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森と林業の本

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2018/08/12

中国紙が解説する日本の林業史

中国の新聞・環球時報(共産党系の海外情報紙)が、日本の林業事情を記事にしている。
 
 
これが、わりと読ませる。 
 
江戸時代に、素朴な環境主義から森林が守られたが、明治以降の近代化プロセスの中で木材需要も急激に上昇し、森林が大量に伐採された。森林の年間伐採面積は1932年に42万ヘクタールだったのが、45年は80万ヘクタールに急増したそうである。
 
そして戦後の状況の説明が、なかなか切り口が面白いのだ。
とくに製紙の関わりについて、製紙会社の技術バージョンアップによって、針葉樹パルプを広葉樹パルプに代えて紙を製造することだったとする。こうした話は、私は聞いたことがない。真偽はわかりにくいが、面白い視点だ。
 
そして、次のように総括している。
 
日本のこれまでの歴史の中での造林活動を振り返ってわかることは、造林活動の誕生を促した要因の中に環境保護の意識もあったかもしれないが、全体としてみれば経済的利益が根源にあり、結果として環境や国民の健康に不可逆的なマイナス影響を与えた。特に天然林を破壊する人工林の造成という行為は、生物の多様性を脅かし、原生林の生態システムを大きく破壊した。
また、人工林は広い面積での同質化という特徴があるため、病虫害が発生した場合に抵抗力が弱い。このほか経済的利益のために広い範囲で杉を植えたため、日本では毎年春になって杉の木が受粉の時期を迎えると、花粉が広範囲に飛散して、スギ花粉症を引き起こす。統計によると、日本では毎年30%の人がスギ花粉症に悩まされているという。
日本では最近、木材輸出が積極的に推奨され、人工林は成熟して収穫期に入っているが、まだ十分に利用されているとはいえない。合理的に伐採していないため、森林が荒廃し、樹木が育ちすぎるといった状況もみられ、森林の質が明らかに低下している。
 
多少個別の事実関係に疑問もあるが、全体としてはよい解説だ。日本の林業史としてもそんなに外れていないと思う。
ようは、日本がどんどん中国に木材輸出を進めているが、内実は問題山積みだ、と指摘しているように読めた。

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