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森と林業の本

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2018/11/21

林業学校バブル、新局面

すでに2年以上前から、次々に林業スクールが設立されていることに触れてきた。
 
 
 
その勢いは今だ止まることなく、まだまだ続いている。
来春には、三重県に「みえ森林・林業アカデミー」のほか、熊本県に「くまもと林業大学校」が開校するらしい。
 
さらに、栃木県矢板市に「フォレストビジネスカレッジ」が開校(開講?)するという。こちらは製材会社大手トーセングループが設立するもので、民間主導。入学すると、トーセンの契約社員となって勤務しながら1年間研修を受けるシステム。給料も出る(月給15万円)。
すでに5年以上林業現場で働いている者を対象にして、素材生産から製材までを学ぶという。なんだか、こちらは従業員不足対策か?と思わせなくもないが、ようは森づくりではなく伐採技術者が足りないのだろう。
 
北海道立林業大学校を2020年の開校めざして動いているし、富山県では一般社団法人モリビオ森の暮らし研究所などが中心となって、南砺市利賀村に2020年に「TOGA森の大学校」(仮称)を開校するそうだ。
 
今度は必ずしも自治体主導でなく、企業まで乗り出してきたことが特徴かもしれないが、そのうち外国人向けの林業スクールをオープンさせて、どんどん現場に送り込んでくるんじゃないかという気がしないでもない。そんなに林業人材が足りないかね? 
 
これは、林業学校バブルだよ。しかし、養成するのは伐採人員ばかり。長期間森づくりできる人材じゃない。
 
 
私は今の木材生産こそ、一種のバブルだと思っている。そもそも日本にそんなに木材需要がないから、無理して木を伐りだす必要性はない。ただ政策的に木材生産の拡大を煽っているだけだろう。だから木材が市場にだぶついて材価を下げている。それなのに、釣られて学校までつくってしまったら、もはや後戻りはできなくなる。
 
そのうち木材の供給過剰が行き着くところまで行き、また森林資源も底をついて、木材生産バブルが弾ける時が来る。その際に林業学校バブルも弾けて、促成された現場の林業ワーカーがあぶれる時代が来るだろう。そして……彼らは失業するんだろうなあ。
 
そのとき森はどうなっているだろう。
 
 

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林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

田中さんへ
おはようございます😃
林業学校の乱立に警告を出されておりますが、若い人が林業に関わることで日本の林業の課題に気づき新しい流れが出てくる可能性もありますよ。
外国人の労働者を雇うのもいいですが、日本人の次世代の若い人が各県で活躍できる林業政策を推し進めて欲しいと期待してます。
国が進める大型高性能機械を導入する林業も結構ですが自伐型の林業活動もこれからは必要なのではないでしょうか。
日本の人工林は伐採して利用すべき時代だと思いますので。森林政策の素人ですが、1000haもの人工林を活用しない手はありませんから。

結局、林業事業体側が安くてすぐに使える人材を求めているだけでしょう。伐採より 森づくりをしたいと言う就業希望者もいらない。今、木を伐れる人が欲しいのです。

学生側も、本当に林業で食っていく、そして独立する気概のある人も希少でしょうね。

現在高校三年の未熟者ですが言わせて下さい。

林業って木を切るだけが仕事なんですかね?
木を植えて、木を育てて、木を切って、木を加工して、木を売る。
そしてまた木を植える。
高性能林業機械やICT技術を使って効率的に木材を伐採するのもいいですけど、林業の本質は森を作ること(いわば森の養殖)にあるはずなのではないでしょうか。
森林資源が豊富にある今だからこそ、伐採技術者よりも森林を包括的に管理できる人材が求められると自分は思います。

というか、日本の林業はオーストリアを見習い、今の三林大が森林官や森林マイスターを育成する機関になればいいと思います。

以上、今の林業を変えたい高校生による妄言でした。

よくわかってらっしゃいます。まことにそのとおりで、林業というのは森づくりから始まって最後に収穫を行う長い長い森林を管理する産業です。
今やっているのは、農業で言えば誰かが種をまいた作物を横取りしているだけで、作物を育てることも、収穫物の料理法も考えていない。流行りの林大も、その枠から抜け出ていません。

もっともオーストリアを見習えばよいという話でもない。今の3つの林大にそんな力があるとも思えない。もっと人づくりと社会制度が整わないと横取り林業から脱皮できないでしょう。

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