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森と林業と動物の本

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2018/01/07

就職の動機は

京都で開かれた「ライフ・アンド・フォレスト」というシンポジウムに顔を出してきた。

テーマは、「先生たちの本音~林業人材育成の現場から~」である。
 
005
 
大学や林業大学校、そして自治体の研修センターの林業について学ぶ現場の声を聞くものであったのだが……はたして本音が出たか?
 
いろいろ情報としてはあったのだが、私としては気になる一項目があった。
 
011
 
最近の学生は、就職口として考えると、いくら林業・森林の社会的使命を言っても「給料や厚生施設、休暇、勤務先など」を綿密に調べてしまう……という言葉が講演者から出たことだった。
 
当たり前だろ。まともな待遇なしに使命感で労働力を安売りすることが、現在の日本林業をダメにしたのではないのか。絶対条件、最低基準じゃねえか。
 
使命感とかやりがいとかで働かせようというのは「やりがい搾取」である。(by逃げ恥)
正月に帰省していた娘は、昨春就職したのだが、なかなか待遇のよい会社で、職場環境もよいし厚生関係はバッチリで、年に2回の帰省にも交通費が出るのだという。だから気に入っている様子は、これまでも幾度か聞かされていた。ところが、年末のボーナスが愕然とするほど低かったという……。1ヶ月分なかったというのだ。
 
どうやら厚生面の良さはボーナスを削ることで維持されていたらしい。そのことがわかった途端、娘は早々に転職を考え出した(~_~;)。
 
私は、これを正しい選択だと思う。
 
今や人材を得たければ、それなりの待遇を提供するのは当たり前だ。そのことを理解しない経営者は社員から逃げられるのだ。
 
ブラック企業になるぐらいなら、事業規模を縮小して少人数の職場にする(その分、残った従業員の待遇をよくする)。あるいは廃業する……でいいのではないか。  
 
林業関係で、そうした待遇を提供できないとしたら、それを「儲かる林業」ができないから、と逃げてはいけない。経営者の取り分を削っても社員に支払うべきだ。優秀な人材を確保してこそ、「儲かる林業・林産業」がある。石田三成が嶋左近を雇った逸話を思い出すべし。
 
そのことを理解できない事業体は……ま、どうなっても仕方ないね。

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コメント

ぼくは数名の仲間と林業を始めようと動いていたのですが、
これじゃとても食べていけないな、というのが結論です。

補助金だってひとり頭にしたら小学生のお年玉程度だし
材木売ったところで、深夜のコンビニで働いた方がよっぽど収入が良いです。

始めは週末林業家で、トントンになればいいと考えていましたが
どんどん金をつぎ込む羽目になって、高くつくレクリエーションですわ。
何て言いますか、仕事にするのではなく郷土の森保全会みたいなので遊んでいるのが良いのかもしれません。

先生は補助金が大嫌いだとおっしゃってますが、これを無くしたら
森の世話する人がいなくなるんじゃないですかね?
多くの重機を抱えたでかい土建屋が皆伐して元採れる形になってしまいます。
山持ちじじばばや、森で過ごしたいぼくらを助けてくださいよ!

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