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森と林業と田舎の本

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2018年10月

2018/10/31

害獣の統計とその数字

生駒山でニホンザルを見かけた、という報告が私のところに届いた。3年ほど前からサルが見かけられるようになっていたが、そのときはハグレザルが移動中に生駒山系に入り込んだのかと思っていた。
ところが、どうも定住している気配がする。どうも生駒山系は.シカがいない代わりにサルの楽園になってしまっているのだろうか。
 
 
そんなときに環境省の自然環境局が、2016年度末のニホンジカとイノシシの推定個体数(中央値)を発表した。それによると、ニホンジカ約272万頭、イノシシ約89万頭だった。
 
前年度は、それぞれ304万頭、94万頭だったから、減少傾向にあると言えよう。せっせと有害駆除を進めた成果といえるかもしれないが、2023年までに半減(11年度比)させる目標からすると、まだまだ遠い。とくにシカの増加率を考えると、到底追いつかないだろう。
 
ちなみにニホンジカは本州以南であり、北海道に生息するエゾシカは入っていない。こちらは50万頭以上いるだろう。しかも304万頭は個体数の中央値とはいうものの、90%信用区間は約224万~456万頭だ。(イノシシ90%信用区間は約73万~123万頭。)あまりに幅がありすぎる(^_^) 。
もっとも推定値の算定法は得られたデータによって変えることが少なくない。新しい方法で過去の数値もさかのぼって変える。だから古い統計と突き合わせるのは危険だ。本当に減ったといえるのか疑問はある。
 
さらに獣害も数字上は減っているが、実感としてはないはず。そもそも生息数と獣害件数は正比例しない。数が減っても被害は減らない・増えることもある。
 
またハンターの捕獲数は伸び悩んでいる。シーズン中のハンター1人当たりの捕獲数は、平均2頭以下なのだ。単に狩猟免許を持つ人を増やしても効果は薄いのだろう。ちゃんと生きた獣を仕留める訓練する場を設けた方がよい。林業大学校より狩猟学校作った方が、農林業には効果的かも。
 
 
一方で新たな狩猟支援策を始まるという。仕留めたシカやイノシシを処理加工施設に持ち込むと、2頭目から補助が受けられる仕組み。これは都道府県からだが、環境省は取り組む自治体を支援するそうだ。これは、有害駆除の支援ではなく、ジビエの利用拡大支援だろう。
 
 

2018/10/30

Yahoo!ニュース「…油ヤシの幹から生まれる新素材は…」書いた理由

Yahoo!ニュースに「FRPに匹敵?油ヤシの幹から生まれる新素材は熱帯雨林を救えるか 」を書きました。

 
最近、タイトルを長くしようかと思っている。もともとは短く簡潔なタイトルを好んでいたのだが、むしろ長くてタイトルだけで中身がわかるようにした方がウケるのかもと思い出したから。
まだ試行錯誤中。ま、これはまださほど長くない。
 
今回の記事でこだわったのは、オイルパームと表記するか、油ヤシとするか、である。最近は普通にオイルパームと呼ばれるが、これがヤシという植物のことと気づかない人がいる。加えてパームオイルと混同して使う人も少なくない。パームオイルというのはヤシ油。あくまで油ヤシの実から絞って採取されるものだ。オイルは油なんだよ、油。パームはヤシなんだよ、ヤシ。だから、今回は日本語にした。
 
ともあれ「オイルパーム」「パームオイル」は、現在環境系からひたすら叩かれる材料だ。たしかに熱帯雨林を破壊して栽培しており、その油が全世界を席巻していることは間違いないのだが、実は油脂としてはなかなかの優れものであったりする。
ただ、何事も過ぎたるはなお及ばざるがごとし。
 
1990年代、私は「木を伐って森を守る」と訴え、(小規模)皆伐も擁護していた。が、2000年代に入ると間伐はどんどんやれとなり、さらに皆伐まで規模に限らず推進する有り様だ。「過ぎたる」状態になったのである。
 
ともあれ、油ヤシも全面否定の前にやるべきことがあるだろう。

2018/10/29

ジャパニーズウイスキーの熟成期間

ミスの次は酒だ……というわけではないが、久しぶりに行きつけのバーへ。

週末なのに雨が降っていたからか客は少なく、私が入ってすぐに彼らも席を立つ。私は疫病神か(泣)。
 
ともあれ、ゆっくりとバーにぶら下がることができた。 実はコンサート帰りで、なかなか幸福な気分に浸っていたのだ。 
 
Photo_2
 
カウンターの真正面。このボトル群を眺めつつ、その中身を想像するのが好きなのだが、ふと気づいたのは、ジャパニーズウイスキーが増えていること。
それなりに棚にも流行はあって、かつてはバーボンが多かったりスコッチが目立ったりしたのだが、今はジャパニーズウイスキーがキテる。
 
バーテンダーと話しても、次々と各地に新たな醸造所が立ち上がっているようだ。そして品質がなかなかよいのである。世界的な賞も毎年取っているし、世界的ブームと言っても過言ではないだろう。その代わり、原酒のストックがヤバいらしい……。
 
若い頃、酒蔵の取材をよくやっていて、それは日本酒だけでなく洋酒やビールメーカーも含むのだが、ジャパニーズウイスキーの評判は芳しくなかった。実際、あの醸造所にはサツマイモを積んだトラックが出入りしていたという噂もあって、イモをどうするのかと思えばカラメルを作るのだそうである。それでウイスキーの色を付けているのだ、とまことしやかに語られていたこともある。
 
 
が、現在のブームはそんなまがい物ではなく、数十年の精進が稔ったのだろう。
そこで面白いのは、日本の風土はウイスキーが熟成しやすいとのこと。原酒は最低5年は樽で熟成させないといけないし、シングルモルトを売り物にするなら、さらに長い年月がかかる。
ところが、日本の湿潤温暖な風土は、スコットランドを始めとするヨーロッパより熟成が早く進むのだそう。その分、「天使の分け前」も多くて、早く蒸発して減ってしまうのだが、3年5年の若い原酒でも、意外とヨーロッパ産に対抗できる……らしい。
 
そうはいっても、将来売れるかどうかわからないまま、5年先10年先の売れ行きを読んで生産しなけれはならないのは大変である。その間の経営は、副業も含めて支えねばならない。だがジャパニーズウイスキーメーカーはそれをやり切って、今の興隆があるわけだ。
 
……ふと、日本の樹木も熟成というか生長は早いのではないか、と思いついた。ヨーロッパより短い伐期がそれを物語っている。 
ただ5年10年先を読むどころか、目先の利益に走っているのだから、いつまでたってもジャパニーズウッドにブームは来ないわな。と酔った頭で考えて苦笑したのであった。
 

2018/10/28

桶樽日本酒フォーラムのミス

近畿中国森林管理局で開かれた「桶・樽×日本酒×木の文化」の継承・発展に向けた円卓会議に行ってきた。

 
なんかスゴイ長ったらしくてよくわからんタイトルだが、まあ桶や樽など日本酒づくりに必要な木材(吉野杉)に関するフォーラムというかシンポジウムと思ってよい。円卓でもないし。会議とはあるが、私は一聴衆。
 
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なんと、演者が10人もいるという……。独り5分は可哀相だろう。。。しかも関係者のうち半分は奈良の人間であった。
 
内容は省略する(^o^)。
 
私としては、終わってからなぜか内輪の打ち上げ飲み会に参加しており? このフォーラムに顔を出す目的であった二人と会えたからよいのだよ。この二人に比べたら樽の話なんて……。その証拠写真をアップしよう。
 
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左が、2018年ミス日本酒の須藤亜紗実さん。
右が、2018年ミス日本みどりの女神の竹川智世さん。
 
ミスはミスでも、私が何かミスをしでかしたのではない(^_^) 。
 
 

