国土緑化推進機構が主催する「森の聞き書き甲子園」と、そのための「森の名手・名人」(後に「海・川の名人」を追加)選定を、今年もやっている。
平成30年度は、新たに82名の「名手・名人」が選定され、これまでに選定された「名手・名人」は、森と海・川を合わせて約1,600名になりました。
平成14年から、とあるからすでに16年間か。もはや名手・名人も品切れ気味なのだが、一度始めたら止まらない体質は官庁・官僚から引き継いだかのようだ。 思えば関連NPOもあるから、簡単にやめられないのかもしれない。
なお、「森の名手・名人」の選定は、本年度をもって終了することとなりました。今後は、聞き書きの対象地域を公募し、その地域内で聞き書きを行う名人を選定することとなりました。
さすがに限界を感じたようです(^o^)。
もともと林業の名人技を顕彰・記録する意味があったはずだが、今ではどちらかというと、聞き取りをする高校生の教育効果の方が表に出ているように感じる。聞かれる方にとっては、若い学生に話をするのも楽しいのかもしれない。
ただ、徐々に幅を広げているとはいえ、林業および周辺の仕事に携わっている人口が数万人しかいないのに、1600人も名人にしてしまうというのは、無理がある。これまでもヘンなケースがいくつも見かけた。たとえばある技の師匠が選ばれずに弟子が選ばれたり、知る人ゾ知る業界で評判の悪い技術の持ち主だったり……。
今回の
一覧 を見てみる。毎年チェックしているわけではないので、今年の傾向かどうかはわからないが、杣師という名の「
特殊伐採」が幾人か。これ、ようはアーボリカルチャーなんだろう。しかし、経験年数が30年とか40年というのは……。自己流でなく現代的な安全技術を身につけている人であってほしい。
「カスタネット製造」というのは珍しいかもしれない。これ、伝統的な木工ではなく、楽器製造に入るのだろうか。ならばバイオリンとかギターも選ばれているのだろうか。しかし、そこからどんな「森」が聞き出せるんだろうか。
「聞き書き」というのは、簡単に言えば取材と執筆であって、我々が仕事としている技術だ。
ちなみに今の私は、聞き書きが下手な方だろう。かなり力が落ちたと実感している。
昔は、嫌々対応している人をのせて盛り上げて話を聞きだすなんてこともした。取材しながら意見が対立して喧嘩腰で怒鳴り合いながらも相手から必要なことは聞き出した。取材量も、1週間で5本して5本の記事を書いていたから、身についたのだ。
だが、今はすっかり……手抜きが上手になった(笑)。取材量も減った。取材力とは、体力と正比例しているように思う。ただ執筆量は増えたかな。ブログ毎日書いているし(笑)。
少し初心にもどらないといけません。
ただ先日手にとった本は、非常に多くの人を取材しているものだった。関係者を訪ね歩く粘り強さに感心したのだが……、実は最後まで読めなかった。あまりにも面白くない、読みにくい書き方なのだ。話がどこに向かうのか、各エピソードがどこにつながっているのか、読み出したら頭が痛くなって投げ出した。文章力もさることながら構成力がない本は、読むのが辛い。取材力だけではダメだなあ、と思い知った。
いっそ「森の聞き書き名人」を選定してみたらいいかもね。
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