先日、静岡の林業家を視察させていただいたのだが、その際にいくつか面白いものを見せていただいた。
その一つとして、こんなスギはどうだろう。
わかるかな。細いが、表面が凸凹しているだろう。実際に近くで見ると、モコモコとダルマ落とし用に積んだ積木みたいに幹が波うっている。
これって、フツーなら傷物扱い? 奇形扱い?で切り捨て間伐したくなる(笑)。
だが、これは磨き丸太用の品種なんだそう。天然絞の一種で、皮を剥いて磨けばモコモコが魅力になる……らしい。最近は磨き丸太そのものが売れなくなったから生産も減少しているのに、あえて磨き丸太の中の珍しい品種を植えるとは。
とにかく様々な品種を植えているという山主は、意欲的にバラエティのある森づくりをしていた。単に多様な樹種を植えるだけでなく、品種でもばらつかせているわけだ。
多様性のある森はリスクヘッジになる。
持ち山は全部で60ヘクタールとか。これは、昨今の林業経営としては狭すぎるだろう。いまどき100ヘクタールでも足りない、数百ヘクタールないと林業経営は成り立たない、とよく言われる。そして大規模化、集約化を求めてくるわけだが、果たしてそうか。
むしろ狭さを活かして、多様な森づくりを試みるという発想があってもよいのではないか。
もしかしたら“失われたような品種”をここで温存しておくことで、将来何かをもたらすかもしれない。
ヒノキにもそんな品種があるみたいですね↓
http://www.rinya.maff.go.jp/kyusyu/policy/business/jigyou/newtenjirin.html
投稿: とある奈良の住民 | 2019/02/08 12:35
おお。ありがとうございます。ダルマより俵ヒノキの方がよいですかね?
こうした希少な品種を消えてしまわないように受け継いでおきたいものです。
投稿: 田中淳夫 | 2019/02/09 00:43