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森と林業の本

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2017/12/24

(戦時)森林資源造成法を振り返る

今夜はクリスマスイブ。と言っても何にもなく、しかも雨である。雪ではなく……。

 
林業関係のあふれるほどある補助金。その原点はどこにあるか調べている。たしか大正時代に始めて作られたような記憶があるのだが……。
 
そんな合間に、1945年4月2日、戦時森林資源造成法が制定されていることを見つけた。ちょうど72年前の12月22日に森林資源造成法と改名されて公布されたが、ようは造林補助金である。
 
政府は、農林中央金庫に森林資源造成証券を公布させる。額面は3億円に限るというが、現在のレートだとどれぐらいなのだろうか。数百億円相当であるのは間違いない。
 
方法は、森林所有者が造林費用の半額を農林中金にまず払い込む。するとその額面の倍額の造林証券の交付されて、造林の完了後に額面金額の支払いを受ける……という仕組みである。
ようは、政府が農林中金に額面の半額を補給するわけだ。だから証券造林と言ったとか。
 
 
戦時中だから、木材の大増産が行われていた。そしてはげ山が増えていた時期だ。しかし、やはり伐採したら植える、という基本的なことを政府も理解していたのだろう。さもないと大変なことになると。
だから森林所有者が政府の命令に従わないとき(再造林しない時)は、政府が森林所有者に代わって執行することも可能である条項もあった。
 
改めて指摘するが、これが公布されたのは1945年である。戦時下も戦時下、もはや敗色濃厚の時期に、こんな法律を作っていたことを知ると、ちょっと感動する。当時の林野官僚は、非常時でも木を植えさせようと必死に大蔵省を説き伏せたのだろう。
 
もちろん、きれいごとだけではなかろう。もしかしたら軍事物資である木材をもっと供出するよう、再造林の負担を面倒見てやるから、という意図もあったのかもしれない。それでも、伐りっぱなしはいけないという意識はあったのだ。
 
はて、現在の〇〇な人々は「伐りっぱなしはいけない」と思っているのだろうか。
 
Photo
 
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法律第三十五号 朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル戦時森林資源造成法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム 裕仁 昭和二十年四月二日 内閣総理大臣 小磯國昭 農商大臣 島田俊雄 法律第三十五号 戦時森林資源造成法 第一条 政府ハ大東亜戦争ニ際シ森林資源ノ戦力化ノ徹底及之ガ造成ノ確保ヲ期スル為命令ノ定ムル所ニ依リ農林中央金庫ヲシテ額面三億円ヲ限リ森林資源造成証券(以下証券ト称ス)ヲ交付セシムルモノトス 第二条 森林所有者命令ノ定ムル所ニ依リ農林中央金庫ニ対シ森林資源造成ノ為必要ナル一定ノ行為(以下造林行為ト称ス)ニ要スベキ費用ノ二分ノ一ニ相当スル金額ヲ払込ミタルトキハ農林中央金庫ハ当該森林所有者ニ対シ其ノ払込金額ノ倍額ニ相当スル額面ノ証券ヲ交付スベシ
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コメント

たまのコメです。
この十数年ほど林野官僚さんとお付き合いする機会時々あり、感じたことがありまして、
 こう全体的にスマートになり、良く悪くもアクがあってパワフルな人が減ったなと思っております。
 平成10年代の森林法改正の頃、森林計画制度に3区分を持ち込んだ時は、庁益や予算獲得を語る一方、現実離れした計画制度を熱く語る中堅官僚さんや、林道や造林叩き上げプロパの方が多くいたものですが、昨今は、予算確保に目が行き、本筋を語らない方が増えてきた気がします。
 池田勇人や岸信介の様なグリグリ、ゴリゴリ、ブラックな官僚さんの出現にいつかお目にかかりたいですね~

「現実離れした計画」も困りますが、自分の任期の間しか興味を持たない官僚もね……。森林や林業のあり方に対する「信念」を感じません。

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