2018/10/27

WEBRONZAと「この木どこの木?」キャンペーン

WEBRONZAに「疑問だらけのクリーンウッド法 」を執筆しました。

 
これは有料サイトだが、前半部分は読める。核心の(はずの)後半部分は、Yahoo!ニュース やブログでも記してきたことで、目新しいのは前半でしょう(^o^)。
 
このところクリーンウッド法に関する記事を多く書いているが、眼目はこの法律ではなく違法伐採の取り締まりだ。外材の場合はトレーサビリティの確認と輸入規制をしっかりすべきであるし、国内でも盗伐や森林経営計画を始めとする違反した木材は少なからず出回っている(補助金の不正とか、皆伐後に再造林をしっかりしているのか?など、突っ込めばいろいろあるだろう。)から、しっかり検査・監査をしてもらいたいということだ。
 
違法木材の流通は、国の内外の森林破壊を助長しているだけでなく、合法的な施業によるまっとうな木材を駆逐することになって林業の健全な経営を妨げる。
逆に言えば、違法木材を追放することが、林業を健全にする。たとえば輸入される木材のうち1割を超すという違法木材・グレー木材を追放できたら、市場でだぶついている木材量を削減できて、材価を上げることができるだろう。国内も同じく。
つまり違法木材の追放は、まっとうな経営をしている林業家を応援することにもなる。もちろん、国際的な評価も上がる。環境、経済、国際世論。いずれをとっても悪い話ではない。
 
本来ならこの点をもっと強調して推進すべき国は、完全に及び腰でやる気がないのはなぜだろうか。 
 
多少とも世相を読めば、世界的に違法木材の追放と木材のトレーサビリティは大きな潮流になりつつある。日本だけが内向きになっても、5年10年の間に、木材の扱いは大きく変わる。マイクロプラスチックの問題、ディーゼル規制などから連想できるはずだ。
日本はいつまで背を向け続けるのか。これには国だけでなく、企業や大寺院も含まれるのだが。
 
その点は、WEBRONZAの記事後半に記した力点でもあるのだが、まずは日本国民が目の前にある木材を見て、「これはどこから来た木だろう? ちゃんと合法的に伐りだしたのか? 伐採後の林地の環境はどうなっているだろう?」と考えること。それを世間に表明することだろう。 
 
 
ところで「この木どこの木?」キャンペーン が始められている。そのためのサイトが立ち上げられた。
これは有志の女性が立ち上げたForestream(フォレストリーム)という運動体である。
 
この女性は「林業ガール」として知られ(笑)、バイオマス発電の問題を考えるためにボイラー技師の資格も取った人(゚д゚)。森林、そして林業をよくするために考えた結果、違法木材問題に焦点を絞ることにしたのだという。 
 
個々人が、それぞれの思いを持って行動するところから始めて行くことに期待したい。
 
 
1 この南洋材はどこに行く?

2018/10/26

「水木しげる魂の漫画展」で見た森の姿

龍谷ミュージアムで開かれている「水木しげるの漫画展」に行ってきた。

 
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これまで水木しげるのミュージアムなどは行っているし、作品にも耽溺してきたが、今回は違った感想を得た。
 
まず幼年期から青年期に描かれた絵画に感動。これまで漫画家のイメージが強すぎて、描いてきたのは漫画だという思い込みがあったが、彼は若い頃から画家をめざしていたのだ。
 
そのうえで、漫画家への道を歩んでいく。さまざまな作品が紹介されていたが、ここで作品論には触れない。しかし、原画の持つ迫力は一見に値する。
 
そこに描かれた自然界、森の描き方を見て感じるところ多数。これは、漫画じゃない。細密画と言ってもよいレベル。
戦地であるニューギニアのジャングルにしても、妖怪の棲む森にしても、絵を見て猛烈な湿度を感じてしまう。たしかに、私が歩いたあのジャングルには何か魔物がいたよ……。
 
本当はその絵を紹介したいところだが、会場で展示品を撮影するわけにはいかなかったので、チラシの中で森を描いた部分を拡大しておこう。
 
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改めて水木しげるは、日本の漫画界で手塚治虫とは別の系譜を切り開いたのだ、と感じ入る。
 

2018/10/25

「森林資源の現況」を見て雑感

林野庁が、「森林資源の現況(平成29年3月31日現在)」について  発表してる。

 
 
それを見ての雑感をメモ。
 
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これ、森林面積の推移だが、ほとんど変わらないことになっている。
ちょっと引っかかるのは、「その他」の部分。ここには伐採地や崩壊地、など無立木地に竹林が入っているはずなのだが……これも横ばいなのね。ちょっと不思議だ。これほど伐採、それも皆伐が増えているのに。竹林だって拡大の一途である。
 
それに総森林面積はほぼ変わらないなか、天然林が減って人工林が増えているって。まだ天然林を伐って人工林を造成していることになる。ちょっと信じられない。
 
伐採跡地は、すぐに植林すれば「森林(人工林)」としてカウントされるから、統計上の無立木地にはならないのかもしれない。 
 
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毎度見飽きた齢級構成のグラフ。人工林は、高い山の部分を切り崩そうとしているわけだが……。天然林の齢級構成なんてヘン。そんな単一林ではなく樹齢もさまざまに混ざっているはずなのに。どんな定義で決めたのだろうか。二次林(雑木林)を対象にしているのか。
そのうち天然林も「齢級の平準化」を言い出して、ばっさり高齢級の木を伐りだすかもしれない。
それにしても、圧倒的に多いのが20齢級、つまり100年以上なのだ。
 
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これが一番、わからない。育成単層林はともかく、育成複層林が区分されていることに驚く。これも、どんな定義をしたのだろうか。一昔前の複層林施業の名残? 本来なら恒続林のような森も入れるべきだが。
 
それにしても、面積が単層林の約1割、105万ヘクタールもあるのか。ただ蓄積は、1億8300万立方メートル。
ところで単層林は1021万ヘクタールに対して32億9100万立方。つまり面積に比した蓄積は、複層林は単層林の6割ぐらいしかない。生長悪すぎ。
 
 
……とまあ、こんな感想を持ったのである。

2018/10/24

地方紙にケボニー化木材の記事

前々から紹介している「ケボニー化木材」。

 
これを私が記事にする際に使ったフレーズは「針葉樹材を広葉樹材に」であった。
それをYahoo!ニュースで多用している。
 
 
 
 
ま、厳密に言えば、針葉樹材(ソフトウッド)と広葉樹材(ハードウッド)は全然組織が違うので無茶な表現であるのだが、英語表記のいい加減さを逆手に取って(^^;)、柔らかい針葉樹材が硬くなるんだからハードウッドだよね、というつもりで書いた。確信犯である。 
 
ところが、それをほかの新聞も使いだした。
 
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これは昨日の奈良新聞。ケボニー化という言葉が全然登場せず「スギ材 広葉樹に」と、まあ私以上の飛ばし記事を(笑)。あくまで広葉樹材であるよ。広葉樹じゃないよ。 
 
もっとも、この記事は共同通信の配信のはずだ。だから全国の地方紙に掲載されているはず。ああ、これでスギは広葉樹になるんだ……。
しかも、そもそもはノルウェーの会社が実用化した技術であることをすっぽかしているなあ。
 
ともあれ、ケボニー化技術が今後の希望となることが伝わればよしとするか。
 

2018/10/23

Yahoo!ニュース「薪代の補助制度?熱のFIT…」を書いた裏事情

Yahoo!ニュースに「薪代の補助制度?「熱のFIT」でバイオマスストーブを普及させよう 」を執筆しました。

 
ちょうど書いていた雑誌の原稿で、「熱のFIT」を紹介した。ま、こちらは真面目に書いたわけだ(笑)。が、政策としての「熱のFIT」より、もっと身近な薪とか木質ペレットのストーブ&ボイラーを気軽に使えるようにするアイデアとして紹介した方がいいのではないか、と感じた。
 
でもって、こんな風に書いたんだが、アップしてから思った。
 
タイトル、間違えたよな……。
 
このタイトルはイケてません。なんとなく付けて、深く考えずにアップしてしまったけど……。
 
では、どんなタイトルにすべきだったか。
 
熱のFITが薪ストーブを救う
……これもよくないな。だいたいFITを知る人はそんなに多くない。
 
薪ストーブを普及させる秘策はイギリスにあった! 
 
