今晩は、近畿圏を台風12号が通過予定。緊張した時間を送っている……と書きたかったのだが、今のところ雨も降っていない(~_~;)。風もほとんどないなあ。近隣には避難勧告の出た地域もあるのだけど。
さて、そんな相次ぐ災害に備えて防災省(仮称)の創設案が登場している。
先日、札幌で開かれた全国知事会議でも「国難レベルの巨大災害に負けない国づくりをめざす緊急提言」の創設が提案され、採択されていた。また自民党総裁選挙に出ると噂される石破茂議員が「防災省創設」を掲げたことも話題になった。官邸側としては、こうした政策を潰そうとしているから実現可能性はさほど高くないが。
防災省構想は、もともと阪神大震災が起きたときに総合的な防災・災害対応を行う部署が必要として、アメリカのFEMA(緊急事態管理庁とでも訳すのかな?)のようなものをつくろうとしたのが最初のはず。それを関西広域連合が提案するようになり、石破議員も取り上げたというのが流れだと思う。
実は先日、英字新聞の記者から、この防災省案についてのコメントを求められた。
私が以前にYahoo!ニュースに書いた「山川省構想」を読んで、防災省と似ているからだという。
山川省構想とは、土倉庄三郎が唱えたもので、時期と内容もかなり違う。明治時代だけに、山川省は、防災のための緑化と森林整備が第一義であった。ただ、山と川を扱う官庁がバラバラでは効果が出ないという発想は、防災省にも通じるところがある。つまり縦割り行政を廃する目的である。
求められたコメントは、
・防災省を創設すると、防災強化の名目で政府は自然破壊に繋がる無駄な公共事業を認可しやすくなる恐れがあるか。
・政治家、学者たちは防災省に「被災地の復興まで担当する権限」を描いているようだが、町村レベルで山川の復興をどこまで考えているか。
・仮に農林水産省が分割され「山川省」を創立すれば、防災省よりうまく行くと思うか……。
というものだった。
想像される防災省の役割は、
各省庁がバラバラに取り汲んでいる防災・災害対応を調整すること。
防災内容などの基準を一元化すること。
専門知識・技術を持つ職員の養成と専属にすること。
この3つだろう。その点からすると、
防災省が、公共事業を認可して自然破壊が進むとは考えにくい。むしろ、権限のないまま提案する無力な官庁になるかもしれない。また専門知識を持った職員を本当に養成できるのか。数年ごとに転勤させる体制を改変できるのか。
日本の中枢は、遠い未来の姿を描くのが不得手で、社会の将来像や自然環境の保全に対する意識が低い。防災省ができても、インフラの復元や、防災施設の建設など目先のハコモノと復興ばかりを優先するだろう。防災名目なら自然破壊も仕方ないと考える可能性だって大。
インフラが復元できた頃には、そこに住む人がいなくなるかもしれないのに……。
と返事した。
つまり、関係省庁(気象庁、消防庁、警察庁、防衛省、国土交通省、農水省、林野庁……)に命令する権限はなく、あくまで「調整」官庁になるだろう、ということだ。
とはいえ、縦割りゆえの弊害が減るのなら、考えてみるのもよいかもしれない。防災という錦の御旗で「開発」に待ったをかける力になるのなら。
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