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2018/12/21

セルロースナノファイバーの憂鬱

セルロースナノファイバー(CNF)。

 
木の繊維を極限まで分離していけば現れるナノ単位のファイバー。鉄の5倍の強度を誇り、透明にも薄いフィルムにもできるという。自動車のボディをつくる計画があったり、食べ物に混ぜてもよい。一時は未来の木質資源として持て囃されたのだが……。
 
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私は、これが実用化が進んでも林業には何の影響も与えない、と繰り返し触れてきた。なぜならセルロースは植物質なら何でも採れるわけで、わざわざ林業と関わって山から木を伐採して来ることはないからだ。よくて端材や製紙チップ、いやいや農業廃棄物でも十分。
 
それでも、少しは勉強しているのだよ。それなりに。新情報をキャッチするのが仕事だから。
 
そして……だんだん憂鬱になってきた(^^;)。
 
だって、わざわざ木を小さく分離していくのだぜ。これまではチップからせいぜいパルプまでだったが、さらに小さく小さく。もはや木じゃないところまで分離して、それからどうするのかと言えば、また合わせてくっつけ大きな単位にしていく (゚o゚;) 。
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考えてみれば、ナノ単位で「鉄より強い」と言っても使い道がないわけで、通常のものの大きさまでナノファイバーを束ねていかねば使えない。
そして束ねるために使われるのが、合成樹脂。つまりプラスチックだ。
 
最近のニュースで、廃プラスチック由来の再生プラスチックペレットと、セルロースナノファイバーを複合化して、強度などを上げた再生材を製造することに成功したというものがあったが、使われたのが使用済みパレットから作られたポリプロピレンと、おむつから作られたポリエチレン。これまで中国に送って処理してもらっていた廃プラスチックを利用する計画なのであった。
 
なんだ、プラスチック~石油由来のものと植物由来のものをくっつけた新素材か、セルロースナノファイバーって。全部植物由来なら、また自然界で分解できるが、これではリサイクルできない。近い将来、廃セルロースナノファイバー問題が発生するのではないか。
 
そのうえ親水性のあるセルロースと疎水性の高い合成樹脂を混ぜて合体するというのは、口で言うほど簡単ではない。きっと、どこかに無理が出る。たとえば曲げ強度が鉄より硬いと自慢しても、衝撃で簡単に割れるかもしれない。
 
大きな植物体(樹木)を小さく小さく刻んで、それからまた大きく大きく束ねて行くというのもエネルギーの無駄遣いぽいし、なあ。
 
結局、用途は限られてしまうのではないか。特種な用途だけでは量が出ないし価格も高くなる。それでいて、期待ほど環境にも優しくないとなったら。。。
 
セルロースナノファイバーにあまり未来を感じなくなくなった。

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コメント

同意します。
間伐材に対する補助事業として木質を原料とする事業を誘致した林業地が各地でありました。それが林業には何の役にも立たないことが何もわかっていないのです。
林業に何をすればよいのか根本的なことを何も考えていないことの典型と思われます。林業地で取り組むべきことは小規模で林業地で行うことが有利な方策を模索することです。
規模を拡大することが有利な時代から逆に規模を縮小することの有利な時代へ変えること、難しいことですが基本的な変換が求められます。
集約から分散の時代です。今の国とは真逆な価値観への挑戦です。

セルロースナノファイバーの研究開発をするのはいいことなんですよ。ぜひ頑張ってほしい。でも、それで林業界に期待を持たせないでほしい、ということですね。同じものとしては、リグニンとかもある。もっとも、勝手に期待する林業界も勉強不足なんだけど。

これまでにも、新流通加工システムとか新生産システムのような製材所に莫大な補助金を注ぎ込む計画はあったけど、山元には何もいいことがなかった。バイオマス発電もそう。
何が林業界に寄与するか、しっかり考えないとぬか喜びになるどころか、逆に振り回されて疲弊するだけです。


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