これぐらいの方がいいかな。もっと練るべきだった。ま、拡散してしまってからは手遅れだけど。。。
実際は、イギリスでも薪ストーブに、補助金は出ない(^^;)。このタイトルだと飛ばしすぎ。ただ、薪ボイラーはありかもしれない。
 
内容だけでなく、タイトルにも気を配ろう、というのが今回の反省。
 
 

2018/10/22

林学は林業のビジョンを示せるか?

少し前になるが、時事通信のネット版で、

 
 
という記事があった。 
 
これが気になってメモをとっておいた。だって、「農学」を「林学」に置き換えたら、そのまま通用しそうだから(笑)。
 
少しだけ引用しよう。
 
リードがこれ。 
日本農業の衰退が止まらない中、最高学府である大学の農学部は何をすべきなのか。東京大学総長を務めた三菱総合研究所理事長の小宮山宏氏は「日本農業のビジョンを示せ」と訴え、こうした取り組みを行わない農学部をゼロから作り直すべきだと「農学部解体論」を唱えている。
 
本文の小宮山氏の発言の一部。
 
少なくとも農学部全体としては、日本の農業に具体的な指針を示してほしい。
チャンスはあるのに、そういうことを何もしていない。学部全体や、農業大学なら大学全体として、そういう指針を打ち出す責任があると思う。学会全体としても同様だ。だから解体せよと言っている。林業についても、日本の林業をどうするか、きちんとビジョンを出すべきだ。
 
分散した小さな田畑でも、機械化し、GPS(全地球測位システム)やITを動員した一括管理が可能だろう。今まで大学や各地の農業研究所が蓄積した知を全部AI(人工知能)に入力しないといけない。暗黙知も形式知も、あらゆる情報を集めて、食や社会の動向も含め、全体像をつくれるのは大学しかない。
 
日本の人口が減っていくのは確かだが、海外の人口もいずれ減っていく。世界人口は今76億人だが、19世紀から20世紀に入る時は16億人だった。それが今76億人まできて、今後、最大96億人でピークアウトすると言われている。
 
それほど、海外人口が増えるわけではない。日本が飽和しているから輸出だと言うが、世界も飽和に近い。だから、あまり輸出に頼りすぎるのは無理だと思う。
 
日本の学府・研究機関は、個別の小さなテーマを研究することが多い。上記の例で言えば、稲の遺伝子とか。林業ならスギの品種改良や木材の強度とか。あるいは山村の製材所とか海外の木材生産組合の動向などを研究する。
 
それもいいが、それらを統括した林業の未来像を描く研究はないのだろうか。
品種改良に機械化に山村経済に金融システム……それらを組み合わせた日本の林業のビジョン。
 
これは大学だけでなくむしろ政府系の研究機関がすべきだが、政策づくりの指針となる研究と提言だ。個人や有志レベルの提言はあるが、きっちり公式に「日本の林業かくあるべし」という研究を出して政治家に突きつけるような迫力のあるもの。 
 
それがないから、研究と現場の乖離が指摘されてしまう。
あげくは林業に素人の政治家が思いつき政策を推進してしまう。官僚は自身の意志がないかのように唯々諾々と従う。
 
現在の施策に反論、ストップをかける動きがまったく見えないのが不思議なのだ。それは外野が叫んでもダメで、インサイダーがやるべき仕事だと思う。
 
ま、どんな提言出しても、自分の任期中にできることしか興味を持たず、聞く耳持たず論文読めない政治家と官僚相手では暖簾に腕押しかもしれないが。

2018/10/21

木造ビルからCLTの将来を考える

東京・蒲田に木造ビル が完成したというニュースを見た。
 
そこでちょっと確認すると、主構造(3~6階)を木造軸組工法、地下1階を鉄筋コンクリート造、1~2階を鉄骨造とした、木造鉄筋コンクリート混合耐火建築物であった。
もともと4階建て事務所ビルの建替えで6階建てにするが、既存建物より軽くなるように設計し、コンクリート杭も再利用しているという。
 
どんな構造かは、リンク先のモデル写真を見てほしいが、木造の軸組工法であることに間違いない。つまりフツー?の柱と梁の組み合わせ。
 
一方で、今年の夏に私が紹介した国分寺のフレーバーライフ社ビルは、大規模集成材だった。
 
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ほかにも幾つかあるのだが、最近次々と誕生する木造ビルの工法はまちまちである。
 
そこで気になるのか、CLTを使った木造ビル。
 
ちょうど先日の森林総研講演会で手に入れたのが、「季刊森林総研」という冊子だが、その特集が「木材利用の伝統と先端」で、そこにも木造ビルを紹介している。
 
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こちらは、木造ビルといえばCLTを使うものという前提のような記事(笑)。
 
何か、CLTを使わずに木造ビルは造れないかのような印象を与える。しかし、実際はCLT以外の素材による積層ビルは結構多いのではないか。そして、CLTの使い道も、ビルのような建物に使うとは限らないように思う。
 
実際、日本で建てられたCLT建築物を見ても、必ずしも積層建築ではない。5階建てとかいいつつも、実は1階はコンクリートで木造部分は4階分だ。それも鉄骨の軸組でCLTは壁面だけとか、床面だけ、というケースが多い。
それはヨーロッパでも同じで、全面的にCLTだけの建築物は少ない模様だ。
 
そこで考えてみた。CLTの将来は、どんな使い道になるのか
 
まずCLTによる高層ビルは期待できないだろう。そもそも6階建て以上の高層建築の割合は2割程度であるし、耐火問題もある。そこにCLTを使うことは技術的には可能でもあまりメリットがない。通常の鉄骨・鉄筋コンクリートでも十分。
 
一方で1~2階建ては、CLTを使わなくても無垢の木材で十分。住宅もそうなのだから。
 
となると3~4階建てである。ここならCLTの有利さを活かせるのではないか。
このクラスなら耐火基準も緩くて、燃えしろ設計で間に合う。それも壁や床など部分的な建材になるのではないか。もっとも、CLTの表面は汚い(^^;)ので、化粧材を張る必要があるように思う。その化粧材で燃えしろを得るのも手だろう。
 
さて、それが市場としてどれほどの量が潜在的に存在するのかは、私の専門外だが、そんなに多くないことが想像できる。そこに価格も響く。十分に安くしないと、CLTを使う価値がない。4階建て5階建ても、技術的には集成材や無垢材でも建てられるのだから。これが美しい建材なら、採算度外視で使いたい!という設計者も出るだろうが。。。
 
CLTの研究者の記事を読んでいると、いかに優れた素材だとばかり強調していて、市場とか価格とかを全然考えていない。これでは普及しないわな、と思ってしまう。
 
いっそ、いかに安上がりなCLTの作り方を研究をした方がいいのではないか。厚さの違うラミナでもかまわないとか、分厚いラミナで張り合わせる枚数を減らすとか、接着剤を使わないとか。。性能をどこまで落としても実用的かも検討すべきだ。必ずしも高品質は必要ない。
 
これ、CLTの親身になって考えているのですよ。

2018/10/20

ソヨゴの使い道と公開講演会の要旨集

昨日は、森林総合研究所関西支所の公開講演会に顔を出してきた。

 
テーマは「広葉樹林はお宝になるか?~有効活用の可能性を探る~」であった。
 
なんか会場はごった返している。かなり人は多いようだ。テーマが広葉樹林だと参加者が増える? 里山だからか。侮れん人気だ。
そして、その中にはビーバー武田!さんもいた(^o^)。はるばる三重の奥からこの講演会のために足を運んだのだという。彼にかかれば会場に展示されている広葉樹材なんて珍しくもないだろうに。 
 
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さて内容は豊富で2人の基調講演に3人の研究発表、それにパネルディスカッションにポスター展示もあったのだが、正直、私の知識の想定内というか、驚くほど新奇な事実は出てこなかった。どちらかというと面積や資源量の調査方法に偏っていたし、使い道も薪にシイタケ原木とありきたり……ただ、雑談でソヨゴの話が出たとき、武田さんが反応した。
 
「ソヨゴの木は、笏に使うんですよ」
 
! そうか、来年は今上天皇の退位と、新天皇の即位の儀。そこでは笏が使われるが、そのためにソヨゴの材が必要なのだ!!!
 
