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2019/04/02

樹木のカスケード利用は世界的潮流?

ショッピングモールなどで店を覗いていると、どうしても木に目を向けてしまう。

建具に内装、インテリア。そして商品も家具はもちろん木のグッズの数々……それらの木材の種類が気になるのだが……。

今回見かけたのは、「マンゴー」だった。マンゴーってフルーツだが、その木を使ったテーブルが置かれていた。さらにラバーウッド、つりゴムノキやヤシの木。これまで用材としては登場しなかった木だなあ。ほかにもアカシアやラジアータパインが堂々のテーブルやイス、サイドボードなどの家具となっている。一昔前までは、製紙チップか梱包材にしかならないと言われたのに。

世界的に、木材の多様化が進んでいるのかもしれない。考えてみれば、マンゴーもゴムもヤシも、それぞれの実や樹液が役に立って、収穫量が落ちることかで廃材になるところを今度は母樹を用材として使おうというのだから、いわばカスケード利用。多分、最初は「この材質では使えない」とか言われたのだろうが、工夫次第で用途を開発したのではないか。

そういや日本でもブナは役立たずの木だったのが、乾燥法や加工法の技術開発で立派なハードウッドになった。それこそが林産業のイノベーションだと思う。ウルシノキも樹液を絞った後は、木材として使っていた時代がある。養蚕に必要なクワも大木になったら結構な材が採れた。

次は、樹木自体の多用途化・多様な資源化を考えるべきだろう。すでに思いついたサクラ林業も、花に材に樹皮に……と多様な使い道がありそうだし。

たとえばリンゴやミカンなど果樹は、一定樹齢後に植え替える。やはり収穫量が落ちてくるし、品種の交代もあるからだ。そうした廃材の使い道開発もちゃんとすべきだろう。ただでさえ家具用ハードウッドが足りないと行っているのだから。まあ、リンゴもミカンも人が作業しやすいように樹高を高くしないで低く仕立てるから材としては小さくしかならないが。 

 

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上はリンゴの木の細工もの。下はたしかミカンの木から器をつくっているのではなかったか。記憶が曖昧だが。どちらも果樹園から出た廃材を利用している。

日本に用途にあった木がなければ外国から輸入するのではなく、今ある木をいかに使うかを考えるのも林業を支えることだと思うよ。

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