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2018/03/01

CLTは林業復興にならないわけ

住友林業が、地上70階建て、高さ350メートルの木造ビルを建てる構想を発表している。

 
延べ床面積45万5000平方メートルで、18万5000立方メートルの木材を使用する予定。ただし一部耐震補強に鉄骨材を使う。総工費は6000億円と試算している。
もっとも完成は2041年とずいぶん先。この年が創業350年だからという語呂合わせ的だし、そもそも、3時間耐火の木質部材の開発などをこれからやるというのだから、まだまだ雲の中のような話。高層ならぬ構想にすぎないのかもしれない。
 
面白いのは、ここで木質素材としてCLTを使うといった言葉が全然登場しない点だ。逆に鉄骨も入れるというのだから、あまりCLTは考えていないのかもしれない。
 
 
017
 
おりしもCLTの素晴らしさを書きつらねた記事を読んだばかりなので、苦笑してしまった。その記事では、2016年に建築基準法を改正して、一般的に使えるようになったのに、今だCLTが普及しないのは、まだ耐久性に対するデータが出ていないことを上げている。
 
しかし、CLTが建築材料として優れており、日本の林業の救世主たりえるかと強調されると、この人、木質工学の研究者だが、林業のこと知らないんだなあ……と思わざるを得ない。
 
そもそもCLTがB材からつくれること、製材端材さえ材料にできることを強調して木材の有効利用につながる……とあるのだが、現状B材余っていないし。
 
むしろ引っ張りだこで、B材が足りないからA材まで合板材料に回される有り様。端材だって、バイオマス燃料に回されて足りなくなっている。 むしろA材の使い道がなくて困っているのだ。
 
だいたい林業の復興に欠かせないのは、林業関係者の利益を増して山に還元されるという経済的な問題だ。利益率の高いA材が売れず、安くて利益の薄いBC材ばかりが求められることが林業を苦しめている。
 
そしてCLTは、今後欧米製(あるいは外材製)と国産材CLTの間で価格競争が行われて、どんどん安くなっていくだろう。国産材CLTが売れても売れなくても、利益は薄くなるだろう。その原料を提供する山に還元される分は、どう考えても増える要素がない。
 
 
林業には、森林科学や林業工学、材料工学、それに建築学など重要な学問領域がたくさんあるが、同時にもっとも必要とされるのは経済学であり経営学であるとも言えるだろう。それに政治学もかな?
 

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