Photo 今上天皇の即位の時。ウィキペディアより
 
 
今どき笏を何の木で作るか知っている人は少ないだろう。そしてソヨゴの木材を扱っている人もなかなかいない。武田さんに問い合わせがあったのも無辺なるかな。ビーバー製材所の面目躍如だね。 
 
 
ま、このように広葉樹の使い道は広いのであるよ。こうした隠れた需要の発掘が肝心と思うのだが。
 
ほかにも広葉樹林(広葉樹材ではないよ)の活用については考えるところもあった。それについては、改めて記すこともあるだろう。 
 
ところで私が今回注目したのは、講演要旨集であった(^o^)。
通常よりちょっと厚めだな、と思ったが、各ページを見ると。
 
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わかるだろうか。上部と、下部。拡大すると、こんな感じ。
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どんぐりの名前当てクイズがあったのでした(笑)。ちなみに、最初のページにあるのはマテバシイで、下の二つはイヌブナとツブラジイである。なかなかドングリは覚えられない。
 
なかなか工夫しているじゃないか。いつもの殺風景の要旨集より読みごたえがあったよ。

2018/10/19

生長した?壁面緑化

京都駅前にヨドバシカメラの建物があるのだが、その壁面は大規模な緑化をしていることで知られる。

 
おそらく完成直後に、このブログなどで紹介しているはずだ。
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そのときの写真。撮影は2012年4月であった。
 
そこを何年ぶりか確認した。
 
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こんな具合。6年経って、ずいぶん緑が濃くなった……というか、分厚くなった。ちょっと立体的である。
 
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なかには細いながらも幹のある樹木も見える。壁面緑化は基本、草本ばかりと思っていたが、多少は木本も育つようだ。どこまで大きくできるかわからないが。。。
少しは生態系も育つんじゃないか。そのうち鳥が巣でも作ってくれないかなあ。
 

2018/10/18

「森を守るのは誰か」のフォレスターズ・シンドローム

森を守るのは誰か フィリピンの参加型森林政策と地域社会 椙本歩美著 新泉社

 
この本のタイトルを目にして、すぐに『「森を守れ」は森を殺す』と『だれが日本の「森」を殺すのか』 (いずれも拙著)を連想した(^o^)。
とはいえ、内容はまったく違う。これは著者が博士論文として研究したフィリピンの森林政策をまとめたものである。そのためか文章は生硬だが、読み込むと示唆に富んでいる。
 
Photo  
 
目次を掲載しておこう。
 
序章  森林政策をめぐる「対立」を問い直す
第1章 フィリピンの森林政策と地域住民
第2章 森をめぐる現場の制度を捉える視点
第3章 タルラック州M村の暮らし
第4章 森は誰のもの?―参加型森林政策と権利主体
第5章 どの森を守るのか?―参加型森林政策と権利空間
第6章 どうやって森を守るのか?―参加型森林政策と権利行使
終章  森を守るとはどういうことか
 
 
副題で「参加型森林政策」としているのは、「コミュニティに基づく森林管理」を指している。つまり政府でも企業でもない、集落による森林管理をフィリピンは採用しているからだ。
コミュニティ林業、コモンズ(共有地)といった言葉も登場する。日本なら差し詰め入会地か。本来、国家がコミュニティに管理権限を委譲するのは矛盾を感じるのだが、フィリピンはそうせざるを得ない状況に追い詰められたのか……と想像する。 
 
コモンズは、歴史的な森林所有と管理の形態として研究されてきたが、近年、見直しが進み新たな管理体制の取組として注目を集めている手法だろう……しかし、そのまま日本などに当てはめることはできない。なぜなら、成立過程が全然違うからだ。
 
フィリピンではもともと共有地がないままスペインやアメリカの植民地になったから、最初から森林は国のものであった。独立してから政府は長期伐採権などの形で企業などに分け与えた。企業は、森林資源を枯渇するまで伐りすぎた。どうにもならなくなったから国に森を返すようになった。そこで国は、次はコミュニティに任せようとしている……(そこに森林官を派遣する)。
 
ところが日本の場合、歴史的慣習として入会地があったのが明治以降消滅過程をたどる。そして単一の土地所有者(行政・個人・法人)に管理させてきた。ところが最近は、所有権と管理権を分離して、管理を委託する方向に進んでいる。つまりフィリピンと正反対に進んでいるように見える。
 
さて、本書で描かれるフィリピンの事情などの部分は読みとばそう。ただ、決してコミュニティによる森林管理は上手く行っていないのが実情だ。むしろ住民間の分裂を引き起こしているという。
 
なぜなら森林官は、林学教育を通して理論的技術を身につける(これを「形式知」と呼ぶ)が、住民の森林利用は理論的裏付けのない慣習的な「暗黙知」で行動する。この対立があるという。。。そんな小難しいことは読みとばしてしまおう(^^;)。
 
上手く進んだケースもある。いかなる場合かというと、私には森林官の裁量に行き着くように読めた。森林官は、本来求められる政策規定の枠を超えて(つまり遵守しない)、集落の意図に寄り添うケースである。ある意味、法的な縛りを無視して、住民自治に任せる度量というか権限を森林官が持っているのである。(その森林官の出身地が管轄する集落だったりするわけだが。)
 
まあ、詳しい条件や事例は本書に任せるとして、これらの事例には、今後の日本の森林管理にも参考になる点がある。
 
日本でもフォレスター(森林官)の必要性が語られている。似たような資格も作られた。管理主体を市町村に移しているのは、多少コミュニティに近くなったと言えるかもしれない。
しかし、いかなるフォレスターであっても、国(もしくは自治体)の代理人として振る舞えば、コミュニティの意志と齟齬を引き起こす。常に現場の状況に応じて修正していく権限がなくてはならない……。さもないと参加型森林管理になり得ない。
 
森林官はえてして「樹木を愛し人を嫌うフォレスターズ・シンドロームに陥るのだという。それを乗り越えるヒントは、法令不遵守にあるのかもしれない……なんて読むと面白い。
本当に法律を破れというのではないが、それぐらい幅広い権限を持たないと森林官は機能しないのだろう。この点を、今後のフォレスター養成に活かしてもらいたい。
 
難しい論文みたいな本だが、森林管理の主体とかフォレスター制度に興味がある人は読んでおいた方がいいよ。
 

2018/10/17

糞だらけの理由

久しぶりにタナカ山林を訪れる。

 
正確には、しょっちゅう訪れていたが、あんまり中には入っていなかった。やはり夏は暑いし、草ぼうぼうだし。たまに行くと、スズメバチが飛んでいて逃げ出したりとか。。。。
 
