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森と林業と動物の本

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2018/11/13

隠れた高級材を見つける林業

中国メディアによると、海南省の海口市人民公園で枯死した2本の木を2017年に伐採して売りに出したところ、1428万2000元(2億3372万円)の値が付いたそうだ。
 
 
伐られたのは、中国で海南黄色花梨、和名ではニオイシタン(匂紫檀)と呼ばれる木である。
その樹木はマメ科の植物で、鎮痛剤など薬材にもなるうえ高級家具の材料。現在は1キロ8000元(約13万円)で取り引きされているという。海南省が原産で、国家2級重点保護野生植物に指定されている。そして盗伐されることもあるらしい。
 
この木を91個のブロックに分けてネットオークションにかけた。入札開始価格は515万2000元(約8430万円)だったというから、それなりに価値のある木材であることは知られていたようだ。それが3倍近くまで跳ね上がったわけである。
 
とはいえ、日本でも植えられている模様だし、苗が売っていたりする。中国でも、価値を知らずに薪にすることもあるそうだが。。。
 
なんだか、価値を知らないと損をする典型のような話。昨日の樟脳もその一つだが、以前紹介した銘木として扱われるクロガキと同じだ。
 
 
ちょっと次元は違うが、以前取材した林業家は、山を盛んに購入しているのだが、その際に山主は「うちの山には金になる木がない」というそうだ。長く放置していたからだ。そこで捨て値で買う。もちろん山主の了解済みだ。 
 
ところが数十haかの山をじっくり調べながら歩くと、たいていどこかに立派な素性のスギやヒノキがあるそう。一見、放置されて荒れ放題の山でも、その中でしっかり育った大木はあるのだ。
そうした木を伐りだして売ると、買値ぐらいはすぐに元が取れるそうだ。そして残りの木々も売り方次第で収入になる……という話をしてくれた。 
 
結局、山主が自分の山の価値を十分把握していないということなのだが……こうした林業を行うためには、大規模では無理だ。むしろ小規模山林を十分に調べて、価値ある木を見つける、あるいは育てるベクトルである。
 
そういや、京都の北山林業や東京の四谷林業は、磨き丸太など高級材を生産していたが、その場合の持ち山は、わずか数ヘクタールだったという。狭いから丁寧に施業できたのだ。
 
無価値と思える山の中から真の価値を見つける林業。小規模でも価値が高ければ、面積の何倍もの資源となる。こうした方向性も重要だなあ、と思った次第。
 

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