林野庁、やっぱりお節介。
来年度から施行される森林経営管理法に合わせて市町村が森林管理の責務を負うことになるわけだが、そのための手引き書づくりを林野庁が行っているそうだ。今から来年の準備をこのようにやりなさい、というわけか。
内容は管理対象となる森林の目安(どういう状態が放置林か、林地台帳で所有者を調べたり境界線を確認したりしなさいよ、集約する優先順位は……など)を示すというのだ。
さらに、こんな森林は管理権を所有者から奪って業者に委託しなさい、こういう森は、森林環境譲与税注ぎ込んで管理しなさい、と指導するらしい。
市町村が独自に森林管理をやりなさい、と言いつつも「指導」が入るわけね。どうせ市町村に林業のことわかる人材なんかいないだろ、と見切ってお手伝いするのか。(本来、間に入る都道府県を見事にディスってる気がする……。)
実際問題、ほとんどの市町村は困っているだろう。林業に詳しい人材はそんなに多くないし、仮に一人や二人いても全体を見渡して指針を考えるのは厳しい。マニュアルがあれば頭使わずに済むから有り難いだろう。
しかし、そもそも林野庁にも、それを示せる能力のある職員が何人いるのか問いたくなる。スギとヒノキの区別も付かない職員もいるよ、と以前に聞いたが……。(もちろん、それは特別な例だと思いたい。)
手引き書づくりを丸ごと否定するのではない。
気になるのは林野庁がつくれば、全国画一的なマニュアルとなりかねない点だ。
森林は地域ごとに大きく違うものだ。気温や降水量はもちろん、土壌、地形、水分条件、光条件。所有者の立場や意志。そして地域の背景の木材産業事情。素材生産業者の数と質。木材市場や製材工場の配置まで響いてくる。
それらに対して目をつぶって手引をつくられても、機能するのか。もちろん林業に通じた優秀な職員がいたら、手引を元に自分で地域事情を落とし込んで上手く適合させるだろうが、そうでなければマニュアルを御旗のごとく金科玉条に実行しようとするかもしれない。
全国画一的な施策が、日本の山を多く荒廃させてきた。植樹本数から始まり、下刈りの回数や間伐率まで決めてきた。複層林なんてのもあった。現場を無視して実施して傷ついた山も多いはずだ。また繰り返すのか。。。
ここで、どんなマニュアルが適切か考えてみた。必要なのは「手取り足取りの指導」ではなく、現場の職員に自分で考えさせることだ。
森林のタイプ(上記の条件)ごとに分類し、それぞれのタイプ別施業の選択肢をいくつか示す。市町村の担当者は、自分なりにどれを採用するか決断させる形式はどうだろう。いわばロールプレインゲームのように森林管理の施業を自分の頭で考えさせる。
そうなれば担当者も勉強するだろう。鍛えられるし、自分で判断した行うのは楽しい。上手く行って森が健全に美しくなればやりがいになるし、下手な選択をして失敗する経験も疑似体験させる。
いっそパソコン用アプリにするとよい。安易に選択肢をクリックしたら、10年後森林がボロボロになる様子を画像で見せる(笑)。そしてゲームオーバーとか減点100点とか。
せっかく健全な森づくりができたのに、ある時台風で山崩れが発生して壊滅!という事例も入れておく。君は何段階までクリアできたか? なんて競争になる。
そうだ、自分のアバターを決めて、アニメキャラを当ててもよい。「武器」は、森林生態学や土壌学、砂防学など専門分野の試験を合格したら手に入る\(^o^)/。
画像はイメージです。。。
なんなら、このゲーム攻略の全国大会も開催。100年後もっとも美しい森をつくるのは誰だ、日本一の市町村林政担当者を決めよう! と競わせる。日本の林政の底力を鍛えられるぞう。。
あ、実地の森で実行しなきゃ意味ないね……。
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