それでも、ようやく勇気を持って林内に分け入ったわけだ。
 
案の定、荒れていた。
 
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台風やら大雨、強風で折れる木はばんばん折れている。
が、その分空が広がっていた。
 
とくにナラ枯れなどしていた木が折れている。根元から折れるのではなく、枝がぶっ飛んでいる。多分、枯れて柔軟性がなくなっているからだろう。樹冠がなくなった方が林内は明るくなるのだ。高樹がなくなれば、林床から中小低木も伸びてくるし。
 
なるほど、こうして森は新陳代謝するのだ、と思った次第。
 
で、気になるのは、明るくなったからなのか、やたらイノシシの糞が多くなったこと。
 
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なんか、森全体が獣臭い。やだね、こっちは。

2018/10/16

NHKラジオで話したこと

先週13日のNHKラジオに出演した。

 
と言っても、以前に収録したものを編集して流されたのだが、それが朝6時。もちろん私は寝ておりました津山のホテルで……。
 
それがネットラジオ「らじる★らじる」に収録されて聴けるようになったよう。 
 
具体的には「マイあさラジオ」の“明日の人”というインタビューコーナーで、内容は「林業を持続可能な産業にするために」 。ちょうど1カ月間聴けるらしい。(11月12日まで)
 
約10分にまとめられているから、興味のある方はどうぞ。
 
私が話した内容は3つの事例にまとめられていて、一つは針葉樹材を広葉樹材に化けさせる「ケボニー化木材」。2つ目は、デザインの力で廃パレット材から高級家具をつくる「パレットハウス」。そして3つ目が、木材流通の情報を一元化して山元に多く還元する「伊佐ホームズ」のビジネスモデル。
……あれ、なんだか津山で話したことと重なるぞ(笑)。
 
本当は違法伐採木材の問題なども話したんだけど、ま、ラジオ番組的には希望のもてる話題をチョイスしたのでしょう(^o^)。
 
ちなみに私は、津山でケボニー化木材も視察してきたのである。
写真は、曝露試験中のケボニー化木材。何年も日射や雨に打たれて変形や腐朽しないかどうか試験している現場だ。
 
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2018/10/15

真実は?ヨーロッパの林業現場

秋のテレビドラマで、「僕らは奇跡でできている」(フジテレビ系列)というのが始まっている。

主人公が動物行動学の大学講師という設定なので見だした。まだ第一回目(明日16日火曜日が2回目)であるが、まずまず面白い。
 
その中でイソップ童話の「うさぎとカメ」のエピソードを取り上げていた。これは予告編でもやっていたので見た人もいるだろう。 うさぎとカメが駆けっこの競争をしたが、先に行ったウサギが途中で寝てしまう。遅れたカメは、ウサギを追い越して先にゴールする……。実力があっても怠けたらダメで、コツコツ進むのがよいという教訓を表しているはずなのだが。。。
 
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だが、そこで問われるのだ。カメはなぜウサギに声をかけなかったのか。ウサギは急病で倒れたのかもしれないのに、と。カメは無慈悲で、不作為の犯罪を犯したのではないか。
 
なかなか盲点だ。イソップ童話をいかに解釈するか。
 
 
実は、私のお気に入りのEテレ番組に昔話法廷というのがあった。(不定期放送)
 
これは昔話、たとえば「白雪姫」や「赤頭巾ちゃん」「アリとキリギリス」「かちかち山」「3匹の子豚」……などの法廷劇なのだ。そこでは白雪姫に毒リンゴを食べさせた継母や、オオカミを殺した赤頭巾ちゃんが、その行為がどれほどの犯罪であったか正当であったかを裁かれる。アリは保護責任遺棄だと問われるのだ。
 
そんな無茶な、と思わせながらも、検察と弁護士のやりとりの中から、実は継母の妃は本当に白雪姫を殺そうとしていたのか、むしろ白雪姫こそ隣国の王子と図って、継母を倒して王国の乗っ取りを狙ったのではないか。
赤頭巾ちゃんも、実はおばあさんをオオカミに売って、食べさせたのではないか、その後に証拠隠滅を図ったのではないかという疑惑が浮上するのだ。
 
なかなか意味深(^o^)。
 
さて、長い前振りであったが、私は津山に鍛冶屋を探したり剥製を見に行ったわけではない。少しだけ、仕事もした(笑)。
 
また、多くの人から興味深い話を聞いた。
 
その中でも印象に残ったものは、某森林組合の人から聞いたオーストリアのフォレスターの話であった。
 
招聘したオーストリアのフォレスターが日本の林業現場を見て言ったこと。
・林道を引きすぎている。こんなに道を入れたら山が壊れるじゃないか。
・排水路のパイプは詰まるもの。掃除も、重機を使わず手でするものだ。
・小規模な山に道を入れたり伐採するため集約する作業は何年もかかるもの。1年でできたという日本は奇跡だ。
・林業は機械を入れて大型化しない方がよい。 
 
 
そのほか、こんな話も出た。
・「里山資本主義」とかで持ち上げられたオーストリアのギュッシングの町。バイオマス発電で町おこしを成功させたことになっているが、実は財政破綻している。バイオマスは失敗したとして見直しが進んでいる。
・ドイツのフォレスターが、日本の古い林業地を訪ねて択伐の仕方を勉強していた。ドイツでは上手く行っていないから。 
 
さて、日本で語られているヨーロッパの林業やバイオマス事情の真の姿は何か。本当にモデルになるのか。まあ、私もドイツやスイスの森林について、一般に語られるのとは別の姿について耳にすることがあるが……。
 
判決を下すのはあなたですv(^0^)。

2018/10/14

津山に絶滅危惧種の宝庫あり!

津山市の鍛冶屋を絶滅危惧扱いしてしまったが、実は正真正銘の絶滅危惧種の宝庫が津山市にはある。

 
つやま自然のふしぎ館だ。実は以前は津山科学教育博物館という大層な名だったのだが、改名したらしい。私は大昔に訪れて感激した。今回は鍛冶屋も訪ねられなかったことだし、再会のつもりで訪れた。
 
いやはや、すごいよ、ここは。この館は森本慶三というキリスト教者が世界から集めた主に動物・昆虫の標本と剥製、模型、さらに化石に岩石、骨格を元につくられたものなのだが、展示資料は約2万点(プラス4万点・整理中とか)。そのうち剥製は何千点になるのか。 
 
ともかく開館は昭和38年だが、30数年かけて世界中から寄贈などを受けてつくったらしく、今では手に入らない絶滅種・絶滅危惧種の剥製まで大量にあるのだ。
 
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説明文のほとんどが手書きなのが味がある。経年劣化が激しく剥製としては残念な部分もあるのだが、古色蒼然とした展示室の雰囲気がよい。昔の大学研究室を思い出す(笑)。
 
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学術的というよりは、マッドサイエンティストの館(^^;)\(-_-メ;)を想像する。
 
 
津山市は、幕末から明治にかけて数々の洋学者を輩出している。このふしぎ館も単なる展示施設に終わらせないで、活かせないだろうか。

2018/10/13

津山の焼きすぎ景観

昨日は、津山の鍛冶屋を訪ねた(けど、絶滅寸前だった……)ことを紹介したが、鍛冶屋があるのは市街の城東界隈と呼ばれる伝統的建造物保存地区。

実際、古い町家がまだ多く残れているのだが、同時に歯抜けのごとく空間も多かった。おそらく何らかの事情で建物を撤去したのだろう。そこが駐車場などになっているのだが……。
 
実は、そのおかげで面白いものを多く目にした。
 
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残された建物の壁面の多くが焼きすぎ、いや火事ではなく「焼杉」で覆われていたことだ。
 
