この年度末、めちゃくちゃ執筆やら雑務が溜まっているのに、矢継ぎ早にYahoo!ニュースに執筆。「全額補助?CLTのイノベーション潰す補助金が誕生 」である。
これを大急ぎで書いたのは、こんな記事を読んだから。
実は、 某地のN氏から送られたものである。さもないと、自分ではこの記事に気がつかなかった。N氏は、時折貴重な情報を提供してくださる有り難い方である。私の活動は、こんな人々に支えられているんだなあ……と思っている。
それはともかく、一読驚きましたよ。なんだ、こりゃ。
なりぬりかまわず補助金で、目先の木材需要、もっと言えばCLT需要を高めようというわけか。しかし、税金で買わせるのだから、本物の需要ではない。泡のようなものである。
これ、木材業者が嘆願したのか、それとも林野庁の浅知恵か。
いずれにしても、こんな助成金案を採用した時点で、アホさ加減が世間に知れ渡るだろう。
ただ気になるのは、日経新聞以外の情報源がなく、裏取りできないことだが……こんな補助金つくりました~というのは、エイプリルフールでした、とか言われないか心配(笑)。
でも、新聞に載ったのは3月29日だからそれ以前に発表しているはず。エイプリルではないはずだ。フール(バカ)ではあるけれど。
マジな話をすると、本当にこんな補助金成り立つのだろうか。補助率がどうの、CLT購入金がルの満額出るのかどうか、という問題ではなく、WTOの問題である。
CLTに補助金出すと言えば、欧米産CLTメーカーがなんというか。非関税障壁だと騒いだらどうするのだろう。
あるいはホワイトウッドでつくったCLTにも補助金出すのかだろうか。これまた材料は国産材に限るなんて言えば、WTO違反だろう。が、外材製CLTが売れても国産材需要は高まらない。
そこんとこの制度設計がよくわからないのである。いっそ、外国に「こんな補助金できたんですよ~」とチクるのはどうだろう。そして外務省を通じて照会させる。どんな答が返ってくるのか期待したい。
バイオマスが下火になったから、次はCLTですか。今が切り時と旗振ってみたけど山は手入れ不足のモヤシばかりだから、モヤシの使い道探しに必死なんですかねぇ。
「現場見たらモヤシばかりだから、150年生目指して生産林の間伐と大型製材機の購入補助金増やします」の方がまだ現実的な気がしますが。木が太いと製材機が無くて価格が下がるってなんやねんと思う今日この頃。
投稿: むーいん谷の妖精 | 2018/04/02 12:59
CLTの材料はB材と聞きますが、バイオマスもC材で足りずにB材燃やしだしているから、取り合いかなあ。
そしてバイオマス燃料にはFITという見えない税金(電気料金)があり、CLTにはもろ税金投入。
どちらにしても、目先しか考えていない政策です。
投稿: 田中淳夫 | 2018/04/02 16:32
以前仕事で製材業者への聞き取り調査を行った際に印象に残った言葉です。「政府が林業施策を講じるたびに、我々の仲間はつぶれていった。今言いたいのは、行政は余計な施策を講じないで放っておいてもらいたい、ということだ」という言葉です。
今回のことも同じことになる気がします。
ある特定のメーカーだけがうまい汁を吸い、弱小の製材業者は潰れていく。というごくあたりまえの結果になるのでは?と思います。
投稿: 平田敏彦 | 2018/04/04 08:11
CLTの製造に乗り出すのは、基本的に大手集成材工場ですからね。
政府は、現場の都合よりも自分たちに都合のよい施策を取るのであって、その施策もつくるまでは汗をかいても、施行した後は放置ですから。
投稿: 田中淳夫 | 2018/04/04 09:56
CLTの材料にB材を用い、国産材の需要拡大を目指す!と、言うのが林野庁の方針でしょうが、実際は歩留まり等の関係で限りなくA材に近い材料が求められていると聞きます。その材料をB材以下の価格で買い上げようとしているのであれば、山元への利益の還元は益々少なくなり、林業の振興にはなりません。政府は美しい話を作りたいのでしょうが、他人の財産を利用してはいけません。
投稿: 山のオヤジ | 2018/04/04 10:33