NHKの「女城主直虎」を見ていたら、いきなり伐採シーンがあって、その後山崩れが起きたので植林する……という展開となっていた。
それがすごいのだ。まずマツを植林するシーンがある。ちゃんと三寸の深さで掘って苗を植えて踏み固める、隣とは一尺半空ける……という作法が紹介されている。
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時代は、長篠の合戦直後という設定だから、1575年である。場所は、井伊谷、つまり天竜地方である。
まあ、その時代に木を伐ったら山が崩れるという知識があるのはよいが、その対策として植林するという発想はどれだけあったのだろうか。しかも技術として植林が確立していたのだろうか。
もしあったら、吉野で植林が始まった時期とかなり近いことになる。(吉野の植林時期は、川上郷で文亀年間、西暦1500年当たりとされているが、これは元亀年間の誤記であり、これなら1570年当たりになるのではないか、と言われている。)
そして、その数年後?かに、育った苗木が紹介されている。
これって、スゴイよね。だって、苗木を植えるシーンを撮影した後に、その苗木を引き抜き、今度は数年育った幼木を植え直して撮影したということを意味するのだから(^o^)。
写真の背景からして、同じ場所であるのは間違いないが、大変な手間をかけて数分のシーンを撮ったのだろう……でも、どこの山だろうなあ。
ちとマジに考えると、長篠の合戦後に山崩れが起きて、その後植林をしようとするまでに早くても1年ぐらいかかるのでないか。さもないと苗木の調達が難しいだろう。それとも山取り苗か?
そして絵にある寸法まで育つには3~4年はかかるように思う。その間、下刈りしたのかなあ。草生えていないし。
ま、こんな意地悪? いや深読みするのも歴史ドラマを見る際には面白いのではないかい。
収録は茨城県の常陸太田市里美地区(旧:里美村)みたいです。
投稿: | 2017/10/30 00:50
さらにすごいのは、指図図を見た限りでは、雨水を分散させるために、谷から尾根にかけて傾斜をつけているらしいことです。ただ、画面では分かりませんでした。水平にしているのかもしれません。
投稿: 大和田始 | 2017/10/30 08:45
ありがとうございます。
そこまでやって撮影したというのは、NHK的には頑張ったな、と思うのですが、この時代に、それほどの林業技術があったのか、という点に関しては微妙ですね(~_~;)。
実は、この大河ドラマをスタートさせる前に、人を介して「当時の伐採方法を教えてくれ」という問い合わせをもらいました。戦国時代の林業技術という点でも難しいのに、地域差が大きくて天竜地方はどうか、と言われても答えようがないですね。ただノコギリは使っていたであろう、というくらいしか。
さらに植え方となると……誰が監修したんだろう。
投稿: 田中淳夫 | 2017/10/30 09:45