焼杉とは、木板の耐久性を増すため、杉板の表面を焼き焦がすことで炭素層を作り出したものだ。外壁の板や土中に埋まる板などに用いられてきた。真っ黒な焼けた板は、触ると手に炭がつくし、やわらかい。しかしそれが耐腐朽性を強め、また炎にも強いから火事の防止にも役立つという。こんな真っ黒な壁にする仕上げ方は世界的にも珍しいようだ。 
 
昔ながらの技術だが、驚いたのは滋賀県より西の地域にしか使用されるなかったという。東日本の人はなじみがないかもしれない。
 
ともあれ、津山の城東地区には、この焼杉がたくさん見られるのだ。それが壮観。真っ黒な外観が独特の雰囲気を醸しだす。単に黒の塗料で塗られた外観ではなく、立体的で柔らかさを感じる焼杉は根強い魅力がある。
 
伝統的な町家を見学するのもよいが、焼杉の風景の見学にも楽しめるのではないか……と思った次第。
 
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正直、伝統的町家とかは、あちこちの小京都と呼ばれる地方都市にある。もちろん京都・奈良にもたっぷり残っている。そことの差別化というか、それそれの特徴を出すのに使えないか。

2018/10/12

鍛冶屋は絶滅危惧種

鍛冶屋は絶滅危惧種

 
岡山県北部の津山に来ている。
実はこの街、20年くらい前に幾度も通っていて、当時は町中を歩いて詳しかった。特に伝統的な古い町並みが残る城東地区はよく歩き、鍛冶屋に通っていた。当時は何軒あったか覚えていない、しかし多くの鍛冶屋のある町だったのだ。

そして私は訪ねた鍛冶屋で包丁を買ったのだった。それは今も使っている。毎度研いでいるが、そろそろ刃先が鈍ってきた。

今回の久しぶりの訪問では、新たな包丁を購入しようと思っていた。
事前に調べたところ、まだ2軒残っているはずだ。最盛期は26軒あったらしい。

で、訪ねたわけだが……見つけたのは1件のみ。それも閉まっている。近所の人に尋ねたところ、やっているはずだが、90歳を越えている(@_@)という。

あかん。絶滅危惧種だ。器だけの伝統的建造物を保存しても、中身がなくなりつつあった。。

2018/10/11

ナラシカ急増の謎

先日、奈良のシカの角きり行事を観覧してきた。

行われたのは奈良の鹿愛護会の鹿苑という角きりのためのような場所なのだが……思った以上に勇壮で、観客向けにブラッシュアップされていて面白かった。

江戸時代などは、こうした施設ではなく、街角でやっていたという。お金持ちは、自分の家の前でやってもらうためにお金をばらまいたとかいうが(そして桟敷席を設けて、縁者と見学して楽しんだ)、気持ちがわかるような気がした。 現代でも町中でもやってほしい(^o^)。
 
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オスジカを3頭離して、走らせてから角に縄をかけて押さえ込むのである。 
 
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ちゃんとシカを寝かせる場所には、ゴザを敷いて、枕まで用意している。そしてノコギリで切るわけだが……。
 
実は、気になったことがある。この角きり行事ではない。解説の中で、今年のナラシカ頭数調査では、奈良公園のシカは総数1360頭だったというのだ。メスが767頭、オスが355頭。性別不明の子シカは、238頭。(今年7月16日現在)
 
これは公園内だけで、山の中、原始林の中、あるいは調査中は繁華街に出歩いていたシカはカウントされていないわけだが、例年と比べるとかなり多い。
 
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昨年が1226頭なのだから100頭以上も増えたことになる。とくにオスが増えている。
 
問題は、この理由だ。単に昨年は森に隠れていたシカが公園に出てきてカウントされた、というのならよいが、ちょっと怪しい。かといって自然増もおかしい。
 
となると、外部から入ってきた可能性があるのだ。オスジカならテリトリーを離れて放浪するからあり得る。
 
奈良公園に行ったら、銃に撃たれないよ、鹿せんべいをもらえるよ、という甘言に引っかかったシカがいるのかどうか。
おそらく、周辺地域の山でもシカが増えすぎて、密度を増したから押し出されるように奈良公園に入ってきたのではないか。いわば都会に出てきた田舎シカ。最初こそおどおどしていたが、先輩たちを見習って、お辞儀したり愛想を振る舞うと鹿せんべいもらえることを知って居ついたのかもしれない。人を恐れなくてよいことも学習したのかも。
 
だが、甘い。奈良公園はそんなにシカの天国ではないのだ。何よりも食料不足。これまでも限界だったのに、100頭も増えたら飢餓が起きる可能性だってある。交通事故も多発するかもしれない。
 
若草山のススキがほとんどなくなった件も含めて、異常事態になっている可能性を想定すべきだろう。
 
 

2018/10/10

ハートの樟脳香

今日は、吉野の山の中、下市町の某神社で行われた伐採を見学。

 
それは台風で倒れたり倒れそうな木の処理なのだが、そのうちの1本がクスノキだった。 
二股になっていた片方の幹を落とす。断面を見ると、そこだけで5,60年はある。密な年輪があり、樹液がにじむ。切り口から見事までの樟脳の香りが漂う。 ただ一方向に割れが入って腐れが進んでいた。
 
で、私はお土産?に、その断面を薄くカットしてもらう。
 
それが、これ。
 
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おおお、ハート形になっているではないか
 
これを自分の車に積み込んだら、ものすごい香りが充満(笑)。消臭効果抜群だ。虫も入ってこないだろう。1週間やそこらは楽しめそうだ。
 
しかし、これなら倒した幹いハート形の板をいっぱい作って「道の駅」にでも置けば、わりと売れるんじゃないか。ハート形で人気を呼ぶし、樟脳の香りで実用的だし。なんか効能とか由来を書いておけば、1枚500円ならすぐ捌けるだろう。1000円でも売れるかな。そのままだとチップか燃料にされる木に大きな付加価値が付く。 
 
 
ところで、こちらが終了してから黒滝村の道の駅に寄って昼食を食べた。コンビニ形式なのだが、作りたてが出る。私は鳥天丼を頼んだのだが……。
 
容器は弁当扱いなのでプラスチック製なのは残念だが、箸を見よ。
 
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吉野杉の天削げの割り箸だぞ!1センチ程度の箸の幅に、年輪を数えたら20を超えていた……。さすが割り箸の聖地だ。コンビニ弁当にこんな箸が付いてくるなんて。
 
弁当は温かくて美味しかったが、この割り箸効果もあるんじゃないか。
ハートの樟脳と天削げ箸で満足度の高い取材であった\(^o^)/。

2018/10/09

木材自給率50%をめざす計算方法

林野庁が平成29年木材需給表を発表していて、ようは昨年(2017年)に、木材自給率が36,1%に達したことを発表している。昨年から1,3%アップだ。 

 
 2017
 
 
毎年のことなんで、今年は無視しようかと思ったのだが、思えば2025年に木材自給率50%を目指しているのだった。ということは、あと8年で14%近く上げねばならないということだ。
あえて50%に達するにはどうすればよいか考えてみた。
 
少なくても毎年1%の上昇では足りない。1,8%アップは欲しいところだ。すると今年の上昇率でも足りないのだ。 
 
今年の中身を見ると、木材消費量がここ数年少しずつ上がっている。今年は4,7%。
しかし中身を見ると、用材の伸びは2,3%であるものの、燃料材が34,3%も増加したことが大きく効いている。
供給は、国内・輸入とも伸びているのだが、自給率に関しては国内が増えないといけない。
国産材は8,8%増加。内容は用材が3,7%増加、燃料材が35,4%増加
つまり需要も供給も、燃料材に圧倒的に頼っていることがわかる。 
 
2017年の木材総需要量は、8172万2000立方メートル。これは今後大きく伸びることはないだろう。とりあえず25年が8000万立方メートル程度だとしても、自給率を半分にするには4000万立方メートルを国内で生産しなければならない。
 
