我が家には床の間があるのだが、長い間使われていない。
いや、使うものではないのだろうが、ようは床の間としての用は成されず、なんやかんやら家具に埋もれていると言ってよいか……。
今の時代、床の間は絶対的に無駄である。
限られた敷地面積の住宅の中に、なぜ実用的でない空間を確保しなければならないのだろう。いっそ、全部取っ払って私の本棚でも置きたいのだが。
先日の展覧会で、こんな床の間を見た。
ようは壁に張りついた床の間(^_^) 。これなら場所は取らない。気分だけは床の間。掛け軸も掛けられる。
これもアイデアであろう。無駄な空間を確保する余裕はない現代住宅の中で、和風のエッセンスだけを残そうという試みだ。
これが売れるか、施主に受け入れられるかどうかわからないが、こうでもしないと磨き丸太も売れないしなあ。。。。(こっちが本音か)
私は、もっと根本的な和風住宅を見直す時期に来ていると思う。と言っても、すでに広がっているフローリングと大壁構法の洋風もどきではなく、あくまで日本的な新しさ。
もともと床の間などの和風というか数寄屋建築が広がったのは、発祥は江戸初期で豪商など金持ちの商人がまねたのは中期。そして世間に広がったのは明治時代になってからだ。そこそこ裕福な中産階級で武士の暮らしが取り入れたのだ。そして芸術の域まで達した数寄屋建築が技として完成した。
もっともそれが庶民の住宅に広がるのは、ほとんど戦後。住宅ブームが起きる中で、外材に対抗するために作られたブームとしての床の間だった。「床の間がある家」が高く売れるからというハウスメーカーの戦略だった。
そんな歴史を追いかけると、結局、それ以降は何の革新もイノベーションも起きていないのが日本の建築だ。
さて、新しい和風とはどんなものか。具体的に語るのはこの場では無理だが、それを発見しないと、住宅建築の限界が見えてくるように思う。
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