ま、あの頃は日本経済全体が堅調だったからそれでもよかったのだろう。ブラック企業なんて言葉もなかったし。
 
ともあれ、私にとって「成長産業」と聞くと、この「成長企業」を思い出す。そして疑いの目で見るのである。

2017/08/17

NHK「超巨大杉伝説」

一昨日のNHKの大捜索ドキュメントと名打った「屋久島 超巨大杉伝説」を見ただろうか。

 
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屋久島で、縄文杉を超える大きさのスギを探す、という番組だ。
放映済みだからネタバレで記すと、結局、太さは12メートル43センチで縄文杉に次ぐ2番、高さは45メートルとナンバーワンのスギを発見した。場所は、これまで人が入れなかった人跡未踏の谷。あまりに急峻なので、誰も近づけなかった一角だ。それを天空谷と名付けたのだが、そこで発見したから巨大杉は「天空杉」と名付けられた。
 
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ほかにも、これまでに記録のない巨大杉を何本も発見したようだ。そして、その裏では、航測技術を駆使して、空からレーザー探査して巨大な木のあるところを割りだす、という掟破り? いや現代的な手法も用いている。
 
 
それなりに楽しく見た。実際、太さはもう一歩だったにしろ、幻の巨大杉を発見したのだから結構なことだ。ただ番組になる前に、この発見は世間に伝えられなかったのだろうか。太さが2番ということでベタ記事ぐらいになったのか。
 
 
ところで私は以前に、別の巨樹捜索をしている人から「すでに縄文杉を超える杉は見つかっている」と聞いていたのだった。
しかも、その杉は、意外や人里近くにあるらしい。某屋久島の写真集に、うっかり杉のある地域の森が載ってしまった……とまで聞かされた。
 
それでも、世間に発表すると大騒ぎになるし、縄文杉が弱っているから、今は隠しておこうということになったのだそうだ。
 
ま、こちらの話が幻だったと言えばそれまでだが、今回はそういう噂は一切触れていない。あくまで人跡未踏の土地なのだ。その方がドラマになるしv(^0^)。
 
巨樹、巨木、大木というのは、その存在の有る無しも含めて、人々の気持ちを引きつける。一方で、そんな大木を伐ってみたいという欲望も渦巻く。実は、そんなことをテーマの原稿を書いたばかりだ。大木というのは、存在してほしい、守りたい、そして伐りたいという3段論法で成り立っているのだ。

2017/08/16

洪水探知装置?

生駒と奈良の間には、矢田丘陵がある。

こちらは、生駒山系ほど高くはない、まさに丘陵地帯。しかも両側からニュータウンや大学や農地なとの開発が進んでいる。それでも、結構谷などが入り組んでいて、入ってみると深山幽谷の気分が味わえるところも多いのだが……。
 
そんな中で見かけたのがこれ。
 
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小さな沢に設置された簡単な装置なんだが……どうも増水を探知する装置らしい。水かさがあがると、作動してどこかに信号を送るのだろうか。
 
こんな低い丘陵地で、しかも奥行きがない(川は短い)ところの沢なんだが、洪水の起こる可能性はあるのだろうか。場所は住宅地から入ってすぐであった。
 
ともあれ、備えよ常に。こうした工夫が大切なんだろうね。

2017/08/15

かつて「砲台山」があった

終戦の日だからというわけではないが、最近思い出して気になっている所がある。

 
私が中学・高校時代を過ごした北九州市門司区のことだ。
 
私は生涯で初めての引っ越しをして、門司区のもっとも端に位置する町に住んだ。北九州市は100万人都市だったが、当時の第一印象は田舎町だった。家は小高い丘の上にあり、関門海峡を見下ろすことができた。まだ関門橋は完成していなかったが、海峡を行き来するたくさんの船を毎日見ていた。今思えば、「コクリコ坂」の世界と似ている。
 
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関門海峡。住んでいたのは地図の「手向山公園」の右隣の緑地辺り。
 