今年の国内生産量は、2952万8000立方メートル。つまり、今後8年間で1000万立方メートル以上増産しなければならない計算だ。
1000万立方メートルの木材増産のためには、どれほどの森を伐らねばならないか。これは森林蓄積がどれぐらいに設定するかによってガラリと変わるのだが、(林齢40年)1ヘクタール300立方メートルぐらいにしておくと、毎年3万4000ヘクタールの森を皆伐して増産すればよいか。もちろん間伐でも木材生産はするし、林齢もいろいろだから全然目安にならないのだが、なかなか目標達成は大変であることはわかる。 
 
 
もう一つ方法がある。そもそも需要を増やさなければよい。そうすれば供給量が少なくても50%に達する。
だったら、いっそ燃料材を計算から外せばいい(笑)。いや、数年前まで計算外だったのだから別に斬新なことではない。
 
製材の自給率は、すでに約48%だし、合板は約38%。足を引っ張っているのは16%しかないパルプ・チップだ。合板は伸びしろがあるし、燃料にしている木材を製紙チップに回せばグンと伸びる。用材需要の伸びは2,3%。国産用材供給は3,7%。用材だけで計算した方が木材自給率は高くなる(笑)。計算外とするバイオマス発電燃料は全部輸入に頼る。
 
いや、そもそも木材自給率は製材用材だけで計算することにしたらよい。だったら、あと2%底上げするのは簡単だろう。
計算方法を変えるのは、統計のいつもの手だ。木材自給率なんて、マスコミもたいして興味を示さないからこっそりやったら気づかれない\(^o^)/。私も口をつぐもう(^^;)。
 
 

2018/10/08

楠木の根元

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今日は、ちょっと某寺に出かけていたのだが、その境内にあったクスノキの大木。……の根元。よく見ると、小さな芽がいっぱい吹き出している。
 
こういうのを萌芽というのだろうか。別に上部の幹が伐られたわけでもないのだが。
よく観察しなかったが、もしかしてどこかに台風で枝が折れたとか何かあったのかもしれない。それが萌芽発生のシグナルとなったとか?
 
まあ、樹木の生理学的なことはわからないが、大木に小さな芽がモコモコ出ているのが、何か可愛いのであった(^o^)。
 
 

2018/10/07

若草山のススキ危機

若草山に登ってきた。若草山はこの季節、ススキに覆われるはずなのに、すっかり減ってしまったと聞いたから(ツイッター情報)からである。

 
ま、ちょうど「鹿の角きり」もやっているので、こちらも見ようかと(^_^) 。
実は、角きりをちゃんと見学したことがない。観光イベントぽくて、あまり興味を感じなかったからだ。ただ昨年は「ナラシカ本」(『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』)を執筆しようと思っていたので、これは見ておかねば、と思っていたのだが、この時期にノルウェーに行くことになって無理となった。遅ればせながら、今年は見ておこうかと。 
 
いや、なかなかよかったよ。まず儀式があって、その後は実況解説付き(^_^) 。迫力もある。
 
とまあ、角きりの話はまたの機会にして、今はススキなのである。 
 
 
若草山にお金を払って登るのも何十年ぶりか。子供の頃以降はしていない気がする。
それでも登りましたよ。
 
若草山を簡単に説明すると、春日山原始林の隣にあって山焼きをするので樹木はなく芝生に覆われている。標高342メートル。一番下が芝生状態(と言っても急斜面)で、ここが観光客がもっとも多いところ。その上にフェンスに囲まれた一角があって、その上が2段目。さらに谷などもあって、山頂部分が3段目となる。3つの尾根があるので三笠山というのが正式名称だ。
 
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1段目の芝生からフェンス方向。
 
さて、芝生とともにススキが全山を覆っていて、山焼きの後はそれが生長してシカの餌にもなる……はずなのだが、ないのである。
 
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これは2段目から山頂方向を見たところ。ほとんどススキは目につかない。もっとも足元にはわずかに生えている。ただ……
 
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やはりシカに食われたようだ。
 
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こちらは1段目のフェンスの中。かろうじてススキが繁っている。これでも、以前より減ったということだが。実はナンキンハゼも想像以上に繁茂していた。ススキに置き換わったみたい。ナンキンハゼは、今のところ背の低いブッシュ程度だが、実体は高樹だから、これが生長しだしたらヤバいね。山焼きにも負けないようだし。
 
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このフェンスも隙間から侵入されるみたいで、幾重にも補強されている。1頭でも中に入ると、かなりの面積を食い荒らしてしまうだろう。 
 
正確な原因はわからないが、やはりススキが減ったのはシカの食害ではなかろうか。そういや森の中で落ち葉を食っているナラシカも見かけた。飢えているのか。
 
2段目もフェンスを設置してススキの回復を図らねばならないかもしれないが、そうするとシカの餌場が失われる。ならば1段目フェンスを開放して年ごとに切り換えて行くか。
ナンキンハゼ対策も必要だろうし、なかなか難問である。
 
世界遺産の一部(バッファーゾーン)でもあるので、よりやっかいだ。 

2018/10/06

Yahoo!ニュース「株価を急騰させたバカマツタケ…」書いた裏側

Yahoo!ニュースに「株価を急騰させたバカマツタケ栽培成功は、常識破りの大発明だ 」を執筆しました。

 
実は、別の記事をちゃんと取材して本格的に執筆する予定があったのだが、なんと取材先にドタキャン。悔し紛れになんか別のを書こうと思っていた。たまたまキノコについて書きませんか、という提案もあって、私は前から温めていた奈良県森林技術センターが培養に成功したバカマツタケについて書こうと思いついた。
が、なんとそこへ飛び込んできたのが多木化学の菌床バカマツタケなのである。
 
こりゃ凄い! というわけで一気に書いたのがこれ。バカマツタケをマツタケの代用と思ってはいけない。もっとバックに大きな意義が隠されている。。。
 
ちなみに写真を借りようと多木化学に電話しようと思ったら土曜日だった…。仕方なしにマツタケの写真を使ったが、これはバカマツタケの代用としてのマツタケ写真である(^_^) 。
 
なお、単にマツタケそっくりの味を楽しめるキノコの培養に成功したという話ではない。
何より菌床栽培であることに意味がある。それは実用化へも大きな成果なのだが、菌根菌のキノコを菌床で行うこと自体が、菌類学上の常識を覆す出来事なのだ。これこそ、本記事の隠れたメインテーマなのだよ。
 
なお菌根菌であるホンシメジも培養を一応は成功させているが、ホンシメジには腐生菌的な性質も少し持っているからだ。完全な菌根菌を生きている植物ではなく菌床で栽培できたというのは驚きだ。
 
もっとも、本当に毎回発生するのか、ちょっと心配なのだが。実用化まで3年としているが、ちゃんと技術を確立してね。それが広がっていくと、5年後ぐらいにバカマツタケが当たり前に店頭に並ぶようになるかもしれない。
 

2018/10/05

北海道平取町の森の伐り方

北海道で、また震度5弱の地震があったという。9月の大地震の余震とのことだが、まだまだ揺れ続けている。

 
ところで、地震のあった北海道南部、厚真町のグーグルマップを見ていて、衛星写真に切り換えて気づいた。森にヘンな模様?がある。 
 
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これは、なんじゃい?
 
ようは伐採したのだろうけど、列状というか帯状間伐だろうか。
どうも本土では見ないような伐り方。
周辺はゴルフ場のようだが、それと関係あるのかないのか。
 
つまらんようだけど、気になったのである。
 
ちなみに、ほかにも農地なのか林地なのか、妙に幾何学的な伐り方をしているところが多いのは北海道特有だろうか。
 

2018/10/04

森林減少の原因は?

