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2018/08/29

「小笠原のネコ」に引き取り手はいなかった

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「ゲゲゲの鬼太郎」に登場するねこ娘。原作の猫娘と比べると、どんどん可愛くなっている。もはや萌え状態だ。。。
ま、そんな話とはドーデモよい。
 
 
先日のYahoo!ニュースにアップした「ネコの「可愛さ」はずるい。……」で紹介した小笠原諸島のノネコ駆除話に新たな展開が起きた。
 
この記事の冒頭で、私が読んだ書籍「小笠原が救った鳥」を紹介しているが、その点についてツイッターでコメントがつき、驚くべき情報を知らされたのだ。
 
まずは読んでほしい。
 
Photo
 
これは昨年の10月に鹿児島で開かれた国際ノネコ・シンポジウム 内で、鹿児島県獣医師会の坂本紘会長の発言部分を切り取ったものである。
奄美大島が狙っていた世界遺産の登録(後に登録延期)を受けてのシンポのようだが、ようは奄美の自然が危機に瀕してい る問題を受けているわけだ。
その原因の一つに、ノネコがアマミノクロウサギを始めとする貴重な野生動物を襲っていることがあり、しかもノネコを駆除する態勢も取られていない(ネコを駆除することに反対意見が根強い)問題かある。
 
そうした文脈では、どうしても小笠原諸島の事例は“成功例”として紹介されがち。
 
ところが、この獣医師会の会長発言によると、東京に渡ってきた小笠原のノネコは、全然里親が現れていないのだ。結局、ほとんどが檻の中で飼い殺しになりつつあるという。。。
 
 
もともと東京都の獣医師会が引き取ると言い出したのだが、小笠原から送られてきたノネコは、獣医師会メンバーの動物病院に振り分けられるだけ。それぞれの病院が、引き取り手を探さねばならないわけだ。それが無理なら病院で飼い続けることになるが、檻に入れた状態だろう。
 
しかし、引き取り手は簡単に見つかっていないのだろう。
考えてみれば、ほとんど野生下で生きてきたノネコは、極めて凶暴で、まさに肉食獣である。警戒心が強く、人になつかないはずだ。簡単にペットとして飼育できないだろう。とくに成猫なら当然だ。そんなネコは、容易にペットとして市民が引き取れるだろうか。
 
たしかに捕獲されたノネコが短期間(数ヶ月)でペット並の人なつっこいネコに変身したという記述もあるのだが、それは例外的な事例か、あるいは逃げ出した飼いネコがたまたま捕獲された可能性がある。
 
すでに800匹近くのノネコが海を渡ったはず(今春までに777匹のネコを捕獲したという記述あり)だが、まだまだノネコはいる。現在は父島が中心の駆除も、そのうち母島に広がるかもしれない。
東京といえども動物病院のキャパシティには限界がある。シンポの時期と、本が出版されるまでの間に半年以上あるが、その間に解決したとも思えない。
そもそも小笠原から運ばれるノネコ以外に、都内には大変な数の捨て猫がいて、それらの里親探しもしなくてはならないはずだ。
そのうち獣医師会が引き受けを拒否することも考えられるのではないか。
 
 
しかし、この事実は「小笠原が救った鳥」のストーリーの根幹をぶち壊しかねない。
果たして著者は東京へ渡ってからのネコの状況を取材したのだろうか。知らずに書いたのか(書き上げたのは今春のはず)、あるいは知っていて目をつぶったのか。
 
前者なら取材不足、後者なら読者に対して不親切であろう。
 
むしろキレイゴトのノンフィクションに終わらせず、上手くいかない現実を描くべきではなかったのか。

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コメント

先程、私の飼い猫に「かわい~ねぇ~・神様はなんて可愛い生き物をつくったのだろうねぇ~」なんて言った直後、ブログ拝見しました。…猫の事が書いてある… 私はガラケーの為、Yahoo!ニュースやブログ中の記事も観れません
詳しい事情は解りません。
しか~し! 以前、何度も色んな方に猫の引き取り手探しましたが(1日で50人とか)、難しいですね… 結構 猫飼ってる方多いです。
そうそう簡単に引き取り手がみつかるとは思えません。
ノネコ、ノイヌと野生動物の違いはなんでしょうね…? 私はずっと不思議でしたが皆様は考えた事あるのでしょうか…
世界中で猫 犬は'ペット'として人間の傍にいますよね…
野生になりきれないから野良 になるのでしょうか… 人間で言えば浮浪者…?

私のPSアルバムにも猫の写真が幾枚も入っていますよ。懇意にしている?野良猫もいるし。でも、完全になつかせるのは難しい。

最初に本を読んだときは感動したんです。殺処分せずに引き取れるなんて、と。猫は優遇されているなあ、と。
残念ながら、里親がみつかるのはわずかで、動物病院などの檻の中で一生を終えるオガサワラノネコが大半のようです。

ノネコ、ノイヌは生まれたときから自然の中で暮らしているから野生動物といってよいかと思います。ノラは飼われていなくても人間界にいるものを指すようです。

※ガラケーでも、ブログが読めるならYahoo!ニュースも読めますよ。

http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2018/08/post-1088.html
https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakaatsuo/20180828-00094763/

共立製薬は、2013年11月に開設した里親マッチングサイトに「小笠原・御蔵島で野生化してしまったネコの保護と譲渡」に関する特設ページを設置し、2015年6月30日時点で既に保護犬・猫の譲渡成立は820組を超えています。

Mixiでも小笠原の猫を譲り受けた方々によるトピックスもあります。

従って
「小笠原のネコ」に引き取り手はいなかった
という記事のタイトルはいただけない。

保護猫カフェと同じようなものかなと。
殺処分よりは数億倍良いでしょう、と思うのです。

アンチ猫は
「猫は完全室内飼いを徹底すべきだ」
「離島の猫は希少動物を襲うから早急に対策を行うべきだ」

などと日々主張しているのに今度は
「小笠原の猫は一生閉じ込められたままで飼い殺し」と

つぶやくし、ブログに書き込んでいます。

どっちだよ!!!(笑)

この矛盾に気づかないのでしょうか。

そのうち保護猫カフェにも文句言いそうですね。

保護猫活動をしている微力ボランティアです。

小笠原の野良猫達を東京都獣医師会が引き取ったものの 里親が見つかっていないという事実に驚愕しました。 
猫達を引き取ったものの里親探しを手間暇とお金をかけてしなければ人に慣れている猫でもなかなか譲渡までたどり着きません。


「ほとんど野生下で生きてきたノネコは、極めて凶暴で、まさに肉食獣である。警戒心が強く、人になつかないはずだ。」については正しい情報ではありません。
ノネコとは人間の世話にならず自活している猫と環境省は定義づけていますが、生態系的には猫であり、家猫と同じ特質を有する生き物です。 東京都内にいる野良猫も狂暴ですし、警戒心は強いですが、ボランティア宅のや保護団体のシェルター等で保護し飼育していくうちに人間を怖がらなくなり仰っているほど狂暴ではありません。

小笠原の猫を引き取って下さった動物病院さんでは 個人ボラ等ほど猫に手間暇かけられない(里親探しや人馴れ修行)のが原因ではないかと推測します。

ですので小笠原の野良猫達が特別狂暴で、人に慣れないわけではありません。ここの部分を訂正して頂きたいです。

奄美大島の野良猫も実際に里親探しで個人宅に譲渡成功しています。 
ノネコとは人間が殺処分しやすいように 生態系的にはただの猫なのに 勝手につけた名称です。
決して特別な種類のネコ科の生き物ではなく家猫と同じなのです。

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