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2018/10/03

豚コレラでイノシシにもパンデミック?

岐阜県で見つかった野生イノシシから豚コレラの菌が次々と確認された。
 
遺伝子検査の結果、いずれも豚コレラに感染していたと発表した。どうやら10キロ圏内の養豚場で発生した豚コレラに感染したらしい。感染を確認したイノシシは、2日に見つかったもので計11頭になっている。
日本で豚コレラが発生するのは26年ぶりだという。 
 
豚コレラに感染したブタやイノシシは、数日で死ぬ。人間に感染して発病することはないが、感染力は非常に強く、人間が感染した豚肉を食った場合、その排泄物を食ったブタが感染するほどだという。口蹄疫と並ぶ畜産の敵だろう。
 
なお、日本の豚コレラとは菌の違うアフリカ豚コレラも広がっている。1921年にケニヤで発見され、アフリカ以南で流行を繰り返す、いわば風土病だった。
 
そんな豚コレラが、今年になって世界中で大流行している。とうとうアフリカを出て、ヨーロッパ、そして中国で拡大しているという。……中国ではすでに8万頭のブタを処分した。と、これは畜産業界の大問題なのだが。
 
豚コレラは、一般にブタの病気と思われているが、野生のイノシシにも移るわけだ。となると、野生動物にどんなインパクトを与えるだろうか。
国際獣疫事務局に報告された豚や野生のイノシシの感染は世界で36万1000頭を超え、2018年だけで11万9000頭が死んだという。
 
 
おそらく人間が運んだのだろう。ブタ界にパンデミック(疫病の爆発的流行)が起こらなければよいが。これまで病原菌がいなかった世界に出たとなると、いわば外来種のように広がる可能性がある。
日本で発生したのはアフリカ豚コレラと違うとはいうものの、養豚業界にとって極めて深刻な状況だ。
 
……ここで不遜なことを考えないだろうか。ブタだけでなく野生イノシシにも広がると、イノシシが激減するかもしれない。獣害対策的には僥倖になるかもしれない、と。
 
もちろん、養豚には厳しくなるだろう。一切、外部と接触させない方式にしなければならなくなる。コストが増し、廃業する人も出るだろうし、豚肉が高額になるかもしれない。食えなくなる可能性だってなくはない。
そして、猪肉はもっと食えなくなるかもしれない。養豚のように隔離できず、どこまで感染するやら。
 
一方でイノシシが減少すれば、田畑などの被害が減るかもしれない。シカ害はまだ残るが。こんなことを想像するのは、やはり危険思想だろうか。
 
これが、自然界でまま起きる普通の豚コレラの流行に終わるのか、人為がもたらした豚猪界のパンデミックになるのか。野生のイノシシは密集していないから感染が一気に広がる心配は薄いと思うが、菌が山野に残れば、どうなることやら。
 

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