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森と林業の本

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2019/01/09

未来の中国は森林大国?

中国の植林事情に関するニュースを読んだ。
 
中国の森林率は、 現在21,5%だそうだ。約40年前は5%前後、1990年で16,4%だったというから、恐るべき伸び率だ。これは計画的な植林事業の結果なのだが、最終的には2050年に中国全土の42,4%となる406万9000平方キロメートルの造林をめざしているという。
 
さすが大陸!と思わせる数字だが、ふと気がついた。
 
戦前日本の森林面積は、約17万平方キロメートルで森林率では約46%だったが、戦後は急速に伸びて現在は約25万平方キロメートル、約67%とされている。森林蓄積(材積)で言えば、4倍から5倍に増えた。
一方で人口は減少期に入って木材消費は伸びなくなった。結果として現在「木余りの時代」を迎えている。だから、もっと木材を使え、(バイオマス発電で)燃やしてしまえ、と叫ばれているわけだ。
 
それと同じことが、遠からず中国でも始まるのではないか?
 
中国が遠からず森林大国、木材大国となるのは間違いない。40年前から広まった植林だということは、そろそろ初期の植林木は使えるようになっているはず。すでに緑化用に植えられた早生樹のアスペン(ポプラ)などは収穫期に入って、集成材やLVL(単板積層板)、合板などに加工されて輸出されている。日本で多く出回る割り箸もアスペンを材料にしているものが多い。
もちろん中国の植林は緑化や防災目的の役割も大きいので、すぐに林業と結びつけられないが、間伐材だけでも莫大な量が出荷されるだろう。
 
森林の面積だけではない。先日、香港の英字紙サウス・チャイナ・モーニングポスト紙が、「中国の人口が減少に転じた」という記事を流した。これは政府の公式発表ではないが、2018年は250万人減だった推測も出ているそうだ。政府系シンクタンク中国社会科学院も、2029年を境に人口は減少に転じると予測している。
木材需要は経済の伸びも関係するものの、人口が減れば自国内の木材消費は徐々に減っていくだろう。もともと中国の建築に木材はあまり使っていなかった。
 
森林は増えて、人口減の進展。日本の後追いだ(笑)。
 
 
日本は、木材輸出を今後の産業と捉えて期待を高めている。 2017年の木材輸出額は前年比37%増の326億円で、主な輸出先はアメリカのほか中国だ。中国へは前年比 61%増の145億円である。今後も、増え続けると予測しているが……中国が再び木材の自給を始めるのはそんなに遠い将来ではないように思える。
 
しかも日本から輸出されているのは、低品質の安い木材が中心。取って代わられる可能性が高い。日本の木材輸出が必ずしも伸び続けるとは思えない。さあ、どうする?
 
木材を輸出することで日本林業は復活する、中国が日本の木材を爆買い……なんて喜んでいる場合じゃない。将来を読んで政策を立ててほしい。
 

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