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森と林業の本

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2018/11/02

トゲ・発光・果実……

先日会った学生は、「トゲ」について研究していると言った。

トゲ。植物のトゲである。話を聞いていると、研究というよりは「トゲ・オタク」ぽかったが(^_^) 。ともあれ、バラやサンショウ、アリドオシ、柑橘類にもトゲを持つ植物は多い。樹木もあれば草本もある。それらのトゲがなぜあるのか、私にも興味がある。

トゲも、その組織は千差万別だ。樹皮が変化したものから、維管束から突起をつくるもの。葉にもトゲがあるし、ガクや花弁が変化したようなトゲもあったかのように記憶する。

いや、植物に限らない。トゲを持つ動物も数多い。昆虫には数えきれないほどいるし、ハリセンボンは魚類、トゲトカゲは爬虫類。ハリネズミは哺乳類。トゲの定義に体表からの突起とすれば角も加わる。するとシカやサイ、キリン、鬼(^^;)……。

なぜ、トゲ、もしくは角を持つ生物が、これほど発達したのだろうか。 一つ一つを取り上げて、これは繁殖のためだ、天敵からの防御だと理由付けはできるが、細胞組織的な発生起源が違うということは、もっと進化論的な説明ができないか。

 

同じようなものがいっぱいある。

先日、ノーベル化学賞を受賞した下村脩博士が亡くなられられた。博士は、オワンクラゲの発光の秘密を研究していた。そして緑色蛍光タンパク質GFPを発見したのだった。この物質は、紫外線を当てると発光するため、細胞内のタンパク質の動向を観察するのに不可欠な物質として数々の研究に用いられ、それが受賞理由になっている。

私も、発光生物に興味がある。ただ、残念ながらオワンクラゲのような一つの生物の発光する化学的な理由……とかではなく、なぜ発光生物がいるのか、が気にかかる。
発光生物も千差万別だ。ホタルはもちろんだが、ホタルイカにウミボタル、クモ、ミミズ、ヒトデ、チョウチンアンコウ……ホタルの発光物質はルシフェリンだ。この物質で光る生物は微生物や深海生物に多いはず。
 
発光するのは動物だけではなく、ハッコウキノコ類など菌類にもある。植物ではヒカリゴケは有名だが,これは反射。ほか発光バクテリアを備えて光るものもある。細菌類では、コレラ菌も光るそうだ。昔、コレラに侵されたエビが光るものを取材したことがある。
 
これらはどんな方法で光るのか……ではなく、なぜ光るのか。私は、その目的の方に惹かれる。ホタルなど昆虫の場合は、交尾相手を呼び寄せるためと言われるが、必ずしもそうではなかったりする。餌を集めるため、仲間への合図、いろいろ理由を付けているが、発光という現象は同じでも目的も方法もバラバラ。どんな進化の過程に「発光」が生まれたのか。
 
ほかにも、果実も気になる。
 
果実を付ける植物は数多く、その目的は受粉だったり種子の散布としているが、肝心の果実の元は、花の子房なのかガクなのか、いやいや葉や花の柄が膨らんだのか……。発生学的にはバラバラだが、形と役割は似ていたりする。
 
おそらくトゲも発光も果実も、進化の過程で相似形として登場したのだろうが……すべてに通じる「目的」がわからない。
むしろ尖りたかったから。光りたかったから。膨らみたかったから。と自由意志で変化したのではないか。となると、まるで今西錦司の進化論のように「生物は変わりたかったから進化した」になってしまうのだが。。。
 
ともあれ、トゲの研究を究めたら、ノーベル賞ではなくイグ・ノーベル賞は狙えるんではないか、と思う(^o^)。
 
 

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