私が紹介した、宮崎市の盗伐事件の告発が不起訴にされたことに対する検察審査会への申し立ては受理されたが、今度は延岡市の盗伐が不起訴にされた分が検察審査会に申し立てられ、受理された。こちらは伐採業者7人である。盗伐されたのは約1300本というから、かなりの面積だろう。ただ地籍調査はされていなかった。もっとも放棄していたわけではなく、ちゃんと管理されていた山林で、行政も業者を処分している。それなのに検察は不起訴にしていたのである。
ともあれ、告発が続けば今後はマスコミも動き出すだろうし、私の記事も含めて盗伐という犯罪行為がもう少し世間の耳目を集めることを期待する。そして盗伐が横行する背景の林政に目が向けばよいのだが。
伐採業者はもちろん宮崎県も、ええ加減にこの問題に真正面から向き合わないと、恥さらしになるだけだ。
と、そんなところにニュース。今回の問題がきっかけかどうかはわからないが、宮崎県は盗伐取り締まりの手段として、新年度からQRコードで木材のトレーサビリティを一元管理する実証実験に取り組むという。予算案に関連費1000万円を盛り込んだ。
具体的には、伐採業者が市町村に提出する伐採届に、市町村がQRコードを発行し出荷される木材に添えられるようにする。
QRコードには、伐採から原木市場、製材工場、工務店までの流通履歴に加えて、業者名と伐採場所、面積、樹種、切り出した量、在庫量などがインプットされる。届け出た伐採の面積や出荷された木材の量が、伐採面積に対して多くなると、盗伐の疑いが浮かび上がる仕組みだ。
自治体や林業関係者らが協議会を設立し、モデル地区を設けて実験し、自治体や宮崎大農学部などが効果を検証する予定だ。
都道府県の木材トレーサビリティーの制度は全国初という。
ようやく木材にトレーサビリティを付けようとしたのはよい。流通の無駄を省くのにも役立つはずだ。しかし、だよ。。。。
なんで新しいシステムや制度をつくるのだろう。試験を終えて普及するのに何年かかることか。
それより森林認証制度を使えば、自動的にトレーサビリティが確認できるのに。まあ、宮崎県の山林で森林認証を取得できるところは何パーセントか怪しいが。
だいたい、この仕組みを動かしても、抜け道だらけのように思える。そもそも所有者は、伐られたことに気づかないとQRコードの情報を調べないだろう。業界関係者が調べて、おかしかったら告発するか? 県職員はどうか。またバレても「誤伐だ」と言い逃れる業者を追い詰められるか。どれぐらい有効なのかはなはだ怪しい。
本気で盗伐を防ぐためには、何より「伐採届」を厳密にチェックすることだろう。許可前と事業終了後に必ず現地調査をすれば、業者へのプレッシャーになるはずだ。
市町村の担当者の手に余るだろうが、環境税をつかって林政アドバイザーを雇えばよい。それとも「伐採届」チェッカーという資格をつくるか? やり方次第だなあ。
普及が腐朽になってます
投稿: にゃんまげ | 2019/02/21 22:29
直しました(^^;)。腐朽でもいいかな、と一瞬思いましたが。どうせ腐る制度だし。
投稿: 田中淳夫 | 2019/02/21 22:40
早速のご対応
しかし誰がうまいことをいえとw
…早くに腐りそうですけどね…
投稿: にゃんまげ | 2019/02/21 22:54