若草山に登ってきた。若草山はこの季節、ススキに覆われるはずなのに、すっかり減ってしまったと聞いたから(ツイッター情報)からである。
ま、ちょうど「鹿の角きり」もやっているので、こちらも見ようかと(^_^) 。
実は、角きりをちゃんと見学したことがない。観光イベントぽくて、あまり興味を感じなかったからだ。ただ昨年は「ナラシカ本」(『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』)を執筆しようと思っていたので、これは見ておかねば、と思っていたのだが、この時期にノルウェーに行くことになって無理となった。遅ればせながら、今年は見ておこうかと。
いや、なかなかよかったよ。まず儀式があって、その後は実況解説付き(^_^) 。迫力もある。
とまあ、角きりの話はまたの機会にして、今はススキなのである。
若草山にお金を払って登るのも何十年ぶりか。子供の頃以降はしていない気がする。
それでも登りましたよ。
若草山を簡単に説明すると、春日山原始林の隣にあって山焼きをするので樹木はなく芝生に覆われている。標高342メートル。一番下が芝生状態(と言っても急斜面)で、ここが観光客がもっとも多いところ。その上にフェンスに囲まれた一角があって、その上が2段目。さらに谷などもあって、山頂部分が3段目となる。3つの尾根があるので三笠山というのが正式名称だ。
1段目の芝生からフェンス方向。
さて、芝生とともにススキが全山を覆っていて、山焼きの後はそれが生長してシカの餌にもなる……はずなのだが、ないのである。
これは2段目から山頂方向を見たところ。ほとんどススキは目につかない。もっとも足元にはわずかに生えている。ただ……
やはりシカに食われたようだ。
こちらは1段目のフェンスの中。かろうじてススキが繁っている。これでも、以前より減ったということだが。実はナンキンハゼも想像以上に繁茂していた。ススキに置き換わったみたい。ナンキンハゼは、今のところ背の低いブッシュ程度だが、実体は高樹だから、これが生長しだしたらヤバいね。山焼きにも負けないようだし。
このフェンスも隙間から侵入されるみたいで、幾重にも補強されている。1頭でも中に入ると、かなりの面積を食い荒らしてしまうだろう。
正確な原因はわからないが、やはりススキが減ったのはシカの食害ではなかろうか。そういや森の中で落ち葉を食っているナラシカも見かけた。飢えているのか。
2段目もフェンスを設置してススキの回復を図らねばならないかもしれないが、そうするとシカの餌場が失われる。ならば1段目フェンスを開放して年ごとに切り換えて行くか。
ナンキンハゼ対策も必要だろうし、なかなか難問である。
世界遺産の一部(バッファーゾーン)でもあるので、よりやっかいだ。
こんばんは。
早速見に行っていただきありがとうございます。
ススキの減少についてはやはり食害ですかね? 合わせて、穂が出ない株が結構ある事も気になります。
いずれにせよ、特にこの2年ほどはススキの衰退が著しいので、県の方できちんと調べて欲しいです(下手すれば山焼きにも影響が出てしまう・・・)。
ナンキンハゼは毎年11月に伐採しているので大きく成長することは無いんでしょうが、根こそぎ刈るわけではないので、エリアは年々拡大していますね。。。
一重目のフェンスは数年前に、最後の写真にあるような補強をして暫くは良かったのですが、こちらも去年あたりから柵内への鹿の侵入が多くなってきました。多分どこかに穴が出来たのでしょう。
ここ数年、若草山の植生があらぬ方向へ進んでいる気がしてなりません。今後10年、20年、さらにもっと先のことを考えると、ほんと頭の痛い問題ですね。
長文失礼いたしました。
投稿: ぽぷぞう | 2018/10/10 19:59
私が見たススキの株には、みんな食痕がありました。もしかしたら毎年根元まで食べられて芽が出なくなった株もあるかもしれませんね。
フェンスをしても中に入ってしまうシカがいるというのは、なかなか重症です。
あと、確証はないのですが、噂として「山焼き」の際にあまりよく燃えないと灯油をまいて火を入れているという話を聞いたことがあります。灯油をまいたためにススキが生えなくなった、ということはないかと心配です。
ちゃんと専門家に調査をして対策を立ててもらいたいものです。奈良公園室! 頑張って。
投稿: 田中淳夫 | 2018/10/11 22:54