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2018/12/27

「こも巻き」の真実

こも巻き。こも巻きとは、マツなどの幹に「こも」と呼ぶ荒く編んだワラのむしろを巻いているのを見かける。

 
Dsc00511  Dsc00513
 
写真は、岡山県津山市の衆楽園にて。昔の大名庭園だけにマツの大木が多いが、いずれにもこも巻きが施されていた。
 
こも巻きは、害虫対策とされる。冬の間に、害虫の幼虫が温かい藁の中に入って休眠する、それを春になったら剥がして炊きあげることで退治する……というものだ。
 
昔の知恵だなあ、でも、そんなに上手く行くのかなあ、と思っていた。
 
ところが、最近の研究では害虫退治の効果は否定されているそうだ。春になって剥がしたこもを調査したところ、害虫はほとんどいなかったとか。この場合の害虫とは、マツカレハを指すようだ。そして、益虫、つまり害虫を食べてくれるクモやヤニサシガメ(サシガメ科の昆虫)だったとか。それを一網打尽に焼き殺したら、むしろマツカレハの大発生を呼び込みそうである……。マツカレハは、こも(ワラ)自体ではなく、こもに覆われた樹皮の溝に多く入り込んでいたとか。
 
こもに入って越冬した虫が、害虫か益虫か、昔の人はあんまり確認しなかったのだろう。
昔の知恵」というのは、案外いい加減なのである(笑)。
 
伝統とか職人の慣習など昔の人のやってきたことをやたら持ち上げる人がいるが、そんなに信用してはいけない。役に立たないどころかまったく反対の効果であることも少なくない。
 
 
もっとも調査は姫路で行われたらしいので、さらに地域を変えて研究したら別の結果が出るかもしれない。
それに、今やこも巻きは、冬の風物詩、風景として実施する面もある。とくに日本庭園では。そう思って上記の写真を見ると、なんか庭の絵にするために巻いたぽい。本当に害虫のことを意識して巻いたのではないように思えてきた。
 

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