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2017/10/19

来年度の林野庁予算要求を見る1

選挙戦も終盤だが、こうなると私は興味を失う(~_~;)。
 
そこで、一歩進んで選挙後の内閣にとって最初で最大の仕事となる2018年度予算案づくりに眼を向けてみた。すでに大枠は決まっているのだ。
 
 
林野庁は、相変わらず「林業の成長産業化」施策を掲げているが、要求額は約300億円。
いくつか興味深い点があるが、その一つは「森林管理を伐採業者に委ねるスキーム」だ。「意欲と能力のある伐採業者」を選んで絞り込み、設備導入費や間伐費の補助を集中的に支援する計画である。
 
これ自体は、以前から言われてきたのだが、そこに3段階設けている。
①森林所有者の管理責務を明確化する
②所有者が管理できない場合は自治体が「意欲と能力のある伐採業者」に管理を委託する
③委託先が見つからなければ市町村が管理する
 
この②と③が、結果的に「意欲と能力のある伐採業者」に委託するのだろう。
そこで業者の要件が問題となる。どうやら自治体が業者のリストをつくるらしい。
 
その基準が「確実に利益を上げられる業者」であることだ。事業量の増加に対応できることや、「主伐や再造林のガイドラインがある」といった要件を想定している。
 
そこに高性能林業機械や路網整備費、間伐作業費などの補助金を集中的に支給する構想のよう。
これって、ようするに大規模に伐採できる業者を優先するということだろう。どんどん伐れよ、息切れするな、休むな、社員旅行はハワイだぞ、なんていうイケイケドンドン業者である。
 
今後も規模拡大路線を続けていくわけか。なんか、九州辺りの大面積皆伐を得意としている業者を想定しているように感じる。宮崎には、NPO法人ひむか維森の会が作り上げた「責任ある素材生産事業体認証制度」(CRL認証)もあるから、この認証を受けた業者ならガイドラインを持っていると認定できるだろうし。
 
将来に向けて森づくりにじっくり取り組みます、小さく、少しずつ、持続的に林業続けます、という業者は多分排除されるだろう。「排除の論理」(笑)。   
 
そこに加えて、森林環境税の導入も睨んでいるようだ。ここで得た資金を、上記補助金に回すつもりか。もはや新増税は確実に通ると、決めているのだね。
各党の公約を見ても、どこがどんな政権を立てても、この方向性は変わらないのか。あるいは、各自治体は抵抗できるのだろうか。

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