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森と林業の本

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2019/02/14

再建された興福寺中金堂

約6年かけて建立なった、奈良の興福寺の中金堂を見学してきた。……拝観してきた、とは書きにくい。

 
私はこれまで幾度となく興福寺の金堂復原に使われる木材について書いてきた。ここで使われたのはアフリカケヤキだからだ。おそらく違法伐採されたもの、もしくは適法と断言できないグレー木材である。そういう木材を使うのは、時流に反している。
 
たとえば、Yahoo!ニュースのこれ
 
 
ほかにもブログではかなりしつこく幾度も(笑)。たとえば、これ
 
昨年は、派手な再建楽慶も行われたのだが、私的には、見に行く気が失せた。それでも思ったのだ。現物を見ないで、いつまでも批判するのはどうかと。
 
そこで、一大決心をして(笑)、見学してきた。ちなみに拝観料は500円であった。
まだ金堂周りは完成していないので、境内も歩けるところが限られている。あくまで仮であろうか。芝生を育て、周囲に回廊を建設するようだが。。。 
 
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さて、内部をじっくり……と思ったが、実は写真が撮れなかった。撮影禁止なのだ。
 
東大寺大仏殿などは撮り放題なのに、なんて了見が狭いんだ……と、八つ当たりする。
 
それでも、外から内部をかいま見る。
 
3  1  
 
本尊の釈迦如来座像(木造)と、法相柱と呼ばれる法相宗の始祖14人を描いたもの。
 
内部空間は意外なほど狭かった。大仏殿に次ぐ大きさというのに。建設中の見学では、わりとグルグル回って登って屋根の上まで行けたから見応えあったのだが、完成すると、ほとんど中で動けない。本尊の前を横に数メートルだけだ。巨大な建物の大部分は隠されている。
 
本尊の周りには、四天王像や吉祥天、大黒天などの立像がある。しかし……ちょっと妙に感じたのは、本尊の下こそ白大理石なのだが、その周辺は違う。コンクリートのように見えるが、漆喰だろうか。なんか違和感がある。漆喰の下は石材か。
 
肝心の柱だが、全部赤い塗料で覆われている。ベンガラだろうか。よく見ても、木目さえ見えない。これでは、集成材でもよかった。いや、鉄骨でもかまわないのではないのか。あえてアフリカのジャングルから伐りだした無垢の大木を使った意味がわからん。
 
これが修復や、天平時代の堂宇をできるだけそっくり建てるというなら、一応の理屈になるが、興福寺の金堂は幾度も焼けて再建を繰り返している。前回は享保2年に焼けている。その後は仮堂だった。つまり、今回の金堂は、復原ではないのだ。一応、創建時のものを模したそうではあるが。
 
一応、アフリカケヤキの調達に関しては、「新たに伐採したわけではない」と弁明している。市場に出ているものを購入したというのだ。わけわからん。使うこと自体が伐採を促しているのに。ちなみに現在は伐採も輸出も禁止である。

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