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森と林業の本

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2018/02/28

裁量労働制で森を歩く

イマドキ流行り?の言葉、裁量労働制

 
私のようなフリーランスは、雇用者と労働契約を結んでいるわけではないが、とりあえず自分の裁量でいつ働くか、どのぐらい働くか、止めるか……まで決めているから裁量労働制ではあるわけだ。
 
で、自分の働きっぷりが、いかほどのものか試してみた。
 
まず朝起きて朝食後に仕事部屋にこもってパソコン向かって原稿を書く。これは間違いなく労働だ。自分で計画的に取り組んでいる執筆活動という労働。
 
昼食後、しばらくは頭の働きが悪いので頭脳労働はストップ。その代わり身体を動かす労働を選ぶ。今日は……最近森を歩いていないな。ちゃんと定期的に森を歩かないと森林に向き合う際の勘が鈍る。そこで山へ向かう。これは森林のことを考えるための活動だから、間違いなく労働だ。
 
とくに選ばずに向かったが、とりあえず宝山寺の周辺から山道に入る。このまま登れば山頂につくが、それではよく知っている道筋になってしまって刺激が少ない。常に新しいものと接することが大切なのだ。
そこで道からそれる。森の中に踏み込む。最初はなだらかな尾根を選んだつもりだったが、すぐに急斜面になり、岩がゴロゴロする中を進むと崩壊地に出る。折り重なった木々の間を抜けてしがみつくように斜面をトラバース。
 
始めて歩く森の中だから、見るものすべてが新しい仕事だ。おっと、滑った。靴が泥で汚れた。だが、しりもちはつかない。森の中の労働で鍛えたおかげである。こちゃんと過去の経験が活かされたのだから、これこそ間違いなく労働だ。
 
2
 
なんだ、この木は。ヒサカキのような木の幹に奇妙な瘤が付いているではないか。
 
3
 
角度を変えると、こんな具合。これはなんだろうか。どのように形成されたのだろうか。深く考察する。これぞ、森林ジャーナリストとして重要な仕事である。こうして森の不思議に触れ、常に考えるのだから、間違いなく労働だ。
 
さらにアオキの純林のような森に出る。低木の照葉樹であるアオキが高さ3メートル以上に育ち、一面を覆い尽くすなんて。こうした森を見るのも仕事である。これは、間違いなく労働だ。
 
さらにイノシシの糞を発見。これは生駒山の野生動物に関する見識を深めるのに重要な役割を果たしたから仕事である。間違いなく労働だ。
 
進むルートは獣道を利用する。うっすら見える獣(多分、イノシシ)の足跡を探し出せば、人間でも通れる道が見えてくる。谷に出るといくつも崩壊した跡がある。そこに新しい草が生えている。こうした発見も仕事だ……。
 
ああ、だんだんどこを進んでいるのかわからなくなってきた。もう山頂をめざせない。
遭難? いや、遭難することによって五感をフルに働かせて、自分の安全と進むべきルートを探すのは、森を歩く訓練となる。森林ジャーナリストの勘を養う行為であり、仕事だ。間違いなく労働である。ちょっと疲れてきたけれど……。
 
 
あえて枯れた沢を下る。岩がゴロゴロしており危険もあるが、もっとも現実的な選択だと判断したのである。すると水の湧き始める地点を発見。ここからチョロチョロと水が流れだし沢が始まっている。こんな発見をしたのだから、立派な仕事だ。間違いなく労働である。
 
結構ぬかるみや崖を越え、悪戦苦闘しつつ進む。もう遭難だって仕事だ、労働だ!
 
12
 
ふと、こんなビニールテープを発見。なんだ、ここに他人が来たことがあるのか。普通ならがっかりするのだが、なんだかホッとする。
仕事の終わりが見えてきたような気分になる。どんどん下る。すると、見覚えのある森の様子が。そして、すぐ側に道があった。
 
立派な仕事をなし遂げて、労働を終えた気分。
 
時間にして、なんだ1時間未満であった。しかし、よく働いたなあ。。。
裁量労働制だから、労働時間はこだわらない。私は立派に働いたのだ。そうだ、そうに違いない。もう頭脳労働にはもどれない……。

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