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森と林業の本

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2017/11/16

宮沢賢治と「絶望の日本林業」

NHKBSプレミアムの『英雄たちの選択』で、宮沢賢治を取り上げていた。童話作家の部分よりも農学校の教師時代を中心として描いている。

 
英雄たちの選択「本当の幸いを探して 教師・宮沢賢治 希望の教室」
 
東京に出て大正自由主義の空気を胸いっぱいに吸い込んで故郷に帰った賢治は、そこで疲弊しきった岩手の農村に向き合う。貧困と旧態依然とした社会への絶望に包まれた農民たちを前に、いかに希望を伝えようとしたのか……。
 
この番組を見ながら思い出した。そうだ、私は大学生の時、東北に旅立ち、宮沢賢治の足跡を追ったことがあったのだ。読んだいくつかの童話と、なぜか暗唱できた「雨ニモマケズ」の詩だけを頼りに一人旅をしていた。
なぜ宮沢賢治にはまったのか、わからない。当時の私は、宮沢賢治をこれっぽっちも理解していなかった。それなのに引きつける魅力。今だって、宮沢賢治の思想は10分の1、いや100分の1も理解していないだろうけど。
 
 
 
このところ、また取材を受けることが増えた。先日も東京から新聞記者が訪れて、現在の林業と林業政策について教えてくれ、と言われた。
私はトツトツと、各分野を紹介した。林業現場。木材流通。材価の変動。木材輸出、CLT、バイオマス発電。補助金制度。林野庁の新年度施策……とくに一部を強調したり誇大化したわけではない。ようは、このブログや著作に書いててきたことを繰り返したのである。
 
記者は,絶句した。「そんな産業があるのか……」。
 
記者は、これまで農業や水産業界は取材していて、それなりに補助金漬けや無茶苦茶な施策を見てきたそうだ。とくにクロマグロやサンマ資源を枯渇させているのは日本の漁業なのに、原因にほおかむりして収奪を続けている現場に憤慨したという。
 
が、それでも林業よりはマシだろう。。。。と。
 
 
絶望の日本林業という言葉が浮かんだ。
 
ここに希望を持ち込むことはできるのだろうか。補助金のバラマキのような刹那的な希望(気泡?)ではなく。
その前に必要なのは、当事者が現状の行き着く先がどんな世界か気付くべきかもしれないけど。
 
 
林業にとっての“本当の幸い”を探すべきではないだろうか。

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