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森と林業の本

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2017/10/20

来年度予算②所有者不明山林問題

所有者不明の土地の問題がクローズアップされている。私も、それに関する記事を執筆するため取材したおかげで、わりと身近に感じているのだが……来年度の施策にもその対策が盛り込まれているようだ。
 
 
もっとも、これまで手を打ってこなかったわけではない。
たとえば「要間伐森林制度」というのが2012年に設けられている。知事の裁定によって、所有者の分からない林地の間伐を第三者(森林組合)に任せるというものだ。
共有者不確知森林制度」もある。こちらはなんと今年2017年に開始したものだが、共有林で一部の持ち主が不明の場合は、市町村による公告と知事の裁定を経て、判明している持ち主らの合意のみで伐採を可能にするもの。
 
ところが、どちらも公告申請件数は現在までにゼロ。
なんたって、公告というのはかなり強権の発動であり、訴訟リスクがあるからだろう。伐採してから、所有者が見つかり、訴えられたらイヤだと感じるのだろう。それに手続きも煩雑。
 
それを来年度からより簡単な手続きで、間伐や伐採を行えるように見直す……それが可能かどうかも検討するということらしい。
 
 
でも、まあ、これらの見直しが行えても、適用するのは伐採あるいは林道・作業道を入れる必要のある山林ということだろう。伐りたい山があるのに、一部の反対で伐れない……なんか、伐るのが至上命題みたい。
 
それは昨日のエントリーとも共通するが、ようは木材生産量を増やすことだけが目的なのだ。森をよくする、美しい森をつくる、という目的を感じない。
たとえば雑木林などの山林、間伐をしても利益が出そうにない森に関しては放置するのだろうか。
 
その前に、所有者を探し出す、説得するというプロセスが見えないのだが……。
 
実際に強権を発動してまで実行するのは、所有者不明山林と言われるうちの何%だろうか。
 

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