無料ブログはココログ

森と林業と動物の本

« フェア(トレード)の限界 | トップページ | Wedge2月号の“反響” »

2018/01/28

言葉としての「里山」と「棚田」

いまさらながら里山について勉強し直している。そこで気になったのは、里山という言葉が登場したのはいつだったか、ということだ。ご存じだろうか。
 
比較的知られるのは、林学者の四手井綱英氏が、奥山に対して里に近く農業の営みに関わる山を「里山」と名付けたことだ。この場合は、山にある農用林を指す。里山という呼び方を提唱したのは、たてしか1960年代ではなかったか。
 
実は言葉としての「里山」が現れるのは、もっと古い。今見つかっている最古の例は、播磨の国の「九条家文書」である。1418年9月書かれた部分に里山という言葉が登場するらしい。意味も、里の人が使う山、ということで、ほぼ現在の意味と重なっている。
 
 
一方で棚田という言葉はどうだろう。
 
紀伊の国志富田荘の検注帳に棚田という言葉が登場するのがもっとも古い。1338年である。なんと里山より古かった。
 
もちろん、文書に記されるのと、実際に里山や棚田が成立するのとは全然別で時間的ズレは大きいと思う。傾斜地の水田という意味なら、万葉集にも登場するのだから、もっと古いだろう。その際は山田と呼ばれていたらしい。
 
 
また里山の科学的な定義(二次的自然)からは、縄文時代から人が森林に手を加えてきて里山と言える環境は存在していたはず。
 
棚田も同じで、山の中の1枚2枚の水田だったら、古代にもつくられただろう。もともと水田は谷間につくられたとされることからも、棚田の形態になりやすい。
しかし、それが何枚も重なって棚田景観となるには、営々と築いていくわけで、千枚田が成立するには、ときに数百年かけたのかもしれない。
 
2004
 
里山の典型である生駒山の棚田。山の中腹を超えるところまで棚田が広がっているが、ここまで開墾するのに何百年かかっただろう。

« フェア(トレード)の限界 | トップページ | Wedge2月号の“反響” »

森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

さすが田中様。
そういえば~…の所に着目しますね\(^o^)/

山頂に建つのは風力発電?電力発電…?
赤いから電力でしょうか…

生駒山頂に立つのは、テレビ塔です(^o^)。スカイツリーより高いんですよ\(^o^)/。

この項目、書き直してYahoo!ニュースにアップしました。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 言葉としての「里山」と「棚田」:

« フェア(トレード)の限界 | トップページ | Wedge2月号の“反響” »

January 2026
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

森と筆者の関連リンク先

  • Yahoo!ニュース エキスパート
    Yahoo!ニュースに執筆した記事一覧。テーマは森林、林業、野生動物……自然科学に第一次産業など。速報性や時事性より、長く読まれることを期待している。
  • Wedge ONLINE執筆記事
    WedgeおよびWedge on lineに執筆した記事一覧。扱うテーマはYahoo!ニュースより幅広く、森林、林業、野生動物、地域おこし……なんだ、変わらんか。
  • 林業ニュース
    日々、森林・林業関係のニュースがずらり。
  • 森林ジャーナリストの裏ブログ
    本ブログの前身。裏ブログとして、どーでもよい話題が満載(^o^)
  • 森林ジャーナリストの仕事館
    田中淳夫の公式ホームページ。著作紹介のほか、エッセイ、日記、幻の記事、著作も掲載。