一般の認識では、地球上の森林面積は環境破壊が進行して減少の一途。一方、日本の森林は戦後劇的に増えた。つまり世界的傾向と真逆なのだ……。
と思っていた。ところが、ちょっと面白いデータが、今月のネイチャー誌に載っているそうだ。
その理由は、やはり人為的な森林造成だ。とくに温帯や亜寒帯で植林が進んだこと。同時に温暖化が進んで、森林限界の北限が広がり拡大したことを想定できる。
もちろん、熱帯地域の森林は急減している状況に違いはない。むしろ危機的なのだが、単に面積・蓄積だけで言えば、熱帯以外の温帯~亜寒帯での増加が上回ったということだろう。
これって、ようは日本で起きていることと同じだ。他国の造林がどんな木を育てるのかなど細かく見ると生物多様性から木材生産までいろいろ考えられるが、総体として木材蓄積を増していることになるのは間違いなさそうだ。
これは好ましいことなのだろうか。ま、森林が増えて問題だ、と言えばひねくれているように思われるかもしれないが、問題は質と、それが人間社会に及ぼす影響だろう。
日本では、森林蓄積が増えすぎたと、政府は伐れ伐れと大合唱をしている。そして過剰な木材が生産されて材価は下落。一方で耕作放棄地や草地などがどっどん森林化が進み、雑木林のような自然林が拡大している。しかし、その森は整備されず人が手をつけにくい荒廃している。
今後世界で起きることも日本とよく似たことかもしれない。植えた針葉樹が育てば木材生産が増え、過剰になって価格が下落する。反面、人間社会に近いところには荒れた森林が増加する。そして熱帯雨林のような本来の森林生態系を残す森は激減……。
なんか森林にも林業にも、あんまり好ましくない世界になりそうに思う。ひねくれているだろうか?
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