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森と林業の本

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2018/05/01

森林データの共有に触れて……

今日は、連休の谷間、平日だそうである。
 
そこで真面目な話を。
 
林野庁は、森林データの自治体間での共有を行うために、クラウドシステムで相互に接続できるようにする計画を進めている。2022年度にも全都道府県で導入をめざすそうだ。
 
現在は、森林のデータが都道府県と市町村に分散している。たとえば樹種や植林時期などは都道府県で、所有者や伐採届に関する情報は市町村……というように分かれているのだ。それどころか電子データ化しておらず、紙情報で保管する自治体も少なくない。
これでは、いざ必要となった際に情報を探し出すだけでも大変。そこで林野庁が音頭をとって、データの様式を決めて、共有化を行うという。
それに森林組合など林業事業者も、このクラウドデータにアクセスできるようにするという。そうすれば伐採や植林の許認可も効率化できるだろう。地域の資源量も把握できたら、製材工場の業務にもプラスになるだろう……。
 
すでに三重県と岡山県では導入済み。今年度中に、茨城、石川、鳥取、福岡の各県が導入する見通しだ。
 
 
ま、よいことには違いない。そもそも、こんなことが未だにできていなかったこと自体が遅きに失したとも言える。
 
この件について考えていると、ふと先日持たれた奈良県の森林に関する会議のことを思い出した。
 
そこで某識者は、「国は情報も権限もバラバラ。縦割りになって林野庁と国土交通省と環境省……などが入り乱れている」ことを指摘したうえで、「だからいいんだ」。
 
こんな発言があったのである(笑)。
 
なぜ縦割りでよいのか。バラバラでいいのか。それは「おかげで国は何もできないから」。
 
国は一省庁が何か企画しても他省庁が絡むと身動きとれなくなる。その点、県は国より緩く、各分野を統合できる。治山や砂防と林業経営、それに自然保護を一体化して計画が練れる。
そして、県が勝手に動き出しても国は縦割りゆえに口を出せない。林野庁が、林業経営としてその方針はいかがなものか……と言いかけても、それが砂防と絡んだら国土交通省の手前、口を出せなくなる。
 
だから国には縦割りのままいてもらって、県でどんどん柔軟に進めましょう……という意見であった(⌒ー⌒)。
 
もちろん県内の森林データの共有化は進めるべきだ。また共有された森林データを利用できるのは、誰か。国にできるのか。お任せになるか。
これは林野庁が音頭を取らずとも、都道府県でできることだね。たとえば共有スタイルは、県がつくってもよい。先にやったもん勝ちでもある。
 
ただ県庁の課長クラスに林野庁からの出向を受け入れているところは難しいのかな。

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政策・行政関係」カテゴリの記事

コメント

お邪魔致します。4月よりクラウドを利用しています。まだまだ、お試し期間中…今後は、市町村のデータ公開範囲が重要になると思われます。

そうか、市町村(県も?)がすべてのデータを出すとは限らないのか……。

一部の悪い事を考える輩と、ほんの一部(笑)の保身しか考えない行政の方のお陰で真面目に林業に取り組む人々が憤慨する今後が予想されます。しかし、諦めないで踏ん張りましょう!

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