一方、国鉄も走っていて、蒸気機関車が何十台と集結していた。なんだ、消えるSLと騒がれたが、こんなにあるじゃないか、と思った記憶がある。毎日SLが見放題。近づくこともできた。もっとも鉄ちゃん趣味は私にはないので、さほど嬉しくもない。それは九州中のSLが最後に集まってきていたからであり、その後一斉に姿を消すのだけど。
 
さて、住んだ家は、すぐ横が森になっていて、そこから山になってきた。
住みだして何カ月経ってからか、意を決して森に分け入った。道はない中を登りだしたのだ。これこそ、現在の生駒の森歩きのスタイルの原点だ。ブッシュをかき分け、木と木の間をがむしゃらに登るのだ。
もちろん急坂もあれは窪地もある。手を地面につくこともあったが、ひたすら登る。すると、急に視界が開けた。光が射し込んで、森から道の一角に出たことに気づいた。
 
地道だったと思うが、わりと幅はあったように記憶する。そこからは起伏のある草原だった。その頂上部分に浄水施設が設けられていたから、そこへ行くための道だったのだろう。
 
森から出て草原を歩くのは異世界のような気分だったが、眺めはよかった。そのうちに妙な工作物があることに気づいた。上部は土に埋もれているのだが、レンガを積んだ地下式の建物が3つほど並んでいたのだ。中に入ると、湿った空気の匂いがしたが、ガランドウだった。それは倉庫……というより弾薬庫だったらしい。
 
その後徐々にわかってきたが、この山には陸軍の陣地があって、砲台が備えつけられていたのだ。なるほど、関門海峡に侵入する敵船を監視して、攻撃するのにはもってこいの場所なのだ。おそらく明治時代につくられたのだろう。
だから地元の人は「砲台山」と呼んでいた。
 
その後、砲台跡も発見した。大宝は撤去されているが、砲台を設置した丸い陣地があったのだ。その下に何かあると睨んだ私は、スコップを持って行って掘った。すると砲台跡の下にはちゃんと陣地があった。ここで大砲への砲弾込めをやっていたのだろう。
そんな空間は、中学生の私と友達の間では、まさに秘密基地だった。
 
当時、写真を撮っていたら貴重だったのだが、どうも撮影した記憶がない。ネットで調べてみたら、同じ門司区でも先端部の和布刈砲台跡の写真を見つけた。
 
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弾薬庫はこんな感じだ。もっとも私の見たのは石組みではなく壁か全部レンガだったと思う。しかも整備されず放置状態だから、もう少し荒れた雰囲気だった。
 
そのことを思い出したので、ネットで確認できないかと見てみた。
 
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……なんにも見えない。というより、草原だった部分もみんな森になってしまっている。逆に、私が道なき道を登った部分は宅地造成されて家が建っているよ。
わずかに浄水場の上が草原のままだが。もはや弾薬庫も砲台跡も撤去されてしまったのだろうか。。。戦争遺跡としても貴重だったと思うのだが。
 
なんと、思い出からの戦跡探しから、植生遷移を確認してしまったのだった。

2017/08/14

サルスベリ

宝山寺でサルスベリの花を見た。

 
おや、こんなところに以前からあったのだろうか、最近植えたのか。。。と思うが、たまたま真っ赤な花が目立つので気づいただけかもしれない。
 
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宝山寺鐘撞堂前。奥に見えるのは、獅子閣と呼ばれる明治初期の擬洋風建築。
 
 
この花を見ると、盛夏という気がする。
 
ただ、これまでは庭木のイメージが強かった。それが、急に街のアチコチでサルスベリが目につくようになった。今日気づいたのは、ニュータウンの街路だ。新駅ができて急速に住宅が建ち並び出した一角を今日車で走っていると、ズラリと赤い花が並んでいるではないか。
 
