パーム油発電の真実
旅行会社大手のHISが、宮城県角田市にバイオマス発電所「H.I.S.角田バイオマスパーク」を建設中だが、その燃料として使うのがパーム油であることで、一斉に反発が広がっている。そして反対の論陣のほか、署名活動も始まっているようだ。
H.I.S.の“勘違いSDGsビジネス”が熱帯林を破壊。「パーム油発電」に非難轟々
HISさん、熱帯林と若者の未来を破壊するパーム油発電をやめて!
これは私の印象だが、何もHISは、この発電が環境破壊だと承知で、でも儲かると考えて参入したのではないだろう。ようは、上っ面の説明で「これは環境に優しいんだ、地球温暖化防止に寄与するんだ」と思ったのではないか。そんな説明したブローカーなのかコーディネーターなのかがいたのだろう。まさに「勘違い」からスタートした事業のように思う。もちろん、利益のことも計算しただろう。しかし、ようは素人が考えたそこの浅い計画のように読み取っている。
ちなみに私も、以前Yahoo!ニュースにもパーム油発電について指摘したことがある。
当然、計画には反対であるが、上記のような反対論陣の記事を読んでいて、ちょっと外しているんじゃない?と思わせるところがある。
その点からすると、実はHISと一緒ではないか。ちゃんとパーム油について調べたの? と問い返したい。
最大の間違いは、燃料とするパーム油は、食用油ではないことだ。
パーム油に限らず、食用オイルを生産する過程では、どうしても不純物が混じったり品質の落ちる部分が出るのだが、食用分を抽出した残りかすが出る。今回燃料としようというのはその非食用油と考えてよい。いわゆるバイオディーゼルと同じなのだ。いや、食用になる大豆やトウモロコシから作られるバイオディーゼルの方が問題だ。あえて比べるなら天ぷら廃油に近い。そうした非食部分のオイルは、あまり使い道がなく現場では処理に困っている。それを発電燃料として売れることになったら、生産者にとっては有り難いわけである。
もう一つ、アブラヤシ農園の経営は、実は小農が多いことを無視している点。一見、とてつもない面積のプランテーションを見たら大企業が行っているように思えるが、それは採油施設の経営であって、油ヤシの栽培そのものは小さな農家が比較的多い。いわゆるジャングルでは生産物が限られている中、油ヤシは画期的な作物だ。油としての機能も非常に高い。品質は高く、生産性も大きい。まさに「奇跡の作物」だからだ。だから、インドネシアとマレーシアの田舎社会の改革へ果たした役割は非常に大きいと考えている。
それでも私は、パーム油発電には反対だし、現在の油ヤシ栽培の拡大は非常に危険だと考えている。それはまた別の理由なので、ここでは触れない。
まあ、もっと詳しく調べたらYahoo!ニュースにでも書こうかと思っていたのだが、とりあえずはこんなところ。
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