世界の森林減少の原因を分類した研究結果が、サイエンス に発表されていた。 
森林モニタリング技術を利用して、2001年~2015年の15年間の変化の調査によって原因を調べたようだ。
 
私流に思い切り簡単にまとめると
 
森林減少の27%は農業。永続的な商品作物栽培への転換だ(年5万平方キロメートル)。これは自給自足的な農業、焼畑のような移転型の農業は含めないという意味か。アブラヤシなどが頭に浮かぶが、小麦やトウモロコシや大豆なども大規模な商品作物だろう。
 
林業で26%
野火(山火事)が23%
焼き畑は24%。
都市化(居住地化?)によるのは1%未満
 
結局は、農業と林業で過半を占める原因ということになる。焼畑も農業ではあるし、野火も人為的に火をつけるケースも多い。つまり大半が人間のしわざということになる。
一般人が都市の開発で森林が減っていくように思いがちだが、たいした面積ではなさそうだ。
 
ただ農地はたしかに森林には戻さない(焼畑以外)が、林業は跡地に植林した場合は含めていないのか。焼畑と野火も、その後放置したら草木が生えて森林にもどるはずだ。繰り返し火入れをするとダメだが。
ほか気象原因(いわゆる砂漠化など)は含まれないのだろうか。
 
この当たりの説明がないと、全体像をつかみにくい。
 
それに、これは「森林減少の原因」だけど、森林化の起きている地域もあるわけで、その原因も知りたいところだ。
 
ま、参考資料ということで。

2018/10/03

豚コレラでイノシシにもパンデミック?

岐阜県で見つかった野生イノシシから豚コレラの菌が次々と確認された。
 
遺伝子検査の結果、いずれも豚コレラに感染していたと発表した。どうやら10キロ圏内の養豚場で発生した豚コレラに感染したらしい。感染を確認したイノシシは、2日に見つかったもので計11頭になっている。
日本で豚コレラが発生するのは26年ぶりだという。 
 
豚コレラに感染したブタやイノシシは、数日で死ぬ。人間に感染して発病することはないが、感染力は非常に強く、人間が感染した豚肉を食った場合、その排泄物を食ったブタが感染するほどだという。口蹄疫と並ぶ畜産の敵だろう。
 
なお、日本の豚コレラとは菌の違うアフリカ豚コレラも広がっている。1921年にケニヤで発見され、アフリカ以南で流行を繰り返す、いわば風土病だった。
 
そんな豚コレラが、今年になって世界中で大流行している。とうとうアフリカを出て、ヨーロッパ、そして中国で拡大しているという。……中国ではすでに8万頭のブタを処分した。と、これは畜産業界の大問題なのだが。
 
豚コレラは、一般にブタの病気と思われているが、野生のイノシシにも移るわけだ。となると、野生動物にどんなインパクトを与えるだろうか。
国際獣疫事務局に報告された豚や野生のイノシシの感染は世界で36万1000頭を超え、2018年だけで11万9000頭が死んだという。
 
 
おそらく人間が運んだのだろう。ブタ界にパンデミック(疫病の爆発的流行)が起こらなければよいが。これまで病原菌がいなかった世界に出たとなると、いわば外来種のように広がる可能性がある。
日本で発生したのはアフリカ豚コレラと違うとはいうものの、養豚業界にとって極めて深刻な状況だ。
 
……ここで不遜なことを考えないだろうか。ブタだけでなく野生イノシシにも広がると、イノシシが激減するかもしれない。獣害対策的には僥倖になるかもしれない、と。
 
もちろん、養豚には厳しくなるだろう。一切、外部と接触させない方式にしなければならなくなる。コストが増し、廃業する人も出るだろうし、豚肉が高額になるかもしれない。食えなくなる可能性だってなくはない。
そして、猪肉はもっと食えなくなるかもしれない。養豚のように隔離できず、どこまで感染するやら。
 
一方でイノシシが減少すれば、田畑などの被害が減るかもしれない。シカ害はまだ残るが。こんなことを想像するのは、やはり危険思想だろうか。
 
これが、自然界でまま起きる普通の豚コレラの流行に終わるのか、人為がもたらした豚猪界のパンデミックになるのか。野生のイノシシは密集していないから感染が一気に広がる心配は薄いと思うが、菌が山野に残れば、どうなることやら。
 

2018/10/02

月刊大和路なららに『鹿と日本人』

奈良の地域誌「月刊大和路ならら」10月号に『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』の紹介が掲載された。

 
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今月号は正倉院展特集。毎年全国からこの展覧会のために人が集まる大イベントだ。いつも混んでいるが、今年は久々に足を運ぼうかな。この記事に目を通すだけでもたいしたものだが。
 
さて、この雑誌の書評欄ではなく、「なら旅いんふぉ」というページだった。
 
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なかなか詳しく紹介していただいている。ちょっと笑ったのは、中程にこんな記述があること。 
 
 まず語られるのは、奈良公園ではなじみ深い「鹿せんべい」の歴史や、ナラシカ(本書における天然記念物「奈良の鹿」の表記)の現代における“伝説”の数々。
 
やっぱりナラシカという言葉は、一般的ではないか!  まあ、当たり前だが。
しかし「奈良の鹿」「奈良のシカ」「奈良公園のシカ」……という言い方は、いかにもまどろっこしくて、ついナラシカと略すのが私の中では普通になっていたのだが……。全国ではともかく奈良県人ではフツーになってほしい(笑)。
 
 
ところで、福島県の郡山市で拙著を見つけて購入したお知らせも届きました。こちらは動物欄のようである。
 
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感謝である。感謝。ともに感謝。

2018/10/01

「狩猟のいろは」で「浅き夢で酔えず」

先週末、奈良で「狩猟のいろは」というイベントが奈良女子大学で開かれた。

 
奈良県の主催だが、奈良女で開かれたことからもわかるとおり、学生も含めた狩猟への勧誘なのである。狩猟免許取得相談会も開かれる。実際、徳島大学や三重大学の学生サークルらも参加している。奈良女子大にもハンティングサークルがあるそうだ。
 
そこに私も少しだけ顔を出してきた。残念ながら時間の関係で最後まではいられなかったのだが……。
会場ではハンターの講演や罠、銃の展示、そしてジビエ試食もできるようになっている。私は、ここで昼食を済ませようという魂胆もあった(^_^) 。
 
 
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関心を示す女性も来訪していた。ジビエ料理は猪肉と鹿肉の両方。
 
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くくり罠の展示。左が「非法定猟具」であり、本来使うのは右の方。
 
どこが違うか。ようは締めつけるワイヤーにストッパーがあるかないか、なのだ。なければ罠に足をはさまれた獲物は大暴れして、逆にワイヤーがより締めつけることになり、足を引きちぎることにもなりかねない。獲物が足を引きちぎって逃げ出せば手負いにする問題もあるが、何よりアニマルウェルフェア(動物福祉)の思想からのようだ。たとえ最終的に殺すにしろ、残酷にしないためである。 
 
なおハンターの講演では、ハンターへの参入を促すはずが、甘くないことを示す面もあった。何のために狩猟をするのか。この動機をしっかり自覚しないと厳しいだろうな、と思わせる。
 
県が催したのは、おそらく獣害対策の一環なのだろう。奈良県では、農務と林務の対策担当が寄って「鳥獣対策係」を作っている。だから展示している罠や銃も、森林整備課のラベルが張っていた。
 
ただ、ハンターを増やしたら有害駆除が進むというほど簡単でもない。ジビエを普及させたら駆除がやりやすくなるわけでもない。
「奈良のシカ」のお膝元であるだけに、理論武装をしっかりしておかないと、迷いが生じるんじゃないか。
 
狩猟の「いろは」を伝えるイベントのはずだったが、私は「あさきゆめみし ゑひもせすん」(浅き夢見じ 酔ひもせず)まで考えてしまったのであった。。。

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