これまで街路樹があったかどうかさえ記憶になかったのだが、鮮やかな花の色が目を引きつける。
 
最近は、サルスベリの街路樹が増えているような気がする。
これまでケヤキやイチョウ、サクラ、あるいはハナミズキ、アメリカフウといった樹木が目立ったのだが、これらは新しい街路では、あまり見なくなった。
これらの木は、植えて30年も経つと大木化して問題になっている。電線に触れたり見通しが悪くなったりするうえ、剪定が大変だし、歩道を根が持ち上げているケースもある。そこで、あまり背の伸びないサルスベリが好まれるようになったのだろうか。猛暑にも耐えて花も美しい(赤以外に白、ピンクの花もある)から。
 
背が低くても花の色で目立つことが有利なのか。
 
ただ、これも外来種と言えば外来種だけどね。
 

2017/08/13

山頂でかき氷

かき氷を食べたくなった。

生駒でもっとも美味しいかき氷は、どこか。
 
というわけで、生駒山に登ってきましたv(^0^)。
 
夏になったら山に登って、かき氷かソフトクリーム、というのは私の避暑スタイルなのだ。
まずは車で中腹の宝山寺に行く。ここでお参り。
 
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境内の森にあった樅の大木が2本伐られていた。職員に聞くと、もう枯れて樹皮がバラバラと落ちてきていたのだそうだ。しかし、境内で伐るのは大変だったでしょう、と聞くと「何、ワイヤーかけて車で引っ張ったから簡単だったよ」。
なかなか寺内でも派手な作業をやったみたい。
しかし、なかなかよい木である。材も何かに使えそうなんだが。。
 
 
しっかり賽銭を入れて順々に手を合わせて回る。そして奥の院にたどりつくと、ここから山に入るのだ。
 
今回は、ほとんど廃道に近いルート、それも直登コースを選ぶ。先日の雨で地面が湿っていて、ずるずる滑るし土臭い。道なき道も考えたが、結果的に廃道を進むのが精一杯か。
このところ暑さに負けて運動をあまりしていないから、ぜえぜえ言いつつもなんとか尾根のスカイラインに着いた。
 
ここから山上遊園地へ、またぜえぜえ言いながら階段を登る。
 
さすがにお盆休みなので家族連れやカップル客が多い。そこに男一人が歩くのはあんまり言いカッコじゃないが。。。
 
そして山頂展望レストランへ。
もちろん頼むのはかき氷一つ!
 
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(・_・)...ん? 前より小さくなったような……それにストローだよ。先は開いていたけど。スプーンくらい付けろよ。。。これがレストランの品かよ。
それでも一気食いをして身体を冷やした。
 
思えば、2年前も山上でかき氷を食べた。
そのことについては、2015年8月8日の「遭難ツアー 」に記している。これは某者が生駒山で遭難ツアーをやりたい、と言い出して参加者を公募し、結局3人で行ったのだった。宝山寺で集合し、そこから道なき道を登って山上へ出た。
そしてかき氷を食べたのだった。
 
……その参加者だった廣友さん(当時、林木育種センター勤務)が亡くなったことを知ったのは、それから1年経っていなかったと思う。最後の出会いだったんだなあ。。
 
当時も、飛行塔は回っていたっけ。
 
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一緒に乗ってくれる人は、まだ現れないのだが……。
 
帰り道は、大人しくハイキング道を。そこで見つけたもの。
 
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もうクリが落ちていた。夏の終わりを感じたのであった。

2017/08/12

Yahoo!ニュース「生物学的に見た介護の効用」書いた裏側

Yahoo!ニュースに「生物学的に見た介護の“効用”」を執筆しました。

 
だんだん、森林ジャーナリストから離れていく(~_~;)。
 
ただ、この記事を書こうと思った直接のきっかけは、日経ビジネスオンラインの「介護生活敗戦記 」である。著者の松浦晋也氏は、私と同年代で、ノンフィクション作家。加えて科学技術ジャーナリストの肩書も持っている。が、ようするにフリーランスのライターだ。
 
そこにシンパシーを感じた(~_~;)。だから介護そのものよりも、自宅で仕事をしているために介護担当になることや、介護に時間を取られていると収入が減る……など結構身につまされるのである。
 
