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2018/04/24

「2020年の日本の森林……」を今読み解く

近頃、部屋の整理を始めた。老後に向けて少しでも荷物を減らさねばならないという思いからだ。

 
そして、最大の整理対象が書籍や雑誌、資料類である。これがまた、いじりだすと「これはもういらないのか、もう少し残しておいた方がよいのか」と悩まされる。。。結局、並び替えをして終わったりするのだが……。とはいえ、段ボール2、3箱は処分対象に選び出している。
  
 
そんな中で発見?したのが、この本。
 
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『2020年の日本の森林、木材、山村はこうなる』 全国林業改良普及協会。発行は2003年4月30日、つまり15年前なのだが、執筆はおそらく2001年から2002年にかけてだろう。
一応、「森林化社会の未来像編集委員会」編となっているが、企画したのが当時林野庁長官の加藤 鐵夫氏である。
 
今年は2018年。20年まであと2年あるとはいうものの、当時20年後の日本の林業や山村がどうなるかと予想・提言した内容と比べてみるのも悪くあるまい。
 
……正直、笑えるけどね。
 
タイトルだけで語ると、「巨木の森をめざして」とか「皆伐を見直し、自然にあった緩やかな施業-人工林のこれから」なんてあるぞ。「針広混交林で多様な需要に応える
 
今、短伐期施業と皆伐を推進しているのは誰だ。
 
ちなみに、この章を担当しているのは香川隆英、佐野真、津元頼光、中北理、原田隆行、福山研二となっている。このうち津元と福山を除くと森林総研のメンバーだ。森林の将来像を、実現性ではなく思い切り希望と期待で記したのだろうなあ。
 
 
木材需要はどうなる、の項目は、すごい。
 
すでにこの頃、木材需要は減少しつつあったのだが、非住宅建築に活路を求めることとして、「人口の減っている年においても市街地は拡大している」からと、木材需要は伸びるとしているのだ。これまた希望的観測。いや気泡的かな?
 
そこでは外材輸入が厳しくなることも触れているが、「木材流通は安定化の途へ」「バイオマスエネルキーの活躍」と期待をばらまく。
 
肝心の木材価格は、国際相場と連動することで、上昇するとしている。合板用国産材丸太ナ価格などを例に、当時の7000~1万円/㎥が1・5倍程度の1万5000円程度」と予測。
 
我が国の森林がまかなえる労働者数は、「労働者一人当たりの年間所得を600~800万円とすれば、5~6万人を雇用できる」\(^o^)/。  この所得は、何を根拠に設定したのだろうね。当時でもそんな年収を得られる人がどれほといたか。。。
その給与を半額にしたら10万人を雇用できることになるが……現実は当時の水準のまま推移した3~4万人だろう。
「少数精鋭若手林業労働者と高齢者の活躍」というタイトルが、もはやもの悲しい。
 
 
ああ、こうして突っ込みを入れるときりがない。何回かに分けて記してもよいか。
 
もちろん、これは予言の書ではない。あるべき将来像を個人が描いたものだ。が、現実はまったくあるべき姿を参考にすることなく真反対に暴走しているのではないか。
 
 

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コメント

見たくない不都合な現実には目を逸らし、実現には程遠くても明るい話題には飛びつくのが世間だとすれば、この本が出された理由がそこにあると思いますが・・・。
昔、陸軍の図上演習で負けばかりに腹を立てた司令官に、ある参謀が、条件を変えれば全て勝ちになりますと答え、司令官のご機嫌が直ったと半籐一利氏が書いていたのを思い出しました。


執筆当時は、まだ「こんな方向に進めばいいなあ」と希望を持っていたのだと思いますよ。
筆者たちは、現状を見てどのような意見をお持ちなのか聞いてみたい。

筆者に聞くべきでしょう。
理想を書いただけかも知れないけれど、あまりにも現実と違いすぎます。国唯一の研究機関なんだから、書いたことの責任があるでしょう。

責任とは言いませんが、現在の林政に対して、それなりの思いはあるはず。

執筆者が現在も林野庁や森林総研に在籍しているかどうかはわかりませんが、これ読んだらコメントくれえ~(笑)。

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