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森と林業の本

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2018/01/04

The Pen~池田学画集

謹賀新年2018

 
年末年始は、何かと散財する。娘が帰省して、一緒に買い物に出たら、コートを選んで買ってくれた。代わりに私が娘の財布を購入。加えて、なぜか誕生日の前倒しとやらでバースディケーキやらなんやら買わされる……。う~ん(~_~;)。。。
 
 
さて、新年最初に買った本の中で、もっとも高額なのは、これだった。
 
The_pen
 
「The Pen」(青幻舎) 。池田学という画家の画集である。ほとんど衝動買いで、私は知らなかったのだが、わりと有名な人らしい。各地の美術館やギャラリーで個展を開いている。昨秋にも東京・高島屋であったそうだ。
 
画風は、なんというか、イマジネーションを爆発させたような巨大な超微細画。アメリカやカナダに滞在しつつ製作活動をしている。ウィキペディアによると
カラーインクとペンを用いたボリューム感のある緻密描写が特徴的。アクリル顔料インク、丸ペン、フランス製美術用紙「アルシュ」を使い作品を描く[1]。全体の下絵は描かずイメージしながら緻密に描くため、1日(8時間)に描けるのは10センチメートル四方ほど。
趣味はロッククライミング、フリースタイルスキー」とある。
 
この人の作品は、ネットで検索したらいくつか出てくるし、Amazonの本書欄にも何枚か紹介されている。画材には樹木、とくに巨木が多い。連想するものとしては、映画「アバター」の巨樹とか空中に浮かぶ岩塊とか、ジブリの「天空の城ラピュタ」の巨樹などだろうか。
なかには、巨樹の中頃に滝があったり、町があって鉄道が走っている絵もある。棚田まであった。
 
根元に廃墟や破壊された街の車や列車、飛行機の残骸がある絵を見ていると、大津波の跡に生えた巨木なのかもしれない。
 
あんまり勝手に引用できないだろうが、1枚だけ。画集の中では小品だが、私のお気に入りでもある。
 
Photo
 
 
 
ここに描かれているのは、いわば超巨木が倒れたら、そこにあった超巨岩の上に乗っかり、根元や梢などは消滅したのだけど幹だけ岩の上に乗ったまま。そこに種子が落ちたのか新たな木が根付き、倒木を栄養として育ち倒木更新を行って超巨木になった図。……そんなところだろうか。
よく見ると、人間も白抜きで描かれていて、樹木ほかの巨大さを引き立てている。
さらに目を凝らすと、足元には船が座礁しているから、周りは海のようだ。となると、巨木はどこに生えているのだ……?
 
大きさもさることながら、ここに至る時間を想像すると、いかなる単位になるだろうか。巨木の樹齢を数千年、いや数万年としたら、それが倒れて、その幹に次の世代の木が生えてまた巨木になるまで数千年~数万年……その間に地面は海に侵されたのかもしれない。
 
 
「盲亀の浮木」という言葉がある。100年に一度水面に顔を出す盲目の亀が、あるとき浮上したところ、ちょうど浮木があって、そこに空いていた穴にちょうど首を突っ込む……そんな確率を示す言葉だ。有り得ないほど小さな可能性を表わしているのだが、そんな現象を思い浮かべた。
 
樹木は樹木の時間を生きている。もしかしたら、人間には長すぎて有り得ないように思う話も、樹木は飄々と歩んでいくのかもしれない。

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コメント

あけましておめでとうございます

盲亀の浮木
新年早々良い言葉を教えていただきました

森林の成立には、人間の時間と違う尺度があることを
いつも頭の片隅に置きたいと思います

あけましておめでとうございます。

盲亀の浮木は、有り得ないほどの偶然を示す言葉ですが、悠久の時間があれば可能かもしれない、樹木にはそんな時間を包含しているかもしれない……と考えると楽しいですね。

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