無料ブログはココログ

森と林業と動物の本

« 桶樽日本酒フォーラムのミス | トップページ | Yahoo!ニュース「…油ヤシの幹から生まれる新素材は…」書いた理由 »

2018/10/29

ジャパニーズウイスキーの熟成期間

ミスの次は酒だ……というわけではないが、久しぶりに行きつけのバーへ。

週末なのに雨が降っていたからか客は少なく、私が入ってすぐに彼らも席を立つ。私は疫病神か(泣)。
 
ともあれ、ゆっくりとバーにぶら下がることができた。 実はコンサート帰りで、なかなか幸福な気分に浸っていたのだ。 
 
Photo_2
 
カウンターの真正面。このボトル群を眺めつつ、その中身を想像するのが好きなのだが、ふと気づいたのは、ジャパニーズウイスキーが増えていること。
それなりに棚にも流行はあって、かつてはバーボンが多かったりスコッチが目立ったりしたのだが、今はジャパニーズウイスキーがキテる。
 
バーテンダーと話しても、次々と各地に新たな醸造所が立ち上がっているようだ。そして品質がなかなかよいのである。世界的な賞も毎年取っているし、世界的ブームと言っても過言ではないだろう。その代わり、原酒のストックがヤバいらしい……。
 
若い頃、酒蔵の取材をよくやっていて、それは日本酒だけでなく洋酒やビールメーカーも含むのだが、ジャパニーズウイスキーの評判は芳しくなかった。実際、あの醸造所にはサツマイモを積んだトラックが出入りしていたという噂もあって、イモをどうするのかと思えばカラメルを作るのだそうである。それでウイスキーの色を付けているのだ、とまことしやかに語られていたこともある。
 
 
が、現在のブームはそんなまがい物ではなく、数十年の精進が稔ったのだろう。
そこで面白いのは、日本の風土はウイスキーが熟成しやすいとのこと。原酒は最低5年は樽で熟成させないといけないし、シングルモルトを売り物にするなら、さらに長い年月がかかる。
ところが、日本の湿潤温暖な風土は、スコットランドを始めとするヨーロッパより熟成が早く進むのだそう。その分、「天使の分け前」も多くて、早く蒸発して減ってしまうのだが、3年5年の若い原酒でも、意外とヨーロッパ産に対抗できる……らしい。
 
そうはいっても、将来売れるかどうかわからないまま、5年先10年先の売れ行きを読んで生産しなけれはならないのは大変である。その間の経営は、副業も含めて支えねばならない。だがジャパニーズウイスキーメーカーはそれをやり切って、今の興隆があるわけだ。
 
……ふと、日本の樹木も熟成というか生長は早いのではないか、と思いついた。ヨーロッパより短い伐期がそれを物語っている。 
ただ5年10年先を読むどころか、目先の利益に走っているのだから、いつまでたってもジャパニーズウッドにブームは来ないわな。と酔った頭で考えて苦笑したのであった。
 

« 桶樽日本酒フォーラムのミス | トップページ | Yahoo!ニュース「…油ヤシの幹から生まれる新素材は…」書いた理由 »

森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ジャパニーズウイスキーの熟成期間:

« 桶樽日本酒フォーラムのミス | トップページ | Yahoo!ニュース「…油ヤシの幹から生まれる新素材は…」書いた理由 »

February 2025
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28  

森と筆者の関連リンク先

  • Yahoo!ニュース エキスパート
    Yahoo!ニュースに執筆した記事一覧。テーマは森林、林業、野生動物……自然科学に第一次産業など。速報性や時事性より、長く読まれることを期待している。
  • Wedge ONLINE執筆記事
    WedgeおよびWedge on lineに執筆した記事一覧。扱うテーマはYahoo!ニュースより幅広く、森林、林業、野生動物、地域おこし……なんだ、変わらんか。
  • 林業ニュース
    日々、森林・林業関係のニュースがずらり。
  • 森林ジャーナリストの裏ブログ
    本ブログの前身。裏ブログとして、どーでもよい話題が満載(^o^)
  • 森林ジャーナリストの仕事館
    田中淳夫の公式ホームページ。著作紹介のほか、エッセイ、日記、幻の記事、著作も掲載。