林野庁のホームページに、森林経営管理制度(森林経営管理法に基づく施策)に関するコーナー ができている。
平成30年5月25日、新たな法律である「森林経営管理法」が可決され、成立しました。平成31年4月1日に施行され、「新たな森林管理システム」がスタートします。……というように、林野庁系の冊子によく使われているイラストで説明している。
面白いのは、皆様からいただいた疑問と回答の部分。
主伐(短伐期の皆伐)を強要されるのか。大径木の生産を目指した長伐期施業はできないのか。
いいえ。……
市町村の方針に所有者が同意しなければ、強権的に経営管理権が設定される措置なのか。
いいえ。……
乱伐が進んで、再造林・保育が行われずに放置されることになるのではないか。
いいえ。……
経営管理実施権は、大企業にしか設定されないのか。
いいえ。……
詳しくは、実際のサイトの回答を読んでいただきたいが、疑問のすべてに「いいえ」で返答するというのが面白い(笑)。
ここまで否定するのなら、その旨、法律の条項にも記載すればいいのに。ここで否定されても、現場ではいかほどにも運用は可能だろう。
もし、この回答とは違う結果が出たら、どうするのか。たとえば、15年の委託を受けておきながら、伐採後の再造林をしなかった場合(しても、まったく成林しなかった場合)、どんな処罰が下るのか。何もなければ逃げ得だ。
もう一つ。林業経営に適さない森林は市町村が直接管理、とあるが、市町村職員が直に何かできるわけないので、結局はどこかの事業体に委託するのではないのか?
能力と意欲のある事業体とやらせは、上記の経営に適した森林に取られるので、こちらには意欲も能力もない事業体に(笑)。ま、それは意地悪な言い方かもしれないが、ようするに市町村が税金で費用払って業者に施業をさせるという意味だろう。
私も、これからコツコツと読んでいこうと思う。誰か、さらなる疑問とツッコミドコロを見つけたら、私にも教えてください。
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森林経営管理制度の事務手続きの仕事をやっていますが、相続未登記という壁にぶち当たっています。相続登記が義務化されていない現在、登記名義人が祖父や曽祖父などという山林はザラにあります。制度では、所有者が山林の管理を市町村へ委託することを希望する場合、所有者であることを証する書類として、登記事項証明書(未登記の場合は遺産分割協議書など)の提出を求めていますが、到底無理。関係権利者全員の同意を市町村が取り付けることになっていますが、複数世代に渡る未登記の土地の場合、法定相続人は半端な数ではありません。市町村は法定相続人探しに翻弄されるでしょう。
そもそも、管理できずに放置された山林は、登記も放置されたままというケースがたくさんあります。近い将来、相続登記が義務化されるようですが、登記書類一枚取ればオッケー!となるまで、この制度がスムーズに動き出すことは無いように思います。
投稿: 森野きの子 | 2020/03/18 21:46
相続未登記、大変ですね。所有者不明や境界線未確定も、この問題に連動しています。
森林経営管理法、そして森林環境譲与税は、これを解決するためにつくられた面もあるのですが、あまり機能していませんね。伐ることばかり考えている。
さて特効薬はあるでしょうか。所有権に関わることですから、なかなか手を付けられない。
投稿: 田中淳夫 | 2020/03/20 10:32