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森と林業の本

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2018/08/19

泥炭復興庁と再造林監視庁

私のところに時折APP(正確にはエーピーピー・ジャパン)からメールレターが届く。

 
こんな感じ。
 
Photo
 
APP(アジア・パルプ&ペーパー)を知っているだろうか。
インドネシアを拠点とする総合製紙メーカーだ。シナルマスグループという油脂と製紙の財閥で、年間約2000万トンの紙・板紙の生産能力を誇る。広大な植林地を各地に保有し、原木から紙・紙製品までを一貫して生産する能力を持つ。
それらは世界120カ国以上の国々に供給しているという。日本でも、ホームセンターなどにあるコピー用紙は、APP関連の会社製であることが多いだろう。
 
ただ評判がそんなによいわけではない。たとえば検索してみるとよい。東南アジアの原生林を破壊する元凶として告発されていることが多い。実際、違法伐採が行われている森林が、APPに絡んでいることは多いようだ。森林火災を引き起して、その煙害(ヘイズ)が東南アジア一帯に広がって問題となったりもする。
 
 
ただ、熱心にニュースレターを送ってくる内容によると、森林認証も取得しているし、いろいろ森林保護の活動もしているようだ。
上記のニュースレターにも、東南アジアの熱帯雨林が泥炭地に立地していることが多く、そこを不用意に開発すると火災が発生することも記している。インドネシア政府は、泥炭復興庁を設置して、200万ヘクタールもの森林の回復を目標に掲げているという。
 
そのうえでAPPは2013年に「森林保護方針」を策定し、自然林の伐採をゼロにするだけでなく、自社の植林地でも泥炭地の森の創業を停止することを宣言している。(それが7000ヘクタールにも及ぶ。)そして泥炭地に5000以上の溜池を設置して、地下水位を上げるようにしたそうだ。
 
私には、それらがどこまで真っ当に機能して森林の保護に役立っているのか、それとも表向きの活動とは別に裏で違法な開発をしているのかは確認しようがない。私自身がインドネシアの現地を訪ねたわけでもない。
 
 
ただ、いつまでも昔の評判ばかりを持ち出すのはどうかとも思う。今、やっていることにも眼を向けるべきだろう。そもそも組織には、常によい面と悪い面があるうえ、時代とともに変化するものだ。
 
むしろ「日本国内に違法伐採はない」なんて臆面もなく口にする林業関係者、林政関係者こそ、怪しい。盲目的に「日本は素晴らしい」と思い込んでいるのか。
そもそも合法とする法律の内容がデタラメすぎる問題だってある。100ヘクタールを皆伐しても合法なんてお笑い種だ。
とくに再造林がどれほど守られているのか怪しい。そもそも造林後の自治体の検査はちゃんとは行われているか。ほとんどが「検査したことにしておく」だろう。市町村の担当者が、奥地の広い伐採跡地を歩いて調べることなどほとんどない。
 
森林経営管理法が始動して皆伐が増えたら、その後の再造林が大きな課題となる。ならば、
日本では、再造林監視庁を設置した方がいいんじゃないの?
 
 
 
 
 
 

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