昨年、一昨年だったか、林業用2トントラック(ダンプ)の危機がネット上で盛り上がったことがあった。
ようは林業に向いた悪路走行ができ、通常道路も走れる2トントラックの製造が中止され、危機に陥っている……という話だ。そして、その問題がネットで広がった結果、日野自動車が動き出したという話。
詳しいことは,、私もYahoo!ニュースに記した。
この開発物語はまだ続いていて、いよいよ最終局面。
もちろん私は、何か意見をいうわけではなく取材という立場。詳しくは、リンク先のブログへ。
この4月に日野自動車から新型四駆トラックが発表される。それを林業用に改良する話が進んでいる。まだ内容はオープンにできないのだが、開発担当者も来られている中で、トラック開発の実情に触れることができた。
まず、排ガス規制はますます厳しくなっているので、昔と同じような高床・直結型四駆・副変速器付きの高トルクなダンプ車はつくれないという現実がある。加えて高床式の自動車をつくる製造ラインがすでにないという。完全な新車を設計し、ラインから用意するのは採算から考えても不可能だった。
ちなみにヒノノニトンの生産は年間約2万台だそうだが、そのうち林業用というか、悪路走行用の需要はせいぜい数百台しか見込めない。
ならば国外需要は。発展途上国ではまだまだ悪路走行用トラックが求められているはず。輸出需要も見込めば、それなりの台数は確保できないのか……と思うのだが、そうなると排ガス規制が緩やかな国々であり、しかも価格も相当下げないと購入は見込めないとか。
それに求められるのは、単に悪路に強い馬力・車高ではなかった。たとえば下り坂を極低速で下りられるエンジンブレーキも必要なのだそうだ。
一方で、単に山で丸太を積んで走るだけでなく、通勤用にもできることが条件としている。また積むのは必ず丸太と限らず、土砂を積載することもあるが、これが荷台の条件にいろいろ影響がある。
まあ、このように並べると悪条件ばかりで、なかなか開発は難しそうだったが、それをある程度はクリアできる見通しになったのだ。4月以降に新型トラックを吉野の山でモニターを繰り返して、改良と微調整を行い、十分な林業向きのダンプに仕上げる予定とか。
とはいえ、よい面もある。現行の問題点が改善されるだけでなく、環境性能はもちろん燃費もよくなるはず。それに低床ならば重心が低くて運転性能も上がるだろうし、乗り心地もよくなるだろう。
新しい2トントラックを購入を考えている林業関係者は、今しばらく見守った方がいいかも。
しかし、マニアックな話題と思った林業用ダンプの問題が、これほど世間の関心を呼び、それが会社を動かしたことは今更ながら驚く。
ちなみに日野自動車としては、「奈良案件」だそうです(笑)。
コメント