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森と林業の本

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2017/08/29

教えないよ

某大学のゼミ生から、林業をテーマに取り上げるので教えてください、という依頼がきた。

その後、多少のドタバタはあったのだが、昨日5人のゼミ生と面会。
 
彼らは、経済学部の環境関係のゼミの中で林業をテーマにしたのだという。最初は、日本林業を救うかもしれないCLTについて……という依頼だった。
私は学生に対しては優しい。中学生から大学生、院生まで請われればお会いすることを厭わない。ただ、対応も手加減をしません。
 
 
今回の私の対応といえば……。
 
なぜ林業を選んだの?
なぜ林業を振興しなくちゃいけないの?
なぜ林業を振興したら生物多様性が保たれるの?
なぜ木材が売れたら林業振興になるの?
なぜ木材を使わなくてはならないの?
なぜ、なぜ、なぜ……なのであった(笑)。
 
ようするに、私が質問をしたのであって、何も教えない、何も答えない(笑)。
 
もちろん「なぜ」だけではない。
 
「「何が問題?」「木材の何がいい?」「こうしたら……どうなる?」「どうしたらいい?」「どちらがいい?」「結局、どんな状態にしたいの?」なんてのもあった\(^o^)/。
 
学生がどの程度勉強してきたのかの確認の意味もあるが、「考えなさい」ということだ。
私が何らかの意見を言って、それをそのまま写して「わかりました」「レポートできました!」となっては困る。自分で考えて自分なりの意見を持たねば意味がない。
ゼミナールって、答探しではなく、答の探し方の勉強みたいなものだ。
 
それなりに事例や事実関係はお伝えしますよ。こんなこともあった。こんな考え方もある。それを実行した人はこうなった。こんな方法を取っている林業家もいる。。。。あくまで事例。全体に通じる方策ではない。
 
 
実は質問の根幹はシンプルで、求めている理想の状態は何か。現在はどんな状態と感じているか。現在を理想に近づけるには何が必要か。今から何をすべきか。という枠組で尋ねているだけである。
 
加えるとしたら、その舞台(シチュエーション)は林業だけなのか、ほかの産業も含めた経済なのか、地域経済なのか、日本経済なのか。いやいや経済だけでなく社会全体なのか。あるいは森林環境だけなのか、地域環境なのか、日本全体、もっと地球環境まで考えるのか……という広がりかな。
 
とりあえず考えて考えて考え抜いてもらおう(⌒ー⌒)。
 
教えないよ。
 
なぜって、私も正解を知らないから(^^ゞ。
教えられることなんぞないのだ。
 
 
それが回答かもしれない。ゼミ生だけでなく、林業界に対しても。画一的な行政の指導に唯々諾々と従うのか、補助金に合わせて仕事を選んでいいの?
 
自分を取り巻く条件をよく見極めて、どうしたいのか心の声をよく聞いて、よくよく考えてもっとも適切な方法を選ぶ。それしかないじゃないか。
 
 

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