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2018/04/04

木製飛行機の製造技術

戦時中、家具メーカーの飛騨産業が木製飛行機 をつくっていた写真が見つかったという記事が出た。

 
なんとなく記事では「飛騨の匠」が飛行機をつくったことを誇るような雰囲気が漂う。木材加工の職人技術で精巧な機械を木造化して見せた……といわんばかり。
 
が、これって誤解があるのではないか。
 
木製の飛行機と言えばイギリスのモスキートが有名だ。爆撃機のはずが戦闘機よりスピードが出て、旋回性能も抜群の名機である。
 
Photo  
 
 
それに影響を受けて各国でも木製飛行機づくりに乗り出していた。とくに日本は金属が足りないという情けない理由からも木製化に取り組んでいる。
たしか松下工業、つまり現在のパナソニックも木製爆撃機をつくったし、王子製紙も木製戦闘機に挑んでいる。ま、結果としては箸にも棒にもかからぬ、性能劣悪の飛行機となり、とても実戦に投入できる代物ではなかった。(でも、戦争末期なら投入したかもしれない。)
 
何がモスキートとの差を生み出したか。
 
簡単だ。
モスキートは,合板技術の粋を集めた機体なのだ。薄いベニヤをいかに張り合わせて強度を保ちつつ軽くするのかは、接着剤の種類も含めてものすごい技術の集まりだ。
 
その点、日本の合板技術はお粗末だった。戦前から戦中だと、ほとんど雨に打たれたらベニヤがはがれる代物ではないか(笑)。事実、完成品は金属製より重くなったとか……。
 
それを補おうと、「飛騨の匠」の木工職人の技術に頼ったのかもしれないが、そんなガラス細工の芸術品のような飛行機で空戦ができるか。
 
個人技に頼った量産物ほど危険なものはない。
 
なんだか、今の日本を見ていると、同じことを繰り返しそう。ただ問題なのは、個人技としての匠さえいなくなっていることだ。
 
ちょっとかつての飛行機オタクの片鱗を出してしまった。。。
 
 

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コメント

今更でもありませんが、ボーイングが米大陸横断郵便の機種選定のコンテストに勝てたのは、シアトルで良質のスプルースの調達できたからと聞いたことがありました。

もともと飛行機木製からスタートしていますから、木材は飛行機に向いているはずです。軽いし、曲面も作りやすいし。
でも量産品は無理でしょうね。

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