フリーというのは時間は自由になるのだが、それゆえに雑事に時間を取られやすく、すると仕事ができなくなる。というか、仕事に時間を割かなくなる。気がつくと仕事してない、のである。
 
 
それに取材先で、取材の用件は終わった後の雑談で、意外や多くの人が介護および介護予備軍であることを知る。それで話が盛り上がることにもなる。
 
日本がとてつもない社会になりつつあることを肌で感じる。事態は猛烈な速度で進行しているのだ。
その末に訪れる将来の未来図を読みつつ、今を生きねばならない。
 

2017/08/11

「バイオマス」は「丸太」なのか?

今日が祝日であることを、ほとんど気づいていなかったのだが。

 
久しぶりに大阪に出た。普段、あまり大型書店に行けないので、こういう機会に覗く。
すると、何かと本を買ってしまうのだが……。
 
ふと目についたのが、「環境ビジネス」という雑誌。季刊で発行しているらしいが、最新号はバイオマス特集のよう。
 
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こーゆー表紙。私は当然ながら買わず(~_~;)、立ち読みしただけなのである。内容は,それなりにいろいろ説明しているが、それについては触れない。ただ、表紙が気にかかった。
 
丸太の山積みなのである。
 
やっぱりバイオマス=木材=丸太、という連想なのだろう。
 
写真の丸太は相当素性がよいし、これを燃やすのか?と思ってしまう。この写真は、あくまでイメージであるのかもしれない。しかし、専門の雑誌が表紙写真に選んだ時点で、大きな勘違いが広がっていることを示すのではなかろうか。
 
そもそもバイオマス・エネルギーにする木材は製材端材や、建築廃材、その他木片・木屑であるべきなのだが、十分建材になりそうな丸太を燃やすのはスタート時点で掛け違いが起きていると思う。
 
バイオマスエネルギーの利用を、熱ではなく発電としたこと。
未利用材区分をつくって、それをFITでもっとも高く設定したこと。
小規模分散ではなく、大規模集中型施設を推進したこと。
 
これらは制度というかシステム設計の過ちだが、加えてイリーガルな世界が広がっている。
 
燃料の素性のチェック体制がまるで甘いこと。廃棄物処理のいい加減さ。産廃を未利用材と偽れば、FITの差額は莫大である。産廃の場合は、燃焼灰が強アルカリや強酸性になることもあるが、どのように処分しているのか。。。
 
そういうことを専門誌には追求してもらいたいんだけどねえ。
 

2017/08/10

杉皮の和紙

奈良県森林技術センターを訪れたら、ロビーの壁に「杉樹皮の和紙」が展示されてあった。

 
スギやヒノキの皮を材料に和紙を作る研究が行われたようだ。「こんな研究が行われていたんですね?」と、目の前の前センター所長に聞いたら、「35年前に僕が研究したヤツや」と答が……(笑)。
 
最速で答を得られたようだ(^o^)。
 
 
スギの樹皮で和紙をつくると言っても、樹皮全部ではなく、内樹皮だけを分離して行うようだ。
すでに吉野町の和紙職人が作っているとか。
 
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これが杉皮和紙。名刺用紙に仕立ててある。
 
通常のコウゾによる和紙とはちょっと違った触感であるが、よい使い道はないのだろうか。
 
もともと和紙の定義として材料が決まっているわけではない。あえて言えば木質繊維ではなく、樹皮繊維を原料とすることだろうか。
コウゾ、ミツマタ、ガンピが3大原料だが、そのほとんどが輸入物。コウゾは栽培こそ簡単だが、使えるようにするのは手間がかかる。枝分かれしすぎたら皮むきが大変。私もやったことがあるが、蒸して剥いて乾かして、叩いて繊維をほぐして……。
 
ならばスギやヒノキの樹皮というのも調達が楽な原料にならないだろうか。外樹皮と内樹皮を分けるのは面倒だが、コウゾの処理と比べて難しいというわけではない。むしろ楽なように思う。
 
