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2018/02/13

ネイチャーの「スーパー木材」を考察する

一部で盛り上がっている?「飛行機の金属よりタフで軽い「スーパー木材」を開発

 
科学誌『ネイチャー』に今月8日に掲載された論文によると、チームは、木材の細胞壁に含まれる「リグニン」という物質を取り除いたあと、約65℃で加熱して繊維を圧縮させることで、結合を強める技術を開発した。
強度は鋼やチタン合金と変わらないが、重さは6分の1と軽量で、曲げ加工など成形も可能だ。
 
私は一読、うさん臭いと思った(笑)。でも、せっかくだから考察してみよう。
 
まず記事の「リグニンを取り除く」とはどういうことか。
よくリグニンとセルロースの関係を鉄筋とコンクリート(セメント)の関係と同じと説明されることがある。鉄筋にセメントが包み込むように、セルロースにリグニンがへばりついている。
リグニンを取り除くということは、鉄筋コンクリートからセメントだけを剥がして鉄筋を残す技術ということになるが、それがいかに大変か。
 
製紙過程でも同じことをするが、その場合は木材を粉砕してチップ以下にする。そして薬剤でリグニンを溶解してパルプにするのだが、もはやそれはセルロース塊であり木材ではなくなる。今回は木材の形状を保つようだ。いかなる方法を用いるのか。
 
天下の「ネイチャー」に論文になっているというのだから、まずは「ネイチャー」の原文記事 を探す。もっとも英文だし、テクニカルターム満載だろうから、私が読んでどこまで理解できるか。。。だいたい私は化学系は苦手だ。
 
あっ、日本語要約サイトがあった(^o^)。そこから原文に飛び、なんとか該当部分を見つけ出した。その訳を示す。
 
二段階プロセスは、NaOHとNa2SO3の水性混合物中で沸騰プロセスによる天然木からのリグニンおよびヘミセルロースの部分的除去し、続いてホットプレスすると、細胞壁が完全に崩壊し、高度に整列したセルロースナノファイバーを有する天然木が完全に緻密化される。
 
水酸化ナトリウムと亜硫化ナトリウムの混合物を使うのか。だが、重要なのは、その後の「部分的除去」だろう。つまり、全部リグニンを除去するのではない。
 
イメージとしては、鉄筋コンクリートのセメント部分に穴をいっぱい開け、スポンジ状にした感じか。そして、その後高熱で圧縮しスポンジの穴を潰す。すると鉄筋の割合が非常に多い物質になる。
同じように木材からリグニンを薬剤である程度溶かし去り、それを圧縮するのだろう。するとセルロース比率の高い木質になる。だが、ここでセルロースナノファイバーという用語が出てくるから、通常の木質セルロースではなく、ナノファイバーまでセルロースを分解してしまうのだろうか。厚さは80%縮小し、密度は3倍、剛性は11倍になるとある。
 
しかし、木細胞はもともと中空だから、それを圧縮してしまうのと変わらない。通常はまた元にもどってしまうが、リグニンを減らすことで穴を増やしもどりにくくしたのだろうか。
 
 
なんとなくわかった気持ちになるが、やっぱり納得しない。木質化学の専門家に説明を受けたいものである。
そもそもセルロースナノファイバー自体が、実証までは行ったが実用まではまだまだハードルのある物質だ。今回の開発物質も実験室レベルだから、実用まで行けるかどうか。さらにコストまで考えれば、果たして実用性があるのかないのか……。
 
 
 
 

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コメント

どうなんでしょうか。コストの事もありますが、木材強度に過度の期待を持たない方が良いと…内装材として、国産材をしっかりと使って頂きたい!

まずは飛行機の内装を木材にしたらどうでしょう。漆塗りとか…趣あると思いますが…
travelケースも曲げ木なんかで作ったら素敵だと思います。治安的にまづいでしょうかね。
圧縮抽出せずにいっそそのまま木材飛行機にしてしまえば… 木のジェットコースターの様に…
爆発したら終わりですが…

技術開発としてはアリなんでしょうが、実用化までは長い道のりでしょうね。木材に強度を求めるなら、最初から鉄使えよ、ということになるしなあ。

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