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2017/09/07

バイオマス白書と生き残り予想

先日の伊勢参りに、吉野から大台町を抜けて伊勢に出る山の中のルートで、もっとも目に止まったのは、山崩れと皆伐地だったことは、当日のブログ にも少し紹介したが……。

実はもう一つ目についたのがソーラーパネルだった。どうやら伐採した木はバイオマス発電に、その跡地はソーラー……という流れでもできているのだろうか。ようするにバイオマス燃料か、ソーラーパネルがもっとも儲かる山の使い道なんだろう。FITの買取金額も、ソーラーよりバイオマスの方が高くなったから、今後もっと参入が増えるだろう。

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ちょうど、バイオマス白書2017(ダイジェスト版)が届いた。
 
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サイトには、バイオマス白書2017の本版 があるので、こちらを見るといい。
 
少し紹介すると、2017年2月時点のバイオマス発電の認定容量は約600万kwだそうである。(現在の発電量はその約半分。)
もっとも、このうち9割が一般木質バイオマスだという。未利用材を燃やすのだから地域振興! と錦の御旗を振りかざす時代はすぎてしまった。
 
一般木材と言っても、主要なのはヤシ殻など輸入燃料だろう。2016年のヤシ殻輸入量は、76,1万トンと前年比1,7倍に急増している。
これは、輸送にかかる環境負荷はもちろん、アブラヤシの栽培が熱帯雨林を破壊している点からも再生可能エネルギーの趣旨に反しているとされる。
 
ただ、私は別の点も考えている。ヤシ殻燃料ばかりに頼っていると、首根っこを輸出国に握られるということだ。現在は大半がインドネシアとマレーシアだが、日本がこれほど買い付ければ必ず価格改定を要求してくるだろう。大幅値上げも有り得る。あげくに燃料高でバイオマス発電所は立ち行かなくなるかも。
 
この白書でも、FITの切れる20年後に生き残れるのは3割程度と見ているようだ。これは楽観的な数字だが、それでも7割のバイオマス発電所は潰れるのである。。
 
その際に取りうる手立ては3つ。
 
一つ目は、国や地元自治体が補助金を出して赤字を補填、生き残りを狙う。
 
第2は、木材以外のものを燃やすこと。一番可能性の高いのは、産廃かな。。。いわばゴミ発電に切り換える。すでに多くの発電所がやっているから。それを未利用材と偽るから犯罪行為なのだが、素直に産廃燃やします、と言えばいいんじゃない?
 
そして最後。簡単だ。発電を止めるのである。発電施設は廃墟かくず鉄にする。それまでに投資額は回収しておく。これがもっとも賢いかも。
 
以前、某テレビ局が「バイオマス発電を扱いたい」と取材を申し込まれたので、こうしたことを説明したけど、結局、企画として成立しなかったのかなあ。。。

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