繊維の質が違う? いや、その心配はないと思う。なぜなら和紙と呼んでいるものも、その原料の半分くらいは木質パルプを混ぜているのは公然の秘密だからだ。
全部コウゾやミツマタで作っている和紙など希少だ。和紙にも洋紙と同じ樹木の木質部の繊維をほどしたパルプを使っているのだ。
 
 
ならばスギの樹皮を使ってもたいして変わらない。いや、樹皮なのだから和紙の定義に合うではないか。スギやヒノキの樹皮なら製材所に始末に困るほどあるだろう。コウゾやミツマタは慢性的に足りないのだから、新たな資源にできる。コウゾと混ぜたら品質は変わるまい。
 
 
ああ、でも木質パルプを使っている業者にとっては、樹皮なんて面倒だから嫌がるかな。それで世間が騙せている限り、面倒なスギ樹皮なんか使わないか。
 

2017/08/09

トーセン学習帳って?

本日の「J-ficニュース」 に、「木育の新ツール」として「トーセン学習帳」なるものが紹介されている。

 
 
ちょっと引用すると、
製材大手のトーセン(栃木県矢板市、「林政ニュース」第547号参照)が文具メーカーのショウワノート(富山県高岡市)と連携して『トーセン学習帳』を製作した。「木育」の新ツールとして、森林・林業・木材産業の理解拡大に活用することにしている。配布希望などの問い合わせは、FOREST MEDIA WORKS(電子メール:narazaki@forestmediaworks.com)へ。
 
何、これ、と思った人もいるのではないか。
実は、私の手元にもある(^o^)。
 
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ジャポニカ学習帳のパクリ、と思えなくもないのだが、実はジャポニカ学習帳を発行しているショウワノートが作成した公認・本物のノートとのことである。
 
中身をちょっぴり見せると、
 
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こんな感じ。中ページは、しっかり方眼を切ってある。ただ最初の見開きなどに森林資源の時給の話とかもあるのだが、やっぱりトーセンの説明というか、宣伝ではある(笑)。
 
これ、木育に使えるかなあ。ま、ノートと割り切ればいいか。
私も、次の取材に使おうかな\(^o^)/。

2017/08/08

風景画で村おこし

もし、好きな画家を挙げろと言われたら、まず浮かぶのはムンクだ。

「叫び」で有名だが、神経症的な画風は、なんか頭から離れず昔から虜になっている(^o^)。

Photo  ムンク

一時期は、ムンクの展覧会を追いかけて結構遠くまで足を運んだり、画集を集めたりもしていたのである。だから、そのうちノルウェーのムンク美術館に行ってみたいと思っている。

もっとも、ムンクが好き! というと、私の精神状況もアブナイと思われるかもしれないので、バビルゾン派の風景画も好きであることを強調したい。

プレ印象派的な位置づけがされるが、初めて風景の美しさを芸術の対象としたと思えば、画期的ではないか? 

バビルゾン派とは、フランスのバルビゾン村に住んだ、広義には村を訪れたことのある画家まで含めるが、コロー、ミレー、テオドール・ルソー……総勢100人以上に及ぶ画家の画風を指す。彼らがこの村の風景や住民の生活を描きまくったことで、今やバビルゾンは、観光地だ。

ムンクのように一人の画家の魅力で人を呼ぶのではなく、多くの画家に描かれた舞台として人気を呼んでいる。

Photo_3 コロー

 
そして、これは村おこしになる、と感じるのである。
土地の風景を絵にしてもらうことで、地域の人気を高めることはできないだろうか。写真もよいが、やはり絵画だ。
 
近頃、芸術祭が目立つ。それも地域起こしの手法としてだ。なんでも全国100か所以上で開かれているらしい。みんながみんな成功しているわけではないが、上手くいったところは100万人以上の訪問者、それも海外からも集めているという。
 
 
フランスで始まった「もっとも美しい村」運動は、日本にも飛火して、「日本で最も美しい村連合」が作られている。それはよいのだが、加盟地域はどんな情報発信をしているのだろうか。
 
いろいろ模索するしかないが、風景画という手はどうだろう。たくさんの画家(の卵)を招いて村のアチコチの風景を書いてもらう。滞在費を面倒見ると言えば魅力にならないだろうか。
そして最低何枚かの絵を描いてもらう。
 
もし、参加した画家のうち一人でも将来大物になれば、風景絵を通して村は人気を呼ぶかもしれない。 アニメや映画の舞台の「聖地巡礼」が流行る昨今だから、絵画の舞台を巡ってもらえることを期待したいなあ。
 
もちろん、描かれた風景を後世に残すという義務も発生するのだけどね。
 

2017/08/07

変化朝顔の葉

先日、ちょっと京都府立植物園に寄り道。

 
そこで「変化朝顔」展を行っていた。
変化朝顔とは、主に江戸時代後期に流行った朝顔の変種づくりで、驚くほど多くの品種を作り出したもの。突然変異体を選び出してより交配を重ねたのだろう。驚くほど多種多様だ。
日本の市井に、これほどまでの育種の技能が広がっていたのか、と思わせる。
 
植物園の一角に並んでいたのは、その一部だが、残念ながら咲いた花はあまりない。考えて見れば朝顔なのに昼に訪ねたのでは見られないで当然か。
 
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むしろ葉の変化ぶりがすごい。花より激しく変化させたのではないか。とても同じ植物に見えない。
 
たまた読んでいる本がダーウィンの進化論の根幹である自然淘汰説を批判して、ラマルクの用不用説を推奨している。その理由の一つが、突然変異の起こる確率と変異の幅が進化に結びつく可能性の小ささである。
しかし、朝顔一つが江戸時代のわずかな一時期にこれだけ変異したんなら、可能じゃねえ? と思ってしまったのだった。

2017/08/06

伊勢神宮で講演!

なんと、伊勢神宮で講演を行うことになった。

 
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9月2日(土)13時~14時30分
伊勢神宮せんぐう館催事室
演題  森林は街がつくった
講師  田中淳夫氏(森林ジャーナリスト)
内容  「森林を求め、林業を生み出したのは街の人である」をテーマに、日本林業の近現代史と現況について解説を行い、あるべき林業の未来像をお話しいただきます。
 
※聴講を希望される方は当館ウェブサイトのお問い合わせフォームか電話・FAXでお申し込みください。 当日受付も可能です。(定員40名)
※いずれも聴講無料ですが、別途入館料が必要です(大人300円)
 
☎ 0596-22-6263
  

ところで、式年遷宮記念せんぐう館は2013年の第62回式年遷宮を記念して開館した新しい施設。場所は、外宮(豊受大神宮)にある。一般に参拝客がよく訪れる内宮(皇大神宮)とは違うので要注意。(伊勢市駅前)
 
そして注目すべきは、現在開催中の企画展示である。(9月25日(月)まで) 
 
「式年遷宮はつづく―御杣山ー」
 
「御杣山」とは、式年遷宮の造営に必要な御用材をいただく山のこと。
かつては伊勢周辺の山々に定められていた。しかし式年遷宮に必要なヒノキの適材不足となり、江戸時代以降の御杣山は、木曾地方(長野県・岐阜県)に移される。
一方で、明治時代に神宮の宮域林でも必要な木材を生産できるようにと森づくりが進められ、第62回式年遷宮では一部を宮域林から伐りだしている。
今回の展示は、御杣山変遷の歴史とその背景を解説しているのだ。
 
私は現地の展示は見ていないのだが、展示説明資料だけ拝見した。これがスゴイのだ、日本の林業史の一端を示しているかのよう。
 
たとえば鎌倉時代に東大寺大仏殿を再建した重源上人が伊勢に訪れた話もあり、もしかして東大寺に伊勢神宮の木を使わせてくれと頼んだ? 形跡もあったりする。
 
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これは、常設展示の様子。古い林業・大工道具や、外宮正殿の原寸大模型もある。
 
 
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現在の宮域林。約5446ヘクタールあるが、将来木施業が取り入れられ、200年生のヒノキを育てる針広混交林になっている。(せんぐう館を訪れたら、この森に入れるわけではないので、念のため。)
 
多分、日本の森林史的にも、林業的にも、伝統建築的にも面白いはず。私は、講演ではそんな展示を引き継いで、近現代の森林事情を放すつもりだ。もっとも自分の講演より、それらを観覧することを楽しみにしている(^^;)\(-_-メ;)。
 
よろしければ、お伊勢参りついでに参加ください。

2017/08/05

東チモールの人口爆発

毎日新聞に東ティモール(チモール)のルポが連載されているようだ。

 
 
東ティモール! この国を知っている人はどれぐらいいるだろう。東南アジアの一角、インドネシアのバリ島から連なる小スンダ列島にあるティモール島の東半分の独立国である。21世紀最初の独立国であると同時に、独立までのインドネシアとの闘争、そして独立を巡る紛争でおびただしい人が殺されたことで知られている。
 
私にとっては忘れがたい土地でもある。
なぜなら、21年前に私は外国人立入禁止のチモール島(当時はチモールと表記した)に潜入したことがあるからだ。
その顛末は「チモール知られざる虐殺の島」読んでほしい……絶版だけど(笑)。
 
だから、この新聞記事を興味深く読んだ。
 
なんでも、首都ディリにショッピングモールができたそう。日本食レストランまである!
行きたいなあ。私の訪れたのは基本的に西チモールで、東チモール潜入は失敗したのである。少し入ったけど、インドネシア軍に捕まった。
ディリも、まだ訪れたことがない。でも、私はこの国の独立運動に、些少ながら協力したのだと自負しているよ。
 
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こんなはげ山と水田の風景が広がる。高原地帯はサバンナだ。
 
ただ、この記事で気にかかったのは、人口だ。現在121万人だと!!!
 
これは仰天だ。
拙著の執筆で調べた東ティモールの人口は、
1930年が47万2221人。
1936年が46万588人。
1947年が43万3412人。
1973年が62万6546人。
 
ま、統計の誤差が大きすぎて、数万人単位でずれていると思ってよい。それに独立闘争で、10数万人が亡くなっている。
だから 
1980年が55万5000人になっている。
ただ、1999年の独立宣言時で約80万人と言われたし、統計のいい加減さを引いても、爆発的な人口増加が起きている様子。
 ゛
外務省のデータによると、2015年で118万3000人だ。
それから1年で3万人増えた? 怪しい(笑)。
 
人口爆発は長期的には問題だが、今は若くて活力ある国と言えるかもしれない。人口減に苦しむ日本からすると。。。
東ティモールでビジネスしたら、夢があるかも。
戦前はコーヒー産業も盛んだったし、チーク林業もあったのだよ。今は、海底油田絡みの投資が多いそうだが。この国で森づくりをやりたいな。

2017/08/04

スギにすきま植物

以前より、ど根性植物にすきま植物、虐待植物……といろいろな呼び方をしていた植物。
ようするに、通常の生えるところではない、コンクリートの隙間や圧迫された条件不利地に根を下ろした草木のことだが、また発見した。
 

某人工林で見かけたすきま植物。

 
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幹から葉っぱが?
いや、スギの樹幹についた傷に、腐食土でも溜まったのだろう、そこに生えている謎の草である。
 
アップすると、こんな具合。
 
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なんという植物なのか確認しなかったなあ。
ヤドリギのような寄生木ではないようだけど。。。。

2017/08/03

シカ追い払い装置

関西では、夕刊一面の記事。

 
Img001 朝日新聞7月31日
 
なんだかんだと話題になるのね。ようするに、これまでシカを保護してきた奈良でさえ、シカを捕獲するのか、という驚きがあるのだろう。
ご心配なく。捕獲するのの奈良公園の外側だから。しかも銃は使わず箱罠。捕獲した後の処分が問題なのだが……。
 
ただし、これまでだって農地を荒らすシカは捕獲してきた。防護柵に引っかかったり、イノシシ罠に捕まったものは、その度奈良の鹿愛護会が引き取りに行って、鹿苑に収容。終身刑に処してきたのだから、たいして変わらん気がする。
 
 
これで思い出したのが、先日訪れた宮島。
 
宮島港のターミナルにあったのがコレ。
 
4 出入れ口の上部に取り付けてあった。
 
これが何かと言えば、動物追い払い機なのだ。
 
アメリカ製だと思うが、不定期なストロボ発光と、威嚇音(オオカミの鳴き声らしい)、そして超音波(若者には不快音だが、年寄りには聞こえない)が発生している。これでシカがターミナルのロビーに入ってくるのを追い払うのだそうだ。
 
 
本当に効果あるの? と思うが、聞いてみると、それなりにあるらしい。これまで毎日中に入ってきたシカが、せいぜい1週間に1度くらいになったとか。
 
これを農地にしかけろ、とは言わないが、みんなあの手この手で工夫しているのだよ。

2017/08/02

ナラ枯れ防止装置?

ナラ枯れに関していろいろ書いてきたが、こんな絵を。

 
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これ、ナラ枯れの元とされるカシノナガキクイムシのトラップ(捕獲装置)。ペットボトルの口の部分を集めてつなげばよいので、素人にも自作できるということで流行っているらしい。たまに山の中で見かけるのである。
 
カシナガは、この木に穿入する前に漏斗の部分に入ってしまうと、抜け出られないらしい。
それなりの捕獲効果があることは間違いない。しかし……。
 
カシナガを一匹残らず捕獲するのは不可能だ。トラップに落ちる個体の横で幹に穿入する個体もいっぱい出るように思える。それに森の中にいくつ設置できるのだろうか。製造の手間、設置の手間を考えると。。。
 
また、仮にこのワンセットで1000匹のカシナガを捉えたとして、100セット設置したら10万匹である。  
しかし、ナラ枯れを引き起こす際のカシナガは、おそらく森全体で数百万、いや数千万匹レベルで生息しているのではないかなあ。
1本の大木がナラ枯れで枯れたら、その中で卵がどれだけ産まれて、幼虫がどれほど羽化するのか。。。カシナガを捕獲して生息密度を下げることでナラ枯れを防ぐという魂胆だとしたら、どう考えても効果は薄い。
 
しかも、写真を見たらわかるどおり、トラップの上部分の幹も結構太くて、穿入する余地あり。
 
 
 
そういや、こんなムナシイ防護もあった。
 
1_2
 
ビニール巻いて、カシナガの攻撃から守ったつもりなんだろうけど、どう見ても上部から入りそう。実際、この木はその後枯れたからね。
 
試行錯誤もいいだろうが、こうした方策では徒労感を感じるのだが。。。

2017/08/01

大和森林物語4は明治のコウウヨウザン

毎日新聞の奈良県版に、「大和森林物語」を連載していることは以前にも紹介した。それはネットにも公開されるので、全国でも読める。

ただ隔週であるため気づかないこともあると思って、本ブログで告知を何回かした。
 
実は本日は第4回目が掲載。紙面の都合で掲載日程がずれているから改めて紹介しよう。
 
第4回目は「土倉庄三郎編」の第4回でもある。 もっとも、取り上げたのは次男の龍治郎であり、コウヨウザンだ。
 
 
川上村にはコウヨウザンが植えられている。現在確認できているのは2本。これが植えられた秘話の紹介だ。
 
 
龍治郎は、庄三郎以上に謎が多いのだが、また魅力的な人物である。台湾では相当な大物実業家であったし、帰国後の東京時代もよくわかっていないが、多分、表に出ないところで思いもしない事業を展開していたと想像している。
 
そしてコウヨウザン。今になって注目を集め、広島県では造林樹種に選ばれたとのことなので、今後植林面積も増えていくのではないだろうか。
 
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