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2019/05/13

森林吸収源から感じた材積計算の疑問

先週末、奈良女子大学で「明日の奈良の森を考える第9回学習会」が開かれた。テーマは「地球温暖化と森林・林業・木材産業」。講師は近畿大学農学部の松本光朗教授……というより、元森林総研研究コーディネーターで地球温暖化問題の日本の最前線で活躍した人である。IPCCがノーベル平和賞を受賞した際の関係者の一人として賞状ももらっている。個人的には、かつて研究していたという混牧林に興味がある(^o^)。

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実は、私は温暖化ガス削減に森林を吸収源とする理論に以前より懐疑的で、なぜ間伐した人工林が吸収源としてカウントできるか疑問を持っている……というより嘘だろ、という意見を持っていた(笑)。科学的に見たら間伐を施すと森林がCO2の吸収量を増やすというのは理屈に合わない。ただ健全に育つ森にすると、木々はよく育ち枝葉を伸ばして光合成も盛んになるという点を国際会議の場で各国代表に納得させたということだ。これは日本の外交的勝利と国際条約を国内林政にリンクさせた政治的手腕に注目すべきではないか、というのが私の見立てである。

結論的には、私の想定は大きく外していないことを確認できた(^o^)。まさに地球的な課題を日本の林政に結びつけた張本人……という書き方をすると失礼か、ともあれ松本氏は立役者だったのである。

さて、まったく別の点で私が気になった点を。悩んだというか、今も悩んでいるのだ。

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これは、森林(人工林)のCO2の吸収量⇒炭素の固定量の産出式。

ここでは幹材積、つまり樹木の幹の材積から全体の生長量⇒炭素量を割り出すものだが、ここで拡大係数がかかる。つまり幹部分と枝葉、梢、根などを含めたバイオマスの分を見込むわけだろう。スギの20年生以上だと1・57となっている。根っこを0・25と見積もっている。すると樹木全体は幹材積の1・5~1・6倍ぐらいになる、ということだろうか?

この点がよくわからないで悩んだのだが、見方を変えると丸太(幹材積)は、樹木全体の6割ぐらいということになる。

ところで一般に木材生産といった場合、丸太だから幹材積に近いだろう。(幹でも切り捨てる部分を引けば、さらに少なくなる。)
では、木材生産量に比した伐採する樹木の生長量全体はどれぐらいか。たとえば1・8倍くらいと考えてみよう。

下図の森林・林業白書では、2015年で人工林生長量を4800万立方メートルと推定し、それに対する木材生産量を主伐に限って1679万立方メートルとして比べている……。

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これ、おかしくないか? 木材生産量は幹材積だが、伐採したら樹木全体を収穫するわけだし、丸太以外の部分は捨てるか、近年はバイオマス発電燃料にしているわけだ。もちろん間伐による収穫もある。それなのに、「生長量に比べて(木材として使われる量は)4割にも達していない」と表現するのは。単純に1・8倍したら、3022万立方メートルになるし、さらに間伐(切り捨て間伐も利用間伐もある)を加えたら、3500万は優にあるはず。すると生長量に対して伐っている割合は7割を超える。もしかしたら8割に達しているかもしれない。

この疑問に応えてくれる人、いませんか(⌒ー⌒)。

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コメント

こんにちは。いつも興味深く読ませてもらってます。
以下、勝手に推測してみました。全くの的外れだとしたら、申し訳ありません。

白書のグラフの件ですが、タイトルは成長量とあるものの、中身は森林蓄積(幹部分のみ)の増加量のことではないですか。
さらに、「主伐期」という限定もついているので、同じく白書の「資料Ⅱ-1森林蓄積の推移」から人工林分を単年に割り戻して、主伐期に限定したとすれば、4,800万くらいの数字になるのでは、と推測しています。
だとすると、主伐期の人工林の真の成長量は8,000万m3(4,800/0.6)となるんでしょうか。すごい量ですね!

人工林生長量が4800万立方メートルなのはいいんです。伐採量を1679万だとしているのは、過少に見積もっていると感じるんですよね。あくまで丸太材積だから、実際に伐られた木の蓄積は、捨てられた分を入れると何割か増しになるはず。
生長量の4割以下しか伐っていないというのは過少で、6割以上になるのではないかな、と。この当たりの係数がわからないのだけど、少なくても白書の記述は過少だと思いますよ。

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