Yahoo!ニュースに「消えた200万ヘクタールの森。統計の陰にカラクリあり」 を執筆しました。
これは純粋に、森林面積の統計を見ていて数字が合わない理由を調べた結果なのだが……もっとも知りたかった「伐採跡地」がどれぐらい広がっているか、という点については数字が見つからなかった。
というより、多分、全国的な伐採跡地(樹冠占有率が0,3以以下の面積)は、誰も合計数値として表わしていないのだろう。
本当は、各都道府県が地元の伐採面積を割りだして、それを集計すればよいだけなのだが、それをやっていないみたい。加えて怪しいのは、届け出から皆伐した面積はそれなりに導けるとは思うが、届け出ていないケースや、届け出の数字自体が信用できるのか……といった問題もある。
さらに伐採跡地に再造林を行っているかも、まとめた数字はなさそうだ。
せめて衛星写真から割りだしたらよいのだが、各県の担当者は面倒、というより表に出したくないのではないだろうか。
昨年末の朝日新聞の記事によると、青森、岩手、秋田、山形、宮崎、鹿児島の6県は、伐採と再造林状況を調べた数字があったそうだ。たった6県というのは少なすぎるが……その結果は、6県で年間6700ヘクタールを伐採(皆伐だろう)していて、その約6割が再造林していなかったのである。
そういや、以前、林野庁に電話で上記の記事に書かれている数値は庁として把握しているのか、と問い合わせたのだが、知らないようだった。私はほかの数値も耳にしていたので、どちらが正しいか確認できないかとも尋ねたが、できないとのことである。
なんか、基本的な統計がない、もしくは信用できないというのは困ったものだ。
せっかくだから、この記事にある6県で年間6700ヘクタール伐採という面積を援用すると、同じ規模の伐採を5年間続ければ3万3500ヘクタールになる(5年ぐらい経たないと植えた苗が育って森林と呼べるようにならないという前提)。全国ではその10倍ぐらいの規模だと仮定したら、約33万ヘクタールが伐採跡地として「木のない森林」となる。
まあ、雲をつかむような推定だから、あんまり意味はない。もっと確度の高い全国の「伐採跡地面積」の推定方法はないだろうか。
コメント