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2018/10/21

木造ビルからCLTの将来を考える

東京・蒲田に木造ビル が完成したというニュースを見た。
 
そこでちょっと確認すると、主構造(3~6階)を木造軸組工法、地下1階を鉄筋コンクリート造、1~2階を鉄骨造とした、木造鉄筋コンクリート混合耐火建築物であった。
もともと4階建て事務所ビルの建替えで6階建てにするが、既存建物より軽くなるように設計し、コンクリート杭も再利用しているという。
 
どんな構造かは、リンク先のモデル写真を見てほしいが、木造の軸組工法であることに間違いない。つまりフツー?の柱と梁の組み合わせ。
 
一方で、今年の夏に私が紹介した国分寺のフレーバーライフ社ビルは、大規模集成材だった。
 
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ほかにも幾つかあるのだが、最近次々と誕生する木造ビルの工法はまちまちである。
 
そこで気になるのか、CLTを使った木造ビル。
 
ちょうど先日の森林総研講演会で手に入れたのが、「季刊森林総研」という冊子だが、その特集が「木材利用の伝統と先端」で、そこにも木造ビルを紹介している。
 
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こちらは、木造ビルといえばCLTを使うものという前提のような記事(笑)。
 
何か、CLTを使わずに木造ビルは造れないかのような印象を与える。しかし、実際はCLT以外の素材による積層ビルは結構多いのではないか。そして、CLTの使い道も、ビルのような建物に使うとは限らないように思う。
 
実際、日本で建てられたCLT建築物を見ても、必ずしも積層建築ではない。5階建てとかいいつつも、実は1階はコンクリートで木造部分は4階分だ。それも鉄骨の軸組でCLTは壁面だけとか、床面だけ、というケースが多い。
それはヨーロッパでも同じで、全面的にCLTだけの建築物は少ない模様だ。
 
そこで考えてみた。CLTの将来は、どんな使い道になるのか
 
まずCLTによる高層ビルは期待できないだろう。そもそも6階建て以上の高層建築の割合は2割程度であるし、耐火問題もある。そこにCLTを使うことは技術的には可能でもあまりメリットがない。通常の鉄骨・鉄筋コンクリートでも十分。
 
一方で1~2階建ては、CLTを使わなくても無垢の木材で十分。住宅もそうなのだから。
 
となると3~4階建てである。ここならCLTの有利さを活かせるのではないか。
このクラスなら耐火基準も緩くて、燃えしろ設計で間に合う。それも壁や床など部分的な建材になるのではないか。もっとも、CLTの表面は汚い(^^;)ので、化粧材を張る必要があるように思う。その化粧材で燃えしろを得るのも手だろう。
 
さて、それが市場としてどれほどの量が潜在的に存在するのかは、私の専門外だが、そんなに多くないことが想像できる。そこに価格も響く。十分に安くしないと、CLTを使う価値がない。4階建て5階建ても、技術的には集成材や無垢材でも建てられるのだから。これが美しい建材なら、採算度外視で使いたい!という設計者も出るだろうが。。。
 
CLTの研究者の記事を読んでいると、いかに優れた素材だとばかり強調していて、市場とか価格とかを全然考えていない。これでは普及しないわな、と思ってしまう。
 
いっそ、いかに安上がりなCLTの作り方を研究をした方がいいのではないか。厚さの違うラミナでもかまわないとか、分厚いラミナで張り合わせる枚数を減らすとか、接着剤を使わないとか。。性能をどこまで落としても実用的かも検討すべきだ。必ずしも高品質は必要ない。
 
これ、CLTの親身になって考えているのですよ。

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コメント

こんばんは。CLTの価格を下げるとなると、原材料である原木が安く買い叩かれ、山元への利益の還元が難しくなり、さらに森林への感心度が下がり森林が荒れ果ててしまいます。大径材が少なくなって築城が難しくなった時に合わせ柱工法が用いられませんでしたかね?力を合わせてみましょう!

凡庸なCLT製造会社の経営者は、原材料代を削るような価格削減策しか思いつかないでしょうね。
本来は、高く原木を買って、自社努力で安くしてみせないと森を救うとは言えないはずです。

凸凹な荒材を張り合わせて作るとか、接着剤でなく簡単なダポで留めただけとか、頭を使ってほしい。

松江城の合わせ柱を見習って欲しいです。CLTとバイオマス発電は、山元の為かどうかは疑問です。外材に対抗しうる原木生産体制の構築と、構造材としてだけでなく内装材としての国産材の良さを知って頂きたい!まずは、公共建築物の完全木質化ですね。

でも、CLTの旗振り役は、結局外材使って作る気のようです(ーー;)。これまで散々「日本林業の振興のため」と言って、補助金を受け